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自己肯定感の低い女子を褒め続けたら人気者になったので距離を置くことにした  作者: シゲ ノゴローZZ
雨宮視点

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第108話 素の涙

 私のちょっとした意地悪、お茶目にガチ効きしたらしく、珍しく鳩山君が辛そうな表情をしてる。ちょっと可愛いかも。


「わかった、わかったよ。しつこく褒められたのが嫌だったんだよね? もう褒めないから……可愛いとか言わないから……もう勘弁……」


 ……ふーん? へー……そっかー、ほー。意地悪に対して意地悪で返しちゃったってところかな? だってそうだよね、褒めるのをやめるとかDVと同じだもん。お母さんが『もうご飯作ってあげないから!』って小学生に言うようなもんだよ? ライフラインを握ってるのをいいことに、相手の意見を封じ込めるっていう最悪のやり方だよ? ちょっと酷いなぁ、褒められる喜びを教えて、それを餌に私を操ろうとするなんてねぇ。言っちゃ悪いけど、ヤク漬けにする時の手法だよそれ。


「え……? 言わないの……? もう言ってくれないの……?」


 鳩山君、前言撤回しないと私も本気出しちゃうよ? ……ああ、そう、謝らないんだね。分かった、貴方の今後を考えずに攻めさせていただきます。


「髪を切ったり、マニキュアしたり、鳩山君の望む女になろうと頑張り続けてきたのに……もう捨てるの?」


 私の予想以上にガチ効きしたみたいで、鳩山君は沈痛な面持ちになってる。ガチ効きというより、ガチ危機? いや、別に危機ではないか。外堀が埋まるのは、鳩山君としても都合が……。


「ゴメン、本当にやめてくれない? こういうことされると、雨宮さんとお話するの嫌になっちゃうからさ」


 ……えっ? 拒絶……? 鳩山君が私を拒絶……。


「鳩山が雨宮さんを泣かせたぞ」

「かわいそー……」

「もう飽きたんかアイツ」


 ……え? あっ……あれっ、私泣いちゃってる? あ、あはは……こんな漫画みたいなこと、本当にあるんだね。ちょっと驚いたけど、無事に外堀が埋まったみたいで安心したよ。

 ………………女の子を泣かせるなんて、貴方は悪い子だね。結婚生活が楽しみでならないよ。




 イライラするなぁ。鳩山君ったら、ここまでの十分休憩ほとんど絡んでこなかったんだけど。え? 気にしてるの? いや、恋人を泣かせたんだから気に病むのは当たり前というか義務なんだけどさ、男の子なんだからもうちょっとしっかりしてほしいなぁ。私は理解ある女の子だからいいけど、他の女の子だったら確実に面倒なことになるよ? まあ、他の女の子のことなんて考える必要はないんだけどね。


「や、やっと昼休みだね」


 ようやく話しかけてきたけど、まだ気まずさが残ってる。もー、別に怒ってないのに(むしろ昼まで待たされたことに怒ってるよ)。


「……うん」


 なんか癪なので、少し塩っ気のある対応をしてみた。ここで普通に対応すると、事の重大さを分かってもらえないからね。っていうか今日まだ一度も褒められてないんだけど? 手も触ってくれてないし。


「今朝はその……なんか様子がおかしかったみたいだけど」


 ……はい? まずは泣かせたことを謝るべきじゃない? っていうかおかしくないんだけど?


「……そう?」

「えっと、ほらっ、なんか周りを誤解させるような発言が多かったというか」


 ……ふむ。てっきりペコペコと平謝りしてくると思ったんだけど、なんかちょっと他責思考してる感があるね。しっかりと躾をしてあげなきゃいけないところだけど、ここは器の大きいところを見せようかな。


「えへへ、鳩山君が優しいから、ちょっと意地悪しちゃった」

「あっ、そうなんだ? はは、雨宮さんはお茶目で可愛いなぁ」


 ……! きたっ! 可愛いって言ってもらえた! なんか嬉しすぎて、駆け引きとかどうでもよくなってきたよ。


「かっ、可愛くなんて……そんな……」

「その反応も可愛いよ」

「もー! 褒めたって、足の裏しか出せないよ?」

「……ははっ、サービスがいいね」


 よしっ、グッドコミュニケーション。これもう完全にカップルの会話じゃん。さっきまで考えてたプランが吹き飛んじゃったよ、嬉しすぎて。

 私の反応にまでトキメキを覚えるって、それもう常に一緒に過ごして色んな私を見続けたいってことじゃん。ズルいなぁ、私と違って無意識にプロポーズとか匂わせができちゃうんだもん。


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