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迷路の迷路  作者: 畠山葵
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消えては生まれる劣等感

ここまで心が崩れたのは、やっと見つけたずっと働きたい職場と12年付き合った彼氏と別れたからだ。

やりがいがあり、人にも恵まれ家に持ち帰ってでも知識を詰め込んだ仕事。

恥ずかしながら今まで仕事は長続きしたことがなかった。

けれど20代後半を迎えて御縁があったこの会社は絶対に辞めてはならないという志があった。

個性的な人達に振り回され引き継ぎも殆ど無かったが何とか過剰適応しながら1日1日を過ごしていった。

居場所が出来、仕事も任される事が増えた頃、恋愛は歪み出した。


普通なら結婚してもおかしくない月日だ。

私は恋愛の先には結婚という始発があるんだと、のほほんと構えすぎたのだ。


何度か彼に問いかけた。

結婚する意志が有るのか、無いなら別れたい。と

ただ、口にされるのは変えられない事実と、よくわからない彼の意識だけだ。

私の家が離婚してる、父親が社会的に地位の低い仕事をしてる、私に持病がある、私には腰椎椎間板ヘルニア術後の後遺症がある、親族との仲が希薄である、家の格が違う、私に学がない、

結婚するなら私だと思うけどよくよく考えると、違うと思う事の繰り返しだと彼は口にしていた。


彼の実家は古風であり、夫婦仲も睦まじく3人の子供を立派に大学まで通わせた。

自営業で採石業を営みハイブランドを着こなす父親に、家の事を充分に切り盛りする母親、次男はIT会社へ務め、長女は旅行会社の営業をする。


付き合ってた時から実家からの仕送りは高いお菓子や高級品な甲殻類。

お下がりだとロレックスを付けハイブランドの服を好み、妹は成人式で、百万以上する振袖を一年待ちで手に入れ見せられた写真は何と憎かった事か。


私の成人式は、自ら貯めた貯金を握りしめ借りに行った物である。

家族連れや、母娘が犇めく中、一人で振袖を眺めては金額とにらめっこ。

店員が、一人で可哀想だから二万円までまけてくれると、耳打ちされて望んだ柄と色の素敵な物を着ることが出来た。


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