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僕の胸に響く君の鼓動  作者: チームつちのこ
一章 思い出の蔵

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10/15

10話 宝箱

 カティアに向け大技を放ったミノタウロス、それでも倒せていないカティアを警戒し、こちら見て身構えている。

 


 カティアはと言うとデザートのグミを食べたからか、先程以上に凄まじい気迫でミノタウロスに対峙する。


「……大丈夫そう?」

 いや、見る限り大丈夫そうなのだが……先程ミノタウロスの大技を受けたり、小さな女の子に戦わせてしまっている申し訳なさから、そうカティアに問いかける。



「もう大丈夫」

「……任せて」

 半目でクールなので分かりづらいが、嬉しそうで自信に満ち溢れている気がする。


 よっぽどデザートのグミが美味しかったのだろう。

 嬉しそうなカティアを見ていると、こちらまで頬が緩んでくる。



 するとカティアの方からなにやら音がして来る。



 バチッ、バチッ


 聞き覚えのある破裂音?が聞こえてきて、その音のする方向……つまりカティアの方を見ると綺麗な銀髪、そこから生えたツノに紫のような青色のような光が走っているのが目に入る。



「相変わらず……凄い」

 コスプレの様なよく出来たツノから見える光、そしてその周囲の空気が震える。

 


(フルミネ)()(フォッコ)

 カティアが静かにそう呟くと同時に、ツノの周囲にあった光が一段と輝く。


 前に見た時と違い、その光……というか雷の様な炎の様なモノは、カティアを包み込む。


 発射するのでは無く、自身の強化に使った?と何となく理解する僕。



「……これで終わりよ」

 その炎の様な雷を身体に纏い、勢い良くミノタウロスに向かって飛び出すカティア。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


 その速さは今までよりも速く、まるで紫色の雷が地を這う様だった。


 目にも止まらぬ動き……かろうじてカティアが巨大ハンマーを振り被るのが見えた、かと思うとミノタウロスへと振り下ろされる。


 ズグォオォォォォォォォォン!!


 落雷みたいな轟音が響き渡り、ミノタウロスにカティアという雷が落ちる。



「……うへぇ」

 流石に大人なので、雷の音を聞いて泣いたりはしないが……ちょっと泣きそう。


 凄まじい衝撃と煙が辺りを包み込み、僕はそれを見つめる。



「……」


 やがて煙が晴れていき、その煙の先から人影が見えて来る。


 綺麗な銀色の長髪を靡かせ……


 黒色ベースでミントグリーンの差し色のゴスロリドレスのフリルが揺れる。


 その輝く髪から伸びる黒色のツノが映え、ゴスロリドレスからは尻尾が伸びる。


 カティアだ。



 対峙していたミノタウロスは見る影もなく、肉塊となっていた。


「……ふぅ」

「こんなものね」

 振り下ろした巨大ハンマー、ミョルニルを片手に持ち立つカティア。

 その華麗で美しいも強い姿に僕は目を奪われ、

 ドキッ……鼓動が高鳴るのを感じた。 



「さてと」

 カティアは手に持った巨大ハンマー、ミョルニルを手放すと同時にそのハンマーは光の粒子となって霧散する。


 消えた?というより収納したのかな。



 そしてそのまま僕の方へ近づいて来る。



「勝った……のかな」

「お疲れ様」

 側に来たカティアにそう声をかける僕。



「まぁ、こんなものよ」

 そう言いながら綺麗な銀髪をかき上げるカティア。


 途中ちょっと腹ペコになりかけて、ピンチだった気もするが……あえて突っ込まないでおいた。

 

「……これで」

「第一層クリア?なのかな」

 そう言って僕はカティアに問いかける。


「まだよ」

 そのカティアの言葉に周囲を警戒する僕。

 え、あのミノタウロスみたいな敵がまだいるって事?


「大丈夫よ」

「もうモンスターは居ないわ」

 そんな僕を見て、安心させる様にカティアは話を続ける。

 その一言で、僕は少し安堵する。



「アレを開けて、攻略完了……って所ね」

 そう言いながら指差す先には、



「宝箱?」

 部屋の中央には宝箱があった。


 最初に部屋に入った時や、戦っている最中には無かった筈。

 ボス?であるミノタウロスを倒した事で出現した、と考えるのが普通だろう。



「ダンジョンに、宝箱……」

 まさにファンタジーの定番。

 ここが異世界?なのだと改めて僕は感じる。



「宝物庫……だから」

 宝箱を見つめる僕に、そう説明してくれるカティア。


 そうだった、このダンジョンは宝物庫ダンジョン?とやらで、むしろたかがあるのが普通なのだった。



「これを開ければ、攻略完了になって」

「実家の異世界化も解決?って事なのかな」

 宝箱の前に立つ僕とカティア、そのカティアに問いかける。


「ひとまず……今すぐに魔物が溢れ出す」

「そういった状況では無くなるわね」

「根本的な解決では無いから、ただの時間稼ぎだけど」

 心配そうな顔をする僕を安心させる様に、説明してくれるカティア。

 

「時間稼ぎ……暫くすると魔物が溢れ出す、って事?」

 そう返す僕を、カティアは半目クールな顔で答えてくれる。


「そうね、根本的な解決としては最深部へ行かないと」

「……先ずは第一層攻略からよ」

 なんだか先は長そうだなぁ……と顔に出ていたのか、それを察したカティアが宝箱を見ながらそう話す。


「そうだね」

 今更不満を言っても仕方が無いし一歩づつ、一層づつでも進んで行くしかないかな、そう思い僕も話を合わせる。



 僕とカティアはお互いをチラ見した後、二人で宝箱の蓋に手をかける。


 息を合わせ、ゆっくりと宝箱を開ける。



 ギィィィィィィィ……


 鈍い音を立てながら宝箱の蓋が開いていく。



 宝箱、開けるのは初めてだ。

 一体どんなお宝があるのだろうと、ちょっぴり心を躍らせながら開いていく宝箱を見つめる。



 ヒュン!!



 ガスッ……

「ぐえぇぇっ……」


 宝箱の蓋が開くと同時に、何かが飛び出してきて僕に直撃する。

 しまった、宝箱と言えばトラップ。


 お宝と見せかけて罠があり、矢が飛んできたり……宝箱自体が魔物のミミックだったりと、宝を狙う者の命を狙う。


 そんなトラップを喰らってしまった。


 またミノタウロスの時みたいに命を落とすのか、なんて思っていると……



 ペチペチ


 なんだか濡れた手で頬を叩かれている様な感覚。


 倒れ込んた僕の胸の上に何かが乗っていて、バタバタ暴れている。

 その手?かヒレ?が僕の頬に当たっていたのだ。


 トラップにしては即死というわけでは無さそうだし、特に怪我をした訳でもない。


 何だろう……と僕の上に乗る何か、を改めて見つめる。



「……」

「……!?」

「ペンギン!!」

 そう、宝箱から飛び出して僕の上に飛び乗ったソレ。


 ペンギンだ、何処からどう見てもペンギンである。



「姫様〜」

 ん?何かペンギンが喋った気がする。


「姫様ぁ〜」

 確かに……喋ってますね、このペンギン。



「……ぁ、いや」

「僕はお姫様では無いのだけれど……」

 胸の上でパタパタするペンギンに、そう話しかける僕。



「……」

「……!?」

 倒れ込んだ僕の上に乗ったペンギンと目を合わせる僕。


 微妙な間が開いて変な空気が流れる。



「誰じゃ!」

「誰じゃお前は!!」


 ペチィィィィィィ!!


「うぼぁっ……」

 ペンギンがそう叫んで、その濡れた手で僕の頬を平手打ちする。


 宝箱のトラップってこういうものなの?と頭の理解が追いつかない。


「いや、そっちこそ誰よ!!」

 理解は追いついてないが、ひとまず反射的にツッコミを入れる僕。



「ワシか?」

「ワシは竜の執事!!」

「王龍様とその姫様に仕えし、竜の側仕えぞ!」

 僕の上で仁王立ちになり、胸を張ってそう叫ぶモノ。


 いや、どう見てもペンギンなんだけど。

 

 

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