第36話 ダンジョン内に響く、水音と肉のぶつかる音
「どうやら、この騎士様は見た目通り、随分と頑丈な心をお持ちのようだ」
男は柱の前で立ち止まり、見上げるように彼女の身体を眺める。
吊り上げられた腕。強制的に反らされた背。露出した腹部と太腿の筋肉。
そして、腕を上げた姿勢のせいで隠すこともできない腋。
男の視線が、そこへ向いた瞬間、レオノーラの肩が僅かに震えた。
「騎士様ってのは戦うばっかりで、身だしなみは気にしねぇのか?」
無精髭男から屈辱的な言葉が発せられると、周囲の冒険者たちがどっと笑う。
レオノーラは唇を噛み締めた。
「……黙れ」
低く吐き捨てる。だが男は楽しそうに肩をすくめただけだった。
「おぉ、怖い怖い。だがぁ、その格好で睨まれても迫力がねぇな」
そう言うと男は鎖を力強く引く。
「ぐっ……!」
さらに腕が上へ引き上げられた。肩が悲鳴を上げ、背筋が大きく反る。
つま先が完全に地から離れ、体重が手首にかかった。
鎖が皮膚に食い込み、赤い線がさらに深くなる。
呼吸が乱れた。それでもレオノーラは叫ばない。ただ男を睨み続ける。
「……本当に面白ぇ女だな。普通なら泣き喚いてもおかしくねぇぞ」
にやりと男は笑った。レオノーラの胸が大きく上下している。
痛み。羞恥。それでも彼女の瞳だけは折れていない。
「んで?そいつ、どうすんだよ?」
その様子を見て、別の冒険者が口を開いた。
無精髭の男は少し考える素振りを見せ、それから肩を鳴らす
「決まってんだろ。こんな上物は滅多に手に入らねぇ。せっかくだし、もう少し楽しませてもらおうじゃねぇか」
不敵な笑みを浮かべながら、男はレオノーラを指差す。
すると、その言葉を待ち望んでいたかのように、周囲の男たちが下卑た笑い声を上げた。
レオノーラの指先が僅かに震える。怒りの震えだった。
「……私は……騎士だ……。どれだけの辱めを受けようとも……貴様らの下劣な行いに……屈するものか……!」
震える声で彼女は言う。 その瞳は、まだ死んでいない。
燃えるような赤の瞳。 誇り高き戦士の眼だった。
「……なんてこと。あまりの卑俗さに、吐き気がいたしますわ……」
悠真の傍らで、アイリスが喉を震わせる。
腰まで届く艶やかな金髪は怒りに小さく波打ち、頭頂部の金色の狐耳は、不快感を隠しきれず激しく動いていた。
誇り高き蒼い瞳は、目の前の野蛮を直視することに耐えかねたように、鋭く、そして侮蔑の色を帯びて細められる。
だが冒険者たちは、アイリスの貴族的な威圧感など意に介さない。
彼らが次に狙いを定めたのは、地に組み伏せられた一人の少女、天原姫香だった。
「離しなさい、この下衆……ッ!」
自身を拘束する無骨な手を振り払おうと、姫香は細い肢体を悶えさせる。
戦記姫としての神々しくも淫靡な装束――胸元を辛うじて覆うメタルビキニと剥き出しの腹部。
太腿を締め上げる革紐のガーターベルトが、彼女の激しい動きに合わせて白い肌に食い込む。
しかし、十センチ以上もある高いヒールは、硬い地面の上で自由な逃走を許さない。
「こ、の……ッ!」
抑え込まれた拍子に姫香は、相手の剥き出しの腕に噛みついた。
すると肉が裂ける生々しい音が周囲に響く。
「ぎ、ぎゃあああッ!? このアマァッ!」
「……っ、ふ、ふふ……。その程度の痛みで情けない声を出すんですのね。 そのチンケな男根と同じで、肝玉まで小さいのですね……この粗チン野郎がッ!」
噛みついたまま、彼女は赤紫の瞳に嘲笑の光を宿し、血に濡れた唇で言い放つ。
上品な令嬢の口から出たとは思えぬ、剥き出しの罵倒。
一瞬、場の空気が凍りついた。
だが、次の瞬間――逆上した男の拳が、何の遮蔽もなく晒された姫香の滑らかな腹部に、深々と叩き込まれる。
「――っ、が、ふ……っ!」
肺の中の空気が強制的に押し出され、彼女の細身の身体が”く”の字に折れ曲がる。
平らで美しい腹筋が衝撃で激しく波打ち、金色の鎖が肌の上で虚しく音を立てた。
あまりの激痛に、彼女の意識は一瞬で白濁する。
「お、げ……ぉ、ぇ……っ」
胃の内容物が逆流し、陶器のように白かった頬が土色に染まった。
姫香は地面に崩れ落ちると、そのまま無残に胃液をぶちまける。
肉と野菜が溶けて混ざり合う吐瀉物が、彼女の美しい黒髪と、高級なニーハイブーツを汚していく。
湿った鈍い音とともに、場に鼻を突く胃液の臭いが充満する。
さきほどまで傲慢に微笑んでいた戦記姫の矜持は、汚物と屈辱の中に無惨に沈んでいった。
「――テメェら……この俺様を舐めくさりやがってッ! もう、容赦しねぇ。後悔させてやる」
手を噛まれた男がレオノーラの鎖を断つと、赤髪を強引に掴み泥の中へと叩き伏せる。
そして男は力の限り剣の柄で、彼女の半壊状態の鎧を叩き完全に破壊した。
「あぐっ!? 待て……やめろ! 触るなッ、その汚い手で私を……ひぃっ、あぁああッ!」
鍛え上げられた腹部を無骨な指が割り、誇り高き双丘が白日の下に晒される。
男の分厚い掌が、抵抗する彼女の肉をひきつらせるほど強く、無慈悲に胸を揉みしだく。
そして、それを皮切りに大勢の野蛮な冒険者たちは、一斉に騎士たちへと群がり欲望の全てを解放した。
一軍の男子の隣では、アナスタシアが、冷徹な仮面を涙で濡らしている。
「……っ、うそ……こんな、任務にない……っ。やめて、お願い……離して……ッ!」
氷のような美貌は屈辱に歪み、装甲から零れんばかりの双乳が、男たちの濁った愛撫に震えた。
冷たい視線は虚空を彷徨い、指先が敏感な先端を弾くたび、彼女の背は弓なりに反り上がる。
「やだぁ……っ! 誰か、助けてぇ! 痛いの、もう、やめてぇええッ!」
アイラの無邪気な声は、子供のような泣き叫びへと変わった。
栗毛のボブカットを泥にまみれさせ、短いスカートを捲り上げられた太腿が、男たちの荒々しいピストンをまともに受け止める。
眩しい白い肌には、既に幾筋もの指跡と紅潮が浮かんでいた。
リディアは、くびれた腰を両側から掴まれ、獣のような咆哮を上げる男に背後から貫かれている。
「……っ、あ、あああぁッ! 嫌、嫌よっ……! こんな、獣みたいに……っ、ひぐぅっ!」
艶のある唇からは涎が垂れ、自慢の臍の周りを男の荒い舌が這い回る。
舞踏会の主役のような優雅さは微塵もなく、ただ翻弄される肉塊と化していた。
ナターリャも、その強気な瞳を恐怖に染めている。
「っ、ふざけないで……っ、殺しなさいよ! こんな……見世物みたいに……っ、いやぁああッ!」
自慢の長い脚を無理やり割り開かれ、引き締まった腹部に男たちの欲望が叩きつけられる。
彼女の覇気は、執拗に繰り返される肉の衝突音に、かき消されてゆく。
セレスティアは、その高貴な家柄ごと蹂躙されていた。
「……っ、もう、許して……お願いっ……! 壊れちゃう……ッ!」
蒼白な肌に男たちの熱い呼気が吹きかけられ、胸部の装甲を弾け飛ばさんばかりの巨乳が、代わる代わる男たちの口内に吸い込まれていく。
「あぁぁ……お願い、女神様……っ、助けて……っ!」
ミリエルは、慈母のような微笑みの欠片もなく、ただ狂ったように首を振る。
装甲を押し上げていた胸の膨らみは、男たちの粗暴な暴力で赤黒く変色し、露出した太腿のラインには、屈辱の証である白濁した液が滴り落ちていた。
「嫌……嫌い……こんなの……っ、やめてぇッ!」
ヴァネッサは、鋭い目付きを快楽の濁流に奪われていた。
短いスカートの下、戦士として鍛えた肉体が、男たちの巨大な質量に押し潰され、絶頂と絶望の入り混じった悲鳴を上げる。
最後に、銀色の三つ編みを握られたルシアが、琥珀色の瞳を大きく見開いた。
「……っ……私が悪かったから……っ! お願い、入れないで……いやぁあぁああッ!」
おっとりとした口調は、処女を散らされる断末魔のような叫びへと変貌する。
露出した腹部と太腿には、男たちの野卑な欲望が際限なく注ぎ込まれていく。
広場には女騎士たちが上げる、獣じみた肉の音と、プライドを完全にへし折られた女たちの、終わりなき悲鳴が響き渡っていた。
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