↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自己肯定感の低い女子を褒め続けたら人気者になったので距離を置くことにした  作者: シゲ ノゴローZZ
雨宮視点

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/137

第122話 自己ベスト更新

 よしっ、あのクズ男は追ってきてないみたい。三軍女子にフラレたショックで動けないのかな? そのまま足に根が生えて動けなくなればいいのに。

 あっ! 鳩山君! 当然だけど待っててくれた! 帰る場所があるっていいね!


「お待たせ、鳩山君」


 先程の怒りはどこへやら、清々しい気持ちだ。


「ずいぶん早かったね?」


 私が無事に帰ってきたことで安堵してるみたい。


「うん。向こうも本気じゃなかったみたいだったから」

「ちゃんと断れて偉いね」

「きゃっ!?」


 なっ、なっ、撫でられた! 無事に再会できたのが嬉しいのは分かるけど、いくらなんでもスキンシップが激しいって! 不意打ちでそんなことされたら、ここが屋外だってことを忘れちゃうよ。忘れたらどうなるって? ……えへへ。


「ゴメン、女の子って頭を撫でられるの嫌なんだよね」


 取るに足らない一般論と共に謝罪を述べ、手を引っ込めようとする鳩山君。こんなソフトタッチだけで終わりなんて、世間はそれを生殺しと呼ぶんだよ?


「雨宮さん? 何? その手は……」

「撫でられるのが嫌ってのは、相手によると思うよ?」


 言うまでもなく私と鳩山君はナデホーダイプランです。だから遠慮しないでいいんだよ? せっかくの無制限プランが無駄になっちゃうから。


「……もしこれが高橋君だったら?」

「反射的に膝蹴りしちゃうかも」


 ここでついつい『蹴り殺しちゃうかも』って言わないあたり、私って結構おしとやかだよね。


「普通は手を払ったり、体を反らしたりするんじゃないかな?」

「恐怖とか嫌悪感を感じた時に、相手を慮る余裕なんてないよ」


 さっきも鳩山君という存在がなければ、渾身の膝蹴りで保健室送りにしてたよ。


「この前も思ったけど、雨宮さんって少しばかり攻撃性を秘めてるよね」


 『お転婆で可愛い』って意味だよね?


「私のお母さん厳しいから、イジメられそうな時は反撃しろって教えられてて」

「それは気を強く持てって意味じゃない? ウジウジしていると余計にイジメられるから、強気に出ろっていう……」

「それもあるだろうけど、もしもの時は手を出していいって」


 男子相手なら周りの大人達が味方してくれるって言ってた。今の時代にそれが通じるのかどうかは分からないけど、逆パターンよりは確率が高いよね。


「そっか、深くは聞かないけどさ……。とりあえず手を離してくれないかな?」


 なんで離す必要があるの? まだ撫で足りないでしょ? 私が撫でられ足りないってことは、鳩山君は撫で足りないはずだよ。だって相思相愛だもん。


「だって……離したら撫でてくれないでしょ?」


 さっき嫌な目に遭ったし、ちょっとくらい甘えてもいいよね?


「撫でてほしいならいくらでも撫でるよ。いつでもね」


 っ! ふ、不意打ちがお上手なんだから、もう。うー……私って結婚した後もこうやって振り回されるのかな?


「え、それって……」

「うん、そのまんまの意味だよ」

「……もー」


 〝いくらでも〟とか〝いつでも〟って、完全に結婚の示唆だもん。絶対に私を逃さないという意志、執念を感じるよ。


「じゃあそろそろ帰るかい?」


 ナデナデはお預けかー……。でも婚約の重ねがけをしてくれたわけだし、ここは我慢、我慢。その代わりと言っちゃなんだけど……


「……あの……そろそろいいよね?」


 ナデナデは我慢するけど、手を繋ぎながら帰るのは我慢しなくていいよね? だって今更遠慮する必要ないもん。


「まさかとは思うけど、手を繋いで帰ろうってこと?」

「ダメ……かな?」


 断られるはずがない。だけど強引に手を繋ぐより、鳩山君の口から『繋ぎたい』って言ってほしい。これが乙女心……?


「俺はいいんだけど、雨宮さんはいいの? 俺と交際してるとか、そういう噂が立つ可能性があるよ?」

「……? うん、いいけど……?」


 もう噂は立ちまくりだと思うよ? 私達が交際してるのを知らないのは、さっきのクズ男ぐらいでしょ。


「じゃあ、握るよ?」

「あっ……大きい……」


 頭を撫でられた時や、手を弄り倒された時以上に手の大きさの差を感じる。ただ手のサイズが違うってだけなのに、安心感が凄いや。


「雨宮さんの手は小さくて可愛いね。柔らかいし」


 いつだって褒めることを欠かさない。鳩山君が異性経験ないって奇跡すぎるよ。


「……それは女の子の手だから?」

「いや、雨宮さんの手だからだよ」


 くぅー! 的確に私が求めてる言葉をくれる! 心の中を読まれてるんじゃないかと不安になってくるよ、ここまできたら。


「……あのね、実は男の子と手を繋ぐのって、体育祭のフォークダンス以来なんだ」


 言うまでもないことだけど、アピールできるところでアピールしておかないと。鳩山君が私に安心感を与えてくれるんだから、私もお返ししないと。


「そっか。俺はわりと繋ぐけど……」

「は?」


 この日、私の握力の自己ベストは更新されたと思う。人間の力は普段セーブされてるって本当だったんだね。危ない危ない、ついうっかり大事な恋人を壊しちゃうところだった。……私がうっかりしないような答弁を求むよ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。