第128話 強気なイメチェン(紅生姜)
私の顔的に金髪とか銀髪は絶対に似合わない。茶髪ならギリ……ってぐらいイジりがいのない顔なんだけど、あえてメッシュを入れてみました。なんだろ、もう後には引けないんだけど……血迷った感が凄い。バンドに影響された痛い陰キャ女子になってない? うー……大人しく茶髪にすべきだった?
「おはよう。オシャレな髪になったね」
メッシュで大正解でした! 茶髪でも褒めてくれただろうけど、メッシュが最適解な気がしてきた!
「あっ、おはよう。……どうかな? 変じゃないかな?」
私の自認では〝変な髪〟なんだけど、私のこと大好きマンの鳩山君から見るとどうかな? 〝似合ってる〟とか〝オシャレ〟って言葉も嬉しいし、録音してリピートしたいぐらい望んでる言葉なんだけど、もっと具体的な意見が欲しいな。
「カッコイイよ」
予想外の褒め言葉! 〝可愛い〟もたまらなく好きな褒め言葉だけど、これはこれで嬉しい! よかったぁ……攻めてよかったぁ……。
「ほ、ホント? 調子乗ってる感じしない?」
本当は青色のメッシュにしようと思ったんだ。多分そっちのほうが似合ってるし、目立ちにくいかなって思ってさ。でも気持ち悪い男子を寄せ付けないためにも、強気なカラーを入れたかったの。だいぶ際どい攻めだけど、刺さってよかったぁ。
「活発な感じがしていいと思うよ」
そうかな? えへへ……これって最高の褒め言葉だよね。私といるだけで楽しいって意味と捉えて問題ないよね? これから色々なところに遊びに行こうって誘いでいいんだよね?
「で、でも……私って根暗だし……自己主張できないし……」
全然言いたいことが言えないし、人に対して強く出られない。もう少し自分というものを持たなきゃって常々思ってる。そういう思いもあって赤色を入れたんだけど。
「大人しそうな雰囲気とギャップがあって、素敵だと思うよ」
「……鳩山君って、何しても褒めてくれるよね」
嬉しい気持ちを誤魔化すかのように拗ねてみせた。これは『もっと褒めて!』という合図です。我ながら面倒な性格だけど……。
「それは俺がどうこうって言うより、キミが何をしても可愛いからだよ」
鳩山君は受け入れてくれるんだよねぇ。面倒なところも含めて好きなんだね。もういっそのこと学生結婚しちゃわない? 寄ってくるヤツらを法で裁けるような関係にならない?
「鳩山君だけだって……。……ねぇ、本当に変じゃないよね? 本当に」
「誰かにそう言われたのかい?」
「そういうわけじゃないけど、こういうのって陽キャにしか許されないし……」
「そんなことはないと思うけど」
いや、あるよ。イジメの対象になる可能性だってある。私だって鳩山君がいなかったら、絶対にこんな髪にしないもん。
「俺にオシャレはわからんけど、今のキミが最高に可愛いことはわかる」
「ま、またそういうことを……」
もっと! もっと言って! 他のメスなんて眼中にないことを知らしめてあげて!
「キミはもっと自信を持つべきだよ。陽キャだの陰キャだの気にせず、自分のしたいようにすればいいんだよ。きっと似合うから」
鳩山君はいつだって私のことを肯定してくれる。出る杭を打つことに躍起になってる人達に、爪の垢を煎じて飲ませてあげてほしい。いや、ダメ、他人に施さないでほしい。鳩山君の遺伝子を求める女は星の数ほどいるから。
「わ、わかったよ。今週だけの予定だったけど、鳩山君がそう言ってくれるなら、これからもずっと入れようかな」
さっきまでは今日のうちにでもやめようかと思ってたけど、鳩山君のおかげで自信がついたよ。これをやめるなんてとんでもない。
「赤色にしたのはなんとなくなんだけど、どうかな? 金色とか白色もアリかな? ワンポイントだけじゃなくて、もっとガンガン入れてもいいかな?」
「ハハハ、俺よりも女子に聞いたほうがいいんじゃない? それこそメッシュ入れてる女の子に……」
……はい?
「鳩山君の意見が聞きたいんだけど、なんで他人に丸投げするの?」
なんで一緒に考えてくれないの? なんで好みを教えてくれないの? どんどん要望を聞かせてよ。鳩山君の好みに近づけたいからさ。
「だって俺そういうの分からんもん」
あ、あー、そういうこと? あーね、なるほどねー。よかったぁ……。私のことが大事だから、無責任なアドバイスはできないってことね? ふー……よかった、私はてっきり、『服装や髪型なんて勝手に俺好みに仕上げろや、めんどくせぇな』とかほざく男みたいなことを言いだしのかと。ははっ、鳩山君に限ってそれはないのに、私はまだまだ未熟だなぁ。もっと鳩山君のことを信じてあげなきゃ。最終的には私だけが信じられる世界にするつもりなんだから、そのためにも私が鳩山君を信じないと始まらないよね。




