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僕の胸に響く君の鼓動  作者: チームつちのこ
二章 見上げる空

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18/18

18話 休息

 お茶と個包装のお茶菓子、僕達はそれらを堪能して一息ついた。


 その後、水とか火などの基本魔法の練習もしてみた僕。


 水は水芸みたいな水がチョロチョロ出る程度だったし、火はマッチかライターぐらいの火しか出せなかった。


 適正が無属性って出てたし、当然と言えは当然の結果である。


 それでも魔法が使えた、という事に僕は内心喜ぶ。

 派手な攻撃には使えなくても、火は着火とかに使えるし、水は洗い物や飲み水で使用出来そうだ……とポジティブに考える。



 収納魔法自体はもう使いこなせてきた。

 あとは糸を感じる能力?なのだが、昔から探し物とか道に迷った時の道標的に使ってた感覚なので、なんとなく使い方は理解出来る。


 これをどう鍛えるのか……とか、何に使えるのか?とか考える事は一杯ある。


 ……が、空を見ると赤く染まり始めていた。



「もうそんな時間か」

「今日はこの位にしておくかな」

 魔法の練習をしていたら、いつの間にか時間があっと言う間に過ぎていた。

 徐々に沈んでいく夕日を眺めながら、僕は呟く。




「お疲れ様ですじゃ」

 魔法について色々と教えてくれたペンタ師匠が、そう言いながらペタペタ歩いてきた。


「そうね、色々頑張ったわね」

 縁側で僕を眺めていたカティアも、そう労ってくれる。



 魔法か……感慨深げに僕は赤く染まる空を眺めながら、日は暮れていった。





 そのあとは晩御飯を手早く作り、みんなで美味しく頂いた。

 食べ終わった食器を片付けている辺りで、僕は思い出す。

「……あ」

「そう言えば今日、宝物庫?ダンジョンの攻略とか……何もしていないけれど」

「大丈夫かな」

「なんだっけ?放っておくとマズイんだっけ?」

 蔵の宝物庫ダンジョンが危ないと最初に聞いた時は、空が淀んだ紫色となっていた。


 それをそのままにしておくと、蔵やこの実家の異世界化か進んでダンジョン内の魔物が溢れ出てくる、と言われ一層を頑張って攻略したのだが。


 あ、頑張ったのは主にカティアなんだけれどね。


 今日の空は綺麗だったからか、ダンジョンの件を完全に失念していた。



「朝ご飯の後に蔵の様子を見に行ったわ」

「主だった変化は無かったから今の所は大丈夫だとは思うけど……攻略は進めていかないとね」

 その半目でクールな顔で説明してくれるカティア。


 僕とペンタ師匠が魔法の練習をしていた時に、そんな風に気を回してくれていたなんて……まるでお姉さんみたいに気が利くなぁ。


 ……っと危ない危ない、見た目から危うく子供扱いしそうになるが、お姉さんだった。


 そんな風に思っているのがバレない様、カティアにほんのり微笑みながらお礼を言う。

「ありがとう、カティア」



「……」

「まぁ、ユウの家の蔵でもあるけど、ウチの宝物庫でもあるし」

「これぐらい当然……よ」

 僕の笑顔に照れたのかちょっぴり顔を赤らめながら、カティアはそう返答する。


 そのドキドキがほんのり僕にも伝わってくる。

 どうやら子供扱いしそうになった事は、バレて無さそうだ。



「宝物庫の件、ワシも手伝いますぞ」

 すると、その隣でペタペタと元気よく叫ぶペンタ師匠。


 ペンタ師匠も手伝ってくれるのはありがたい。

 なんてったって僕は戦力にならないから、カティア一人に負担がかかってしまう心配があったからね。


 カティアのお世話をしていた事もあって、きっと僕よりもカティアのお役にたってくれるはず。



 そんな事を考えていると、

「でも今日はしっかり休みなさい」

「色々とあって疲れたでしょう」

 カティアは僕にそう言う。


 今日は魔法の練習しただけなんだけれど、思いのほか疲れている気がする僕。


 それはそうか、初めて魔法というものに触れて、心も体も思った以上に疲労がたまっているのだろう。


 そんな僕を気遣ってくれるカティア。


「確かに」 

「今日の所は、しっかり休息を取っておいた方が良いね」

 ちょっぴり心配そうな顔をするカティアに、僕はそう返答する。

 ブラック会社員時代は、ちゃんと休んで……なんて言って貰える環境じゃ無かったからか、カティアの優しさが余計心に染みるよ。




 ……しっかりと休むなんて。何時ぶりだったか。


 実家に戻って来てからも、引っ越しの手続きやら片付けやらで忙しかったし、ゆっくりと休息を取るなんて……そんな基本的な事すら忘れていた。


 ……そう考えながら片付けや雑用を終え、寝床に入るとすぐに睡魔が襲ってくる。





 チュン、チュン。


 ……気がつくともう朝になっていた。


 自分の想像以上に疲れていたのだろう、なんだかいつもよりグッスリ寝れた気がした。


 おかげで昨日の疲れもスッカリ取れて、普段より爽快な朝を迎えた気がする。


「……ぅ〜ん」

 背伸びをしながら、高くなりつつある日を眺める。


 カティアはまだ起きて来ていない様なので、朝食の準備を始める事にした。




 トントントン……


 小気味良い包丁の音が響き、ご飯が炊ける香りもしてくる。

 今日は和食の朝ごはんである。


 そんな香りに惹かれて、台所と居間を仕切る襖が静かに開く。


「……ぉはよぉ、」 

 ほとんど開いていない目をこすりながら、鼻をひくつかせて出てきたのは……カティア。


「ぁ、おは……」

 その声に反応して、振り向きながらそう言いかけた辺りで、


 バタン!


 バタバタ!


 グェ゙ェェ~


 勢い良く襖が閉まり、激しい音が鳴り響く。


 先程、襖が開いた瞬間に目に入ったのは……寝癖大爆発のカティア。


 昨日も見た気がするが、今日は閉まるのが早くて一瞬しか見えなかった。


 そしてバタバタ音がしたり、ペンタ師匠の悲鳴が聞こえたりとデジャヴ感のある光景。


 スス……



「ふぅ」

 そして静かに襖が開くと、髪が綺麗に整えられたカティアが姿を現す。


「おはよう、ユウ」

 何事もなかったかの様に、話を始めるカティア。



「おはよう、カティア」

「うん、今日も綺麗だね」

 今回も心中を察してあえて触れないでおく僕。



「……っ!」

 すると急に顔が赤くなり、胸がドキドキしてくる。

 僕の?いやカティアのか。


 先日と同様のそんな光景が微笑ましい。




 その後、出来上がった朝ごはんを並べる僕。


 お味噌汁と玉子焼きの他に海苔、そして白米と漬物。

 さらに、ペンタ師匠から分けてもらった鮭を使った焼き鮭。

 まさに朝ごはんといったものが、食卓に並ぶ。



「ぉお」

 それを見てカティアは感嘆の声を上げる。

 この香りに誘われて、カティアは起きてきたのだろう。

 

「「いただきます」」

 ペンタ師匠もやってきて、僕達三人は朝ごはんを頂く。



「……うまっ」

 相変わらず美味しそうに食べてくれるカティア。

 食事している時は、クールキャラを置いてきぼりにしてジト目で半目な顔が満面の笑みになる。



「美味しいのぉ」

 ペンタ師匠にも好評の様で良かった。

 鮭を分けてもらったから、お返し出来たようで何よりである。


 こうして朝ごはんを食べ終え、片付けが終わった辺りで本題に入る。


「……さて」

「宝物庫ダンジョンの攻略だね」

 僕はカティアとペンタ師匠にそう切り出す。



 昨日の夜にざっくりと会話はしたけれど、休息を優先したので攻略の話が進んでいなかった。


 なので、僕達は攻略に向けた準備を始めた。

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