第125話 外堀埋め立て計画
断腸の思いでコギャル達と親睦を深めた結果、私と鳩山君が実質恋人だということが学年中に広まった(さすがに全員とまではいかないだろうけど)。私がイメチェンした直後はチラチラと視線を送ってきていた男子達も、噂が広まるにつれて私への関心を失っていった気がする。あれっ? もしかして私って、鳩山君以外から見てもそれなりに可愛い? ……まあ、たしかに前よりはちょっと可愛くなったって自覚はあるよ。最近は鏡を見ても嫌な気持ちにならないし。
まあ、多少可愛くなったところで、コギャル達には勝てないんだろうな。別にどうでもいいけどね? 百人の有象無象から求愛されるより、鳩山君一人から求愛される方が価値あるし。それにアレでしょ? 私のことを狙ってた男子達って、本気じゃないでしょ? 高橋君……だっけ? あの小坊主と同じで、簡単に落とせそうだからというクソみたいな動機でしょ? 腹立つなぁ……。
ちなみにだけど、男子達は鳩山君に対して若干冷たくなった。私を取られたくらいで妬んでるの? 男子ってどれだけ性欲を持て余してるの? 気持ち悪いなぁ。
「高橋君、怒ってるの?」
「別に?」
鳩山君、そんな男ほっときなよ。簡単に落とせると思った三軍女子にフラレたかと思えば、その三軍女子は自分より格上の男のスケだったっていう展開にキレてるんだよ、その小人は。
「なぁ、鳩山ー」
「ん? どしたの、鈴木さん」
「あのさー……あんまり足ばっか見ないでくんね?」
それな、よく言ったコギャル。私が指摘したら重い女だと勘違いされそうだから、言うに言えなかったんだよ。
……そんなにミニスカって魅力的なのかな? 好意のない女でも見ちゃうもんなのかな? いや、分かってるよ? 一般的な男子は皆そうなんだろうけど、相手は鳩山君だよ? 私を傷つけないために一切手を出してこない鳩山君でも、コギャルの太ももには勝てないの? 男の本能なの?
「珍しいね、キミがそういうことを言うの」
「はぁ? ビッチだって言いたいん?」
ビッチじゃん。意外とそこまで男遊びしてないらしいけど、どこまで本当か分からないよ。
「言ってない、言ってない。キミは派手に見えて、心のキレイな乙女だよ」
「……そういうのもやめてくんない?」
本当にね? 勘違いする女が出てくるから本当にやめてほしい。でもよかった、鈴木さんには事前にアピールしまくってたから、なんとか我慢できてる。乙女心が揺れ動いてるんだろうけど、私に気を遣って盛れないみたい。
「なんでそんなに冷たいんだ? 急に突き放されちゃ、悲しいじゃないか」
「……」
「キミとは良い友人でありたいんだけど、そう考えてるのは俺だけかい?」
しつこいな、鳩山君。鈴木さんは必死に我慢してるんだから、もう刺激しないであげてよ。私と鈴木さんの友情(まあ鈴木さんから一方的に向けられてる物だけど)なんて、男が絡めばすぐに崩壊するんだから。
女の友情って本当に脆いからね? 自分が無関係な時は全力で同調するけど、自分が不利益を被る可能性が出てきたら急に冷たくなるから。そういう生き物なんだよ、自己犠牲の精神なんて男の世界だけだよ。
「友人ねぇ……………………。男女間の友情って成り立つんかな」
「俺はそう信じてるけど」
「じゃあ聞くけどさ、もし……そういう雰囲気になったら?」
聞かないで! 話が長引けば長引くほど、誤解しちゃうから! 鳩山君は貴女に恋愛感情全くないから! ワンチャンあるとか考えずに話をぶった切って! コギャルなんて難しい話題になったら、『バカじゃね?』とか『ウザッ』みたいなテンプレで言い返して、それで勝った気になる生き物でしょ?
「お互いに好意があれば、まあ、なるようになるんじゃない?」
「ヤるっての? マジで?」
「お互いにそういう気持ちだったら、そりゃまあ……もう高校生だし」
……鳩山君? そういうの良くないよ? ヤるつもりなんてないくせに、期待を持たせるようなことを言っちゃダメだよ? ましてや……。
「……アンタ、よく言えるな。雨ちゃんの前でさ」
ましてや自分のスケの前でさぁ。
「んー? 気にしなくていいよ、続けて続けて」
こーれはお仕置き案件かなぁ? 鳩山君には鳩山君の言い分ってモンがあるから、一応は聞くよ。ただ、どんな事情があるにせよ許せないかなぁ。さすがに不快というか、面白くないよね。
まっ、とりあえず鈴木さんは及第点かな。私が近くにいるとはいえ、よく鳩山君の甘い言葉を我慢できたね。よく勘違いしなかった。偉いよ。
……私がいないところでも我慢できるかどうかは疑問だけどね。一応、この女も監視しておくか。




