思想と絆の境界線
お久しぶりです。
実は書き溜めしてたやつですので、書き足してるところがもしかしたら最初の方と合ってない所があるかもしれなくもないです。
その場合はすぐに修正しますので見つけたらご報告してくださると本当に嬉しいです。
「フギン。君はこの槍を主に届けてくれるかな」
俺の肩から降りる。
鴉は幼く可愛い少女の姿へと変わる。
「これでもう怒鳴られなくて済むね。」
少女は紅槍を握りしめる。
「じゃ、俺は戻るから。」
少女は頷いて、少年は倒れている鐘苻を抱えて塔を降りていく。
「偽れば、神であれ明かされる。」
少女はバラバラに落ちた骨を見下ろして呟いた。
そして、遥か彼方の洞窟でも一人の少女が呟いた。
▷▶︎▷
「天ノ空の上で安らかな癒しを。辛き一生に一時の安らぎがあらんことを。」
「皆!!」
皆が待ち望んだ一声が洞窟の奥深くまで響く。
「蒼夜!!」「透空くん!!」「蒼夜!」
皆が、俺の方へと駆け寄ってくる。
「大変だ、あの骸骨と戦闘してくれた鐘苻さんが何らかの力で意識を失って……どうにか倒したけど、鐘苻さんが心配でここまで走って帰ってきたんだ!」
あぁ、なんで嘘を吐いてるんだろうか。
嘘ってこんなにも辛いのか、いつも味わうあのチクチクとは違うな。いつバレるか分からないこのドキドキと胸を締めつける感覚……気持ち悪い。
今すぐに吐きたい。
「まじかよ……分かった、今は蒼夜と鐘苻さんが生きて帰ってきてくれた事が何よりだ。」
「あぁ、皆…心配かけてすまん。」
俺は、分厚い仮面の上で謝り、中で涙を流す。
「透空くんが、無事で良かったです……ひぐっ。」
俺の涙とは異なった涙を俺の前で流す桜木さん。
「ねぇ、ベルリアで何か見つかった?」
僕は一冊の日記を取りだした。
「これだけだ、世界初のクロス持ちが残した日記……内容は、世界に公表されている過去よりも残酷で隠蔽している真実もここにある。」
「これを世界に公表すれば、IKSOにとっては致命傷になりうる。」
「蒼夜、その日記の発見は凄いけど肝心のこの結界を剥がす方法とかは?」
そうだ、僕達は結界を壊すためにあそこに行った。
その結果、鐘苻さんが意識とこの日記のトレードとなった。
「実は全てを探索しきれたわけじゃないんだ、おそらくは最上階に行けばこの結界のコアとなるものがあるかもしれない。」
「じゃあ、また行くの?」
「必然的にそうなる、ただ今回の事からあそこがどれだけ危険か身に染みて分かった。だから、今回は僕と神代、瀬の三人で行きたい。瀬と神代さえ良ければだが……」
瀬が僕の肩をガシッと掴んで背中を叩く。
「俺は構わねぇよ、一度味わった恐怖だ。二度来ても三度来てもへっちゃらだ。」
「私も構いません。」
よし、神代のクロスは単に戦闘向きであるし瀬のクロスは、何があるか分からないベルリアでとても有能なクロスといえる。
「だけど、時間を置いて上原が起きてから行こうと思う。ここの主力は鐘苻さんと上原になるだろうから片方が起きたら僕達は出発する、それまで休憩だ。」
「了解。」
僕は、大きな丸い石に腰を下ろして座る。
皆それぞれが、ひと段落して落ち着いているからか話し合ったり水を飲んだりと自由にしている。
「透空くん、と言ったかな 隣に座ってもいいかな?」
船員服を着たおじさんが僕の隣に座る。
「まず最初に、君たちをこのような危険な所に巻き込んでしまって申し訳ない。船長として私が君たちを最後まで届ける責任があったのにも関わらず、私の不注意でこのような不祥事を招いてしまった事を謝罪しても許されないことを分かっている。だけど、申し訳ない。」
おじさんは僕に頭を下げる。
「気にしないでください、これはそもそもIKSOが仕組んだ罠ですから、僕たちにアシガを殲滅させるために起こした事故、いや事件です。」
「なので、あなたは悪くありません。僕達が許さないのはあなたではなくあなたまでも巻き込んだIKSOですから。」
おじさんは僕を見て、なんだか寂しそうな目をする。
「君たちはすごいよ、大人であっても困惑してしまう状況下でこんなにも冷静でこんなにも頼れて神様が君たちにクロスを与えた理由が分かったかもしれない。」
「……クロスは船長から見てどのような存在に見えますか?」
船長は不意をつかれたような顔をして笑う。
「私は藤川 樂米と言う。藤川と呼んでくれて構わない。」
藤川さんは、間を置いて言った。
「これはあくまで私から見える君達だが、クロスを持つ者たちは皆揃って強い。実力もだが、心も強い。君たちを見ててそう感じた。」
「クロスはその人の思想に大きく反応するものなんじゃないかと思う。」
「と、言いますと?」
「君たちは大きな揺るぎない目標を掲げて仲間と共に強い思想を持って動いている。」
「強い思想ですか……?」
「あぁ、先程を例にするなら君たちはベルリアの結界を打ち破るために向かった。」
「その最中できっと強大な敵と対峙したのだろう。先程の少女が倒れていることがそれを表している。」
「倒れてはいるが死にはしていない。君たちが対峙した敵がどれだけ強大な敵だったかは知らない。だが、その者から逃げる場面で生き残るという大きな目標を掲げてその目標を達成しようと強く考えた中できっと君たちのクロスは君たちを支えてくれたはずだ。」
「君たちの強い思想を実現させるために神は君たちにクロスを与えたのではないかな。」
「それは神にとってなんのメリットがあるのでしょう。だって俺たちは別にクロスが発現する前の文明、科学が全てを支える世界でもやっていけてました。」
「それは神のみぞ知るというものだ、私のようないい歳こいたおじさんには分からないよ。」
「ただ、クロスを与えるには君たちのような強い若者が適任だったのではないかな?」
「長くなってしまったね、まぁ私が思うにクロスは強い思想の持ち主に与えられ、その者を支えるためにあるのではないかと思っている。」
強い思想を持つ者を支えるための存在。
じゃあ、クロスを持たない者は強い思想を持っていないのか?
そう聞こえてしまうが、きっとそうではないのだろう。
藤川さんが俺に言いたいのはそうではないと思う。
強い思想……か。俺に強い思想があるのだろうか。
俺は……いや、やめよう。考えても悲しくなるだけだ。
「ありがとうございました、いい話が聞けて楽しかったです。」
俺は藤川さんにお礼を言って立ち上がる。
「あぁ、こっちも君のおかげで気持ちが楽になったよ。ありがとう、そして本当に申し訳ない。」
僕は藤川さんに微笑んで立ち去った。
~~~
「けほッ!けほッ!……あぁ、いてて」
「あ!上原が起きたぞ!!蒼夜!!」
俊介が僕の名を大きく呼び上げる。
「よしっ、出発だな。」
僕は神代と瀬を手招きする。
「うっし、行くんだな?」
「私はいつでも行けます。」
「よし、じゃあ上原に伝えてから行こう。」
~~
「んん、あれ?私……アシガに………。」
「大丈夫ですよ、私たちが倒しました。」
「神代……ちゃん………。」
「ちゃん?」
「好きやわ、神代ちゃん好き!!私の正義のヒーローや。」
「あ、あはは……それよりも上原さん。私たちは今からベルリアに行くので海の傍であるこの洞窟は上原さんに守ってもらいたいのです。」
「えぇー、私、今起きたばっかりやで?」
「重々理解しています。その上でのお願いです。」
「しゃあないな、わかった。」
「ここは私に任せて早くこの結界ぶち壊してきて。」
「はい、お願いしますね。」
私は上原さんに微笑み、手を振った。
「死んだら殺しに行くからなーっ!!」
「はいっ、生きて帰ってきます!!」
~~~
「さて、ベルリアの最上階を目指して行こうか。」
「おう!」「心して参ります。」
ここから先は何が居るかも分からないしどんな隠された事実があるかも分からない未知の塔。
そしてその全てを知っているのは神だけ。
「神のみぞ知る世界の真実……臭いことを最近言ってしまうな。」
俺たちは塔の扉を押した。
~~~
「あは……ははっ、駄目よ。だめ……足の震え、おさまって。お願いだから震えないで……まともに、歩けないじゃない。」
私の足は罪を犯したことへの震えでまともに歩けなかった。
人を殺したことへの恐怖じゃない、その恐怖を抱かない自分への恐怖でもない。
───罪を犯したことで瀬と再会出来なくかもしれない。───
ただその恐怖が私の心を支配する。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
どうでしたか?久しぶりの裏切り。
今後からは土日の休日に一話ずつ投稿していくつもりです。
完結までまだ遠いですが地道に書いていくのでどうか応援の方お願いします。m(*_ _)m




