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自己肯定感の低い女子を褒め続けたら人気者になったので距離を置くことにした  作者: シゲ ノゴローZZ
鳩山視点

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第22話 埋め立て済み

 とうとう雨宮さんが忌み嫌っていた席替えの日がやってきた。まあ、テスト前という意味では雨宮さん以外も気が滅入る日なのかもしれんけど、彼女の落ち込みっぷりは少々異常だったよね。

 だけど……その……。


「体、もう大丈夫なのかい?」

「うん! この中の誰よりも元気だよ!」


 今日の雨宮さん、妙にご機嫌なんだよね。昨日の今日で何があったんだ? 後遺症じゃあるまいな? 少々不気味ではあるが、元気であるに越したことはないか。


「そりゃ良かった、今日もキミの笑顔が見れそうだよ」

「もー! 鳩山君ったらー!」


 人って短期間でここまで変わるもんなんだな。やはり髪を切った影響か? よし、これを散髪メソッドと呼ぶことにしよう。上手く行けばセンセーションが起こるかもしれないし、大学の研究テーマはこれで決まりだな。


「勿論、笑顔以外も好きだけどね」

「もぉ……本当に……鳩山君はぁ……」


 そう、その顔だよ。満更でもなさそうな表情の上目遣い。こりゃモテて当然だね。

 あっ、そう言えば一つ気になることがあったんだった。


「ところで母さんと何を話したの? やたらとご機嫌だったんだけど」


 鼻歌を歌いながら夕食作ってたんだけど、何があったんだろうか。結婚記念日ってわけでもないし、まさか宝くじが当たったなんてこともないだろ。便秘でも治ったのかな? 便秘なのか知らんけど。


「えっとね、将来のこととかぁ、その辺かなぁ」


 将来のこと? 初対面である、俺の母さんに? この人、幼馴染か何かだっけ?


「そうなんだ。夢とか?」

「夢? あー、夢と言えば夢かなぁ……。幼稚園児の頃ぐらいの」


 幼稚園児の頃の夢? アイドルとかお花屋さんとか、その辺かな? その話と母さんの機嫌がイマイチ繋がらないなぁ。


「そっか。母さんと仲良くしてくれてありがとうね」


 自分で言っておいてなんだが、少々変なセリフだな。でも間違ってはいない、仲が良いに越したことなんてないんだから。


「え? あー、男の人って板挟みだもんねぇ」


 ……? なんの話だろう?


「まあ、昔のドラマみたいにドロドロした展開にはならないから、安心してよ」


 だからなんの話? ドロドロって……昼ドラ?

 さっぱりわからないけど、雨宮さんと会話が噛み合わないのなんていつものことだし、気にするだけ無駄かな。所詮ただの世間話だし。


「俺もキミのご両親に挨拶したほうがいいかな?」


 二度も家に上がってるわけだし、そろそろ顔を見せたほうがいいよな? 息子ならまだしも、娘の交友関係って親的には懸念事項の一つだし。


「……鳩山君って誠実だよね」

「そうかな? ありがとう」


 わりと当然のことじゃない? 人が来た形跡って何かしら残るもんだし、一回ぐらい挨拶しといたほうがいいじゃん。


「お父さんもね、鳩山君のこと気になってるみたいなの」


 あー、やっぱり父親はそうなるよなぁ。内気だった娘が急に色気づいたわけだし、好きな子ができたって勘違いするよね。実際は告白に一切応じない鉄の女だけど。


「そっか、緊張するねぇ」

「あはは、大丈夫だよ。反対したら私とお母さんを敵に回すことになるんだし」


 反対? 敵? ああ、男友達を作るなってこと? 言っちゃ悪いけど、そういう育児方針は良くないよね。そういう親に限って、子供が三十代になった時『早く結婚しなさい』ってうるさいだろうし。


「うん、俺も頑張って(下心は一切ないことを)アピールするよ」

「……! うん! 頑張ってね!」


 なんか知らないけど、応援してくれた。少しばかり大げさな気もするけど、人の厚意は素直に受け入れないとね。


「ところでその、髪の毛について何も言われてないの? 聞いてる感じ、厳しいお父さんみたいだけど」

「短くしたことについては何も言われてないけど、メッシュは色々聞かれたよ」


 まあ、そりゃそうだわな。古い人間からすれば、メッシュなんて不良がやることだろうし。家庭によってはメイクでさえギャーギャー言われるんじゃない?


「男ができたって勘違いされたりとか?」

「勘違いでもないけど、目ざといよねー。お母さんが美容院に行っても、全然気付かないくせにさー」

「そりゃ子供ができると、そっちばっかり気になるだろうし」


 よく言うよね、女性は結婚した時と子供ができた時に変わるって。男だって多少は変わるさ、多少は。


「そうかな? あーでも、そう言われてみればお父さんも、私が生まれてからお母さんが厳しくなったみたいな話をしてた気がする」

「だろう? ウチも似たようなもんさ。まあ、息子だからそこまで気にかけられてないけどね」


 なんだったら今でも両親イチャイチャしてるよ。俺としては親バカより、そっちのほうが楽でいいんだけど。


「私は子供できても変わらないから安心してね」

「え? そうかい?」


 別に変わるのがダメだとは思わないし、そもそも俺には無関係では? まるで変化しないことが俺にとって好都合かのような……。


「勿論、子供も大事にするよ? でも夫への愛は変わらないよ」


 んー、こういうこと言う人に限って手のひらを返すイメージがあるなぁ。ほら、喧嘩ばかりしてるカップルほど長続きするけど、イチャイチャしてるカップルほど破局しやすい的な。

 そもそも恋人がいない段階での心構えなんて、いざその時になったらアッサリと崩れるもんだよ。机上の空論的な?


「あはは、夫よりもまず、彼氏作るところからだと思うよ」


 口にしてから心配するのもなんだけど、これセクハラじゃないよね? わりと仲良いし、セーフだよね?


「……心配ないよ」

「え? 別に心配はしてないけど……」


 だって雨宮さん、告白されまくってるじゃん。雨宮さんさえその気になれば、今日中にでも彼氏できるだろうし。


「どっちかと言えば俺かなー。恥ずかしながら、彼女とかいたことないし」


 告白してないだけで実質彼女みたいな子とか、流されて性交した子とかはいるが、ノーカンだろうな。


「それも心配ないよ?」

「……そうかい?」


 俺の何を知っているというのだろうか。まあ、別に心配なんかしてないけど。


「うん、何も心配しなくていいよ。何もね……」


 やっぱり時々意味不明だよなー、雨宮さんって。今まで友達がいなかったからある程度は仕方ないんだろうけど、この先の人生大丈夫か? 余計なお世話だろうけど、さっさと彼氏でも作って支えてもらったほうがいいだろうなー。

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