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「お前は戦力外だ」と追放されたカードゲーマー、伝説級レアカードで無双する ~元クラスメイトたちは没落したけど、俺は美少女パーティーとダンジョン配信で大成功しました~  作者: どすこい。お嬢様
第四章

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第39話 一軍の男子と女子は彼を標的に

「……アタシはもう限界だ。早く決めてくれ、悠真」


 シュンリンだけが、燃えるような赤いツインテールを揺らし、拳を握り締めていた。

 赤金色の大きな瞳が、目の前の男たちを射抜いている。

 悠真は前髪の奥で、茶色の瞳を静かに細めた。


(助ける価値があるかどうかなんて関係ない。あいつらが俺にしたことを、俺はまだ覚えてる。許してもいない。だが……このまま見ていることは、できない)


 静かに腰からデッキケースを引き抜く。

 その表面を撫でる指先には、もはや迷いはなかった。


「──行くぞ」


 その一言に、五人が同時に動く。


「簡易領域能力──クイック・デュエル・フィールド!」


 悠真の足元に、魔法陣が炸裂するように展開され、青白い光が円形に広がる。

 デッキケースが輝き、カードが空中へと射出された。


「召喚──ビキニメイド・フレイムダンサー! さらに即時魔術──緊急召集・エマージェンシー・サモンでビキニメイド・サンダーヴァルキリーを特殊召喚!」


 魔法陣から二体の美女が実体化する。

 炎を纏った紅蓮のビキニアーマーを身に纏い、両手に炎の短剣を構えた細身の女性。


 そして雷を纏った金色のビキニアーマーを着込み、手に電撃の槍を携えた長身の女性が、悠真の左右に整列した。


「な、なんだ……!? カード召喚なんて聞いてねぇぞ!」


 怯えた冒険者が叫ぶ。


「くそっ……逃げ──」

「逃がすかよ。フレイムダンサー、突撃!」


 炎の渦が足元に巻き起こり、紅蓮の短剣が閃いた。

 冒険者の胸部を貫き、その巨体が数メートル後方へ吹き飛ぶ。


「サンダーヴァルキリー、援護しろ!」


 金色の槍が雷鳴と共に振り下ろされ、逃げようとした別の冒険者を地に縫い止めた。

 そして刹那、ホウキの太刀が鞘走りに空を斬る。


「悪逆を働く者よ……冥府への道、拓いて差し上げましょう」


 一閃。桜花の魔力が刃に纏いつき、二人目が倒れた。


「敵、十五。三手に分かれて制圧する。全員、命令を待たず即応せよ」


 アウラが低く告げ、銃を構えて地を蹴る。

 デッドアイ・シュートの魔眼が発動し、弾倉に七発の魔弾が装填された。

 引き金を引くたびに、音速を超えた弾丸が正確に敵を貫いていく。


「さあ、始めましょうか。シルヴェスター家の剣の重み、とくと味わいなさいな」


 金色の狐耳を立て、アイリスは幻影の反逆を発動する。

 三体の彼女が三方向から同時に冒険者へと迫り、レイピアが急所を正確に貫いた。


「豊穣の賜り物──千荊縛鎖!」


 シャルルが長杖を振るい、無数の茨の蔓が、冒険者たちに絡みついていく。

 棘が肌に食い込み、毒が滲み出した。長く細い耳が立ち、翠色の瞳が静かに輝いていた。


「野蛮な破壊──行くぞォッ!!」


 シュンリンが吠える。

 燃えるような赤いツインテールを振り乱し、龍化第一段階の鱗が両腕に浮かび上がった。


 硬質な爪の拳が冒険者の顔面を粉砕し、その巨体が地面に叩きつけられる。

 もはや、敵に成す術はなかった。


 血と魔力と茨が混じり合う地獄のような光景の中、悲鳴が幾重にも重なり、肉が裂け、骨が砕ける音が廃墟に響き続ける。

 やがて、最後の敵が倒れ、広場に静寂が戻った。


 残るのは血の匂いと、無残に転がる冒険者たちの姿。

 悠真はデッキケースを、静かに外套の内側へと戻しながら、広場の中央に視線を向けた。


 縛られたままのクラスメイトたち。血と泥にまみれた騎士団の面々。

 誰も彼に礼を言わなかった。言える状況でもなかった。


 だが、それでいい、と悠真は思う。

 茶色の瞳が、静かに、どこか遠くを見ていた。


「……悠真くん。あの子たちを縛る縄、解いてもいいんだよね?」


 戦いを終えて直ぐに、シャルルは問い掛ける。

 悠真は黙って頷いた。


 シャルルが一人ずつ縄を解いていく。

 長く細い耳がゆったりと揺れ、翠色の瞳が静かに作業を続けていた。

 魔力封じの縄は硬く、解くのに時間がかかる。


「全域、制圧済み。周囲に敵影なし」


 アウラが短く報告を入れる。猫耳を前方へ向けたまま、銃を構えながら視線を巡らせていた。

 縄を解かれた一軍の男子と女子たちは、戸惑いながらも立ち上がる。


 その足取りは覚束なく、衣服は破れ、顔や腕には無数の傷と痣が刻まれていた。

 鈴音の顔面には殴打の痕が紫黒く広がり、麗華は足を引きずりながら歩く。


 奏恵は瞳に焦点が合っておらず、ぼんやりと虚空を見つめていた。

 そんな中で、真っ先に悠真を見つけたのは樟葉である。


 色素の薄い銀髪が乱れ、そして深紅の瞳が──彼の姿を捉えた。

 漆黒の外套に返り血が乾きかけた悠真の姿は、以前のクラスの中で見かけた時とはまるで違う。

 表情は無機質なまでに静まり返り、茶色の瞳が静かに前を向いている。


「……悠真、だと?」


 樟葉の声に反応して、他のクラスメイトたちも彼を見た。

 瞬間、その場の空気が変わる。


 驚愕と、警戒、そして拒絶。麗華が、震える声で言った。


「な……なんで、あんたがここに……。うそ、でしょ……?」


 水色のツインテールが乱れ、丸い水色の瞳が揺れている。


「……ちっ、もっと早く……助けに来いよ……無能が……」


 鈴音の口元が歪む。ワインレッドの髪が乱れ、赤金色の瞳に怒りが浮かび上がっていく。


「なぜ貴方がここにいるの……っ。オタクに助けられるなんて……虫唾が走りますわ」

「……お前に助けられるくらいなら、あのまま死んでた方がマシだったかもな……」


 その言葉を皮切りに、周囲からざわめきが広がる。

 悠真は沈黙を貫いた。

 

 揺れる視線を真正面から受け止めながら、言い訳も弁解も一切しなかった。

 そして、その場にいた全員が静まり返る中──樟葉が一歩、また一歩と彼に歩み寄っていく。


 その歩幅は遅く、だが確実に間合いを詰めていた。

 そしてついに、真正面に立った樟葉は、ためらいなく悠真の漆黒の外套の胸倉を掴み上げる。


「てめぇ……ふざけんなよ」


 その手は震えていた。

 怒りによるものなのか、悔しさなのか、判別できない。

 彼は微動だにせず、ただ樟葉を見据えたままだった。


「なんでだよ……なんで、もっと早く来なかったんだよッ!」


 怒声が空間を揺らすように響いた。


「もっと早く来てりゃ……っ、騎士団の人たちが、あんな目に遭わずに済んだかもしれねぇんだぞッ! 麗華も、鈴音も、姫香も、どんな顔して泣いてたと思ってんだよッ!」


 涙をこらえるように、樟葉の歯が鳴る。


「あの人達(女騎士)はな……俺たちを守るために、最期まで戦って、血だらけになってたんだよ! そいつらがどんだけボロボロだったか、てめぇ見てねぇだろ!? 知らねぇだろッ!」


 その叫びには怒りだけではない、恐怖と無力感が入り混じっていた。

 拳が震え、悠真の胸倉を掴んだまま、樟葉の深紅の瞳からは一筋の涙が落ちる。


 彼はそれでも、何も言わない。

 ただ黙って、樟葉の怒りを受け止めていた。

 その沈黙が、かえって周囲の不信と憎悪を焚きつける。


「どうせ、あたしたちがどうなっても関係ないって思ってたんでしょ!? 昔からそうじゃん、誰とも話さないで一人でカードとかやって……!」


 鈴音が叫ぶ。


「キモいからって無視してたのはあたしたちだけどさ! でもっ、でもだからって、こんな時くらい助けてくれたっていいじゃん……!」


 麗華も続いた。水色のツインテールが揺れ、丸い水色の瞳から涙が溢れている。


「…どうして……どうしてもっと早く、ここに……」


 姫香が震える声で呟く。黒紫の髪が乱れ、深い赤紫のワインレッドの瞳が揺れていた。

 その場に立つ仲間たち──ホウキ、シャルル、アウラ、アイリス、シュンリン──は、言葉を発せず、ただ悠真の背後に立ち続ける。


 まるで盾のように、まるで壁のように。

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