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自己肯定感の低い女子を褒め続けたら人気者になったので距離を置くことにした  作者: シゲ ノゴローZZ
雨宮視点

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第112話 断固たる決意

 想い人の前で下品なコギャルの誘惑に負けそうになっただけでもアウトなのに、口を開けば言い訳ばかりで挙句の果てには困った顔。さてさて、これはどういうことなんだろうね。


「楽しかったよね? 鈴木さんって明るいし、大人っぽいし」


 今更だけど名前合ってる? 鳩山君以外どうでもよすぎて、クラスメイトの顔と名前よく覚えてないんだよね。


「キミと喋ってる時のほうが楽しいよ。それは間違いない」


 ……本当に私を喜ばせるのが上手いね、貴方は。メンヘラ女だったら『どうせ誰にでも同じこと言ってるんでしょ? 女の子だったら誰でもいいんでしょ?』って喚き散らすんだろうけど、私は鳩山君を信じてるよ。でもここですんなりと許すのはよくないと思うんだ。こういうのって、なあなあにしちゃいけないからね。


「それ言っとけばいいと思ってるよね? 心にもないことばっかり」


 我ながらちょっと意地悪かな? さて、鳩山君はどういう対応を……。


「あのさ、こういうのって主観とかあるから一概には言えないんだけどさ、少なくとも俺はキミのほうが可愛いと思うよ」


 ……ノータイムでこれ? いくらなんでも私のこと好きすぎない?

 だってさ、認めたくないけど鈴木さんって世間的には美人系でしょ? 私の顔面偏差値が低すぎるってことを差し引いても、世間的には私よりも遥かに評価が高いはずじゃん? この評価はいくらなんでも嬉しすぎるって。お世辞でも嬉しいのに、一切のお世辞抜きなんだよ? ああ、だめ、どんどん好きになる。

 っとと、いけないいけない。心を鬼にするって決めたんだから、厳しい眼差しを向けないと。


「……さすがに嘘だよね?」

「ほら、その顔。俺の好きな表情だよ」


 ……腹が立つぐらいふてぶてしい顔をしているはずなんだけど、それすら褒めてくれるんだよ? いつもの三割増しぐらいブサイクな表情してたはずなのに、好きだと言ってくれるんだよ? 無理! ニヤニヤが抑えられない!


「うー……。私ってチョロいのかも……」


 表情筋が言うことを効かないから、両手で顔を隠して乗り切ることにした。いや、乗り切れないのは分かってるけど、オーバーリアクションを取っているフリをしているって設定にしておこう。うん、何を言ってるか自分でも分からないや。


「でも、でも、でも……。鈴木さんのほうが男子から人気あるでしょ?」

「それは知らんけど、それでも俺はキミのほうが好みだよ」


 マジで好き! 好みだって言ってくれたこともそうだし、私より鈴木さんの方が人気だってことに関してもすっとぼけてくれた! 鳩山君は正直な性格だから『たしかにそうだけど』って文言をつけそうなものなのに、自分を曲げてでも私を立ててくれたよ。嬉しすぎる……けど、ここまで好きなのによく浮気したね? いや、浮気ってのはメンヘラすぎるかな。でも浮気一歩手前だよ? 私が束縛強い系だったら、今日の内にでも既成事実コースだからね? 良かったね、私が理知的で。


「嘘だよ、嘘。だって嬉しそうに抱き合ってたし」

「嬉しかったのは認めるよ。俺だって男だし」


 ……そこはさすがに認めるんだ。正直不快だけど、下手に嘘をつかれるよりはいいのかな?

 ……やっぱ嫌かな。今すぐ私が望む言葉をかけてくれないと、容赦なく蹴りが飛んじゃうよ?


「アレが私だったら?」

「アレって……鈴木さんとキミの立場が逆だったらってこと?」

「うん。同じような反応になってた?」


 ……めちゃくちゃ緊張する。怖いな、鳩山君って本当に正直者だから『鈴木さんの方が巨乳だしなぁ』とか言いかねないよ。多分その後に『顔とか声とか性格とか、スタイル以外は全部キミが一番なんだけどね』ってフォローしてくれるのは確定してるんだけど、それでも嫌だなぁ。いや、私の方が好きっていう結論に至るのは本当に嬉しいんだけど、それでも嫌だよ。そりゃまあ、スタイルは明確にあっちのほうが上だよ? それは事実だし、スタイルで負けてる私に非があると思うよ? でもさ、この場であえて言うようなことじゃないじゃん? ここはとにかく私を褒めてほしいというか、褒めるだけでいいよ。お願い、私に暴力を振るわせないで。


「そうだね……。雨宮さんって小悪魔系の可愛さが似合うし、アリかな」


 えっ、結婚する? これもう完全にプロポーズじゃん。だって鳩山君の頭の中から鈴木さんとかいうズベ公が完全に消え去ってるもん。私一色じゃん。


「こ、小悪魔系? それって……凄く褒められてる気がする」

「褒めてるんだよ」

「でも、私ってあんまり……発育が良くないし」


 ……こ、怖い。私を喜ばせる一言がくるのは分かってるけど、それでも怖いよ。いやっ、だからこそ怖い。鳩山君の言葉いかんで私の心臓が止まるかもしれない。法で絶対に裁けない完全犯罪が発生するかもしれない。


「デリケートな問題だから深くは言及しないけど、俺は今のキミが好きだなぁ」


 止めにきた! 心臓を止めにきた! インフルより高熱出てるよ!


「っ! い、今のは冗談じゃ済まないけど?」


 私のコンプレックスを完全に受け止めてくれてるってだけでもヤバいし、何よりも今の私が好きってそれ……現段階で好感度マックスってことでしょ? イイ女になるのを待つまでもなく、現時点で結婚したいってことでしょ? うぅ……カップルの過ごし方すら想像つかない私が、学生結婚(しかも高校だよ?)なんて、こんなこと現実にあっていいの?

 ……そろそろ覚悟を決めないといけないね。鳩山君のキャラクターならこれからの高校生活、大学生活で色々な女性と知り合えるはずなのに、その未来を捨ててまで私と結婚したがってるんだもん。私も断固たる決意というのをしなきゃね。


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