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僕の胸に響く君の鼓動  作者: チームつちのこ
二章 見上げる空

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17話 繋がり

 だって、赤い糸って……それはつまり、


 運命の人!?


 僕と?カティアが?



「……」

「どうしたの?何か変よ、ユウ」

 謎に動揺している僕を見て、カティアがそう声をかける。



「ぁ、いや……」

「……大丈夫」

 なんでみんな大丈夫じゃない時に、大丈夫って言ってしまうんだろう、そんなぐらい動揺している僕。


 いや、だって、小学生高学年か……良くても中学生みたいな年下の子が運命の人だって示されたら、動揺もするでしょう。


 だって、下手したら事案で逮捕されちゃうかもしれない。

 それに僕みたいな人間に、カティアみたいな可愛い女の子は不釣り合い過ぎて、カティアに迷惑がかかってしまうかもしれない……なんて自分に向かって言い訳する。



 ん?でもまてよ、カティアはお姉さんだったか?

 なら、合法なのか?でも異世界で合法とは?などと、頭が混乱し始めてる。


 

 落ち着け僕。



 だってカティアはお姫様?なんだし、それ相応の立場とか身分のふさわしい人が居るはずだ。


 それに例え糸があったとしても、カティアの気持ちのほうが大事なんだと思う。


 こんな僕みたいな人間が、そういう人だったらカティアはきっと困る。



 だから、僕がそういう人だなんて事は……無いだろう。




 なので少し冷静になって考える、赤い糸……赤い?


 そう言えば、赤い糸は血管を表している……という説もある。


 だから、カティアと僕の血管が繋がっていて……


 そうか、僕の胸の中にあるのはカティアの心臓だったモノ。


 時折、自分じゃないドキドキを感じる事があって、それはカティアの鼓動?が僕に伝わっている気がしていた。


 仕組みとか原因は分からないけれど、カティアと僕の心臓というか鼓動が繋がっていて、それが赤い糸として見えているんだ。



 だから運命の人とかじゃ無く、共鳴とか鼓動が同期してるだけの生理現象、うん。


 それだ、それで行こう。



「ちょっと顔が赤いわよ」

「初めて魔力使って、疲れたのかしら」

 カティアは僕の顔を見てそう言う。

 動揺して、挙動不審な僕を心配してくれているのだ。


 可愛らしい上に優しいとか、凄いなぁカティアは。




「そ、そうだね」

「ちょっと休憩にしよう」

 僕は心を落ち着かせる為に、 そう言ってペンタ師匠にも声を掛けて一休みする事にした。




 ススス……



「ふぅ……」

 お茶をすすり、空を見上げる僕。


 気持ちのいい青空と、優しく吹き抜ける風が心を落ち着かせてくれる。


 さっきまで動揺していた心が、穏やかになっていく。


「それで……」

「どうだった?魔法は」

 同じ様に、お茶を飲みながら隣に座るカティアがそう話す。


 魔法……昔カティアに異世界話をしてもらった時とか、学生時代に読んでいたファンタジー作品などで出てきた魔法。


 それを今の僕が使えている。



「凄いね」

「本当に魔法だよ」

 僕はそうカティアに返答しながら、自分の手のひらを見つめる。


 と言っても、実際に使えたのは収納魔法ぐらいなのだが、それでも魔法は凄い……そう思える程である。



「ふふっ」

「それは良かった」

 そう言いながら微笑むとお茶をすすり、カティアも空を見上げる。


 なんだか縁側でこんな風にお茶をすすりながら会話していると、長年連れ添った老夫婦の様だ。


 まぁ……間違ってないのかもしれない、僕とカティアは20年近く前に会っていて、その時にもいっぱいお話をしていた。


 だからなんとなく話しやすいし、心が落ち着く気がする。


「ユウ殿は、スジが良いですからな」 

 そうペンギンのペンタ師匠が、僕に向かって話す。

 そう、一つ違う点があるとすれば……ペンギンも同席している、という所か。



「いやぁ、そんな事無いよ……」

「皆みたいに魔法、って感じのものでも無いし……」

「ペンタ師匠は、水と氷で」

「カティアは炎?雷?」

 僕はペンタ師匠とカティアを見ながら、そう問いかける。


「そうね」

「私は炎と雷の特性が、強く出てるみたい」

「竜の因子が影響だと思う」

 そう、カティアは魔族と竜のお姫様?である。


 お茶をすすり、落ち着いているカティアの頭にはツノがが生えており、黒色ベースでミントグリーンの差し色のゴスロリ服の後ろからは尻尾も出ている。


 なんだか見慣れてきて、違和感が無くなってきていたが……異世界の竜のお姫様だった。



「ペンタは水龍の系統だから、水とか氷が特性として出てるわね」

 カティアがペンタを見ながら、そう言った所でさらに思い出す。

 ペンギンに見えるペンタゴンのペンタ師匠も、一応竜だった。

 お腹には大きな黄色の星マークもあるし、自称竜の執事?側仕え?との事である。




 僕が多少魔法を覚えた所で、さすがにそんな凄い異世界人?竜?達とは、僕の力を比べたら天と地ほどの差があるのだろう。


 むしろ収納魔法が出来ただけでも、褒められるべきである……。

 そんな風に自分を励ます僕。



「ユウの属性は……」

「無属性?って言ってたわね」

 そう、僕は派手に炎を出すわけでもなく、華麗に水や氷を扱う訳でもない。

 無属性……だったのだ。



「無属性は、特殊な魔法が多いから」

「ユウもそうかもね」

「どんな感じの魔法だったの?」

 僕を励ましてくれているのか、カティアが優しく問いかけてくる。



「ぁ〜、えとね」

「……糸というか、なんというか」

 糸を感じる?見える?という、言葉にしにくい説明をしようとした辺りで思い出す。


 赤い糸。


 それをそのまま説明したら、カティアが困っちゃいそうだな……なんて勝手に気を回して、上手いこと言い換える僕。


「探し物を見つける能力……みたいな?」

「モノや人とかの繋がり?的な物が見えるというか」

「感じられる力?」

 僕はなるべく分かりやすく説明してみる。




「……感知系って事ね」

 僕の話を理解してくれた様で、その能力を簡潔に分類してくれる。



「感知系魔法は、色々な所で重宝されるから」

「むしろ凄いわよ、ユウ」

 僕にそう言ってくれるカティア。

 励ましてくれてるんだろうな〜なんて勝手に思う僕。


 色々な所で重宝される……事にあんまりいい思い出が無かった会社員時代。


 都合よく使われて、仕事を押し付けられる……そんなイメージしか無かった。


 だけど、今はなんだか違う。


 カティアに励まされて不思議と嫌な気持ちはしない、むしろ嬉しい。

 僕の力がカティア役に立つというのなら、喜んで使いたいとも思う。



「思ったより、魔法っぽくないのが残念……だけどね」

「こんなので、ちゃんと魔法使えてるって言えるのかどうか……」

 嬉しい気持ちはあるものの素直に口には出せず、僕はそう言ってしまう。



「大丈夫よ、ユウは魔法使えてるわ」

「……昔っからね」

「ほら」

 そう言ってカティアが見せたのは、お茶と一緒に出していた小袋。

 お菓子の入ったファミリーパックの個包装の袋だ。




「美味しい魔法」

 半目でクールキャラなのに、嬉しそうに微笑むカティア。

 そう……昔の僕は、こういう個包装のお菓子を持ってカティアに会いに行っていた。


 当時は名前も知らず、お姉ちゃんと呼んでいた記憶がある。

 そのカティア……お姉ちゃんと個包装のお菓子を一緒に食べていた。


 その時に言った言葉、美味しい魔法。

 僕の初めて使った魔法だ。



「……そうだね」

 僕はその個包装のお菓子を持って、カティアに微笑み返した。


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