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「お前は戦力外だ」と追放されたカードゲーマー、伝説級レアカードで無双する ~元クラスメイトたちは没落したけど、俺は美少女パーティーとダンジョン配信で大成功しました~  作者: どすこい。お嬢様
第四章

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第16話 再び一軍の男子と女子たち接触

「……今、我が家は散り散りになりましたわ。誰もが一族を復興させるため、それぞれの場所で稼ぎ、立ち上がろうとしています。私は……このダンジョンを攻略し、必ずシルヴェスター家を復興させますの!」


 彼女は立ち上がり、レイピアの柄に手を置く。


「この鎧も、このレイピアも、追放の折に奪われそうになりましたが、必死に隠して守り抜きましたの。シルヴェスター家の証ですから。これを失えば……私はただの、落ちぶれた女に過ぎませんわ」


 一本の尻尾が静かに力なく垂れる。

 金色の狐耳はもう、逆立ってはいなかった。


「……色々と大変なんだな、お前も」


 ぽつりと呟くように、悠真は言い放つ。

 いつもの軽口とは違う、素直な声だった。


 アイリスは瞼を伏せたあと、ゆっくりと顔を上げる。

 金色の狐耳が、ゆっくりと持ち上がった。


「起きた事は今更変えようがありませんわ。私たちは未来を見て進むしかありませんの!」


 その言葉に迷いはない。

 言葉の端に宿る激情と決意の色は、彼女が口にした過去を乗り越えて、すでに今と未来に視線を移している証だ。


「んじゃ、そろそろ皆のとこに戻るとするか。お前も付いて来いよ。ちゃんと仲間たちに紹介しないといけないからな」


 それを聞いて悠真は、小さく笑うと身体を起こし、外套の汚れを払い立ち上がる。

 彼の言葉にアイリスは、一瞬だけ虚を突かれたように瞬きをした。

 しかし、すぐに目元に笑みを宿す。


「そうですわね。いつまでも、ここに居ても仕方ありません。それに貴方の仲間たちが、どんな人かも気になりますしね」


 彼女も、また立ち上がる。

 腰の後ろに右手を回し、軽装アーマーに付着した土埃を何度か叩き落とした。

 

 金属の軋む音と布が擦れる音が交じる中、真っ直ぐに背筋は伸びている。

 一本の尻尾が、ゆったりと揺れていた。


 やがて二人はダンジョン七十階層へと続く通路を歩き出す。

 ――そして仲間たちは地面に腰を落ち着かせて休んでいたようだが、悠真の帰還に気がつくと最初にシャルルが立ち上がり手を振る。


「おかえり、悠真くん。……あれ、だれだろ? んー……何処かで見覚えが……?」」


 クリーム色の軽鎧の下に薄手のブラウスを着込み、淡い金色に近い銀髪がふわりと揺れていた。

 続いて、無言のまま瞳を細めて警戒を解かないのは、ホウキである。


「また拾ってきたのか、悠真様。おや、今回は……いつぞやのプライドの高い貴族ですか?」


 東の国風の軽装和装に身を包み、腰の太刀に手を添えたまま、悠真の側に立つ女性の容貌を視界に収めた瞬間、わずかに眉を顰めた。


 その声に、アイリスが一歩前に出た。

 左胸に手を当て、背筋を伸ばし、声を張る。


「改めて名乗りましょう。私はアイリス・シルヴェスター。没落貴族の末裔であり、剣の道を歩む者。悠真とは、ある事情により共闘いたしました。そして、もし宜しければ……この場に加わらせていただきたいと思っております」


 口調には丁寧さと誇りが入り混じる。

 怯むことも卑屈さもなく、真っ直ぐな言葉。


「やぁ、僕はシャルル・デュノアイエだよ。……ねえねえ、そのかっこいいレイピア、どこで手に入れたの?」


 シャルルが拍手をしながら近づき、彼女の軽装アーマーを見上げる。

 翠色の瞳が輝いていた。


「手に入れたのではありませんわ。これは我が一族に代々伝わる家宝ですの」


 アイリスが誇らしげに言うと、シャルルは歓喜の声を上げて目を輝かせる。

 長く細い耳が喜びに揺れている。


 一方で、ホウキは無言のまま数歩近づき、彼女と向き合う。

 二人の視線が交差する。緊張が走るような沈黙。


「私はオリムラ・ホウキ。悠真様と共に剣を振るう者にございます。貴女の覚悟、見届けましてございます。これからよろしくお願いいたします」


 ぴたりと足を揃え、ホウキは丁寧に一礼した。


「こちらこそ。共に剣を掲げ、道を進みましょう」


 アイリスも、息を深く吸い、剣士の礼を返す。

 空気が緩んだ。


 そこへアウラが腕を組んだまま、無言でアイリスを一瞥する。

 帝国軍の制式制服は一分の乱れもなく、頭頂部の猫耳が前方へ向いていた。


「……シルヴェスター家か。名は知っている」


 短く、しかし確かな言葉。

 アイリスの蒼い瞳が、彼女の青灰色の瞳と静かに交差する。


「貴女は……帝国軍の方?」

「中尉だ。アウラ・ローゼンハイム。よろしく頼む」


 二人の間に、互いを測るような静寂が流れた。


「よし、これで全員に紹介できたな。……もう遅いし今日は、一旦安息地に戻って明日また潜ろう」


 そう満足気に頷くと悠真は、帰還の提案を皆にしてから懐から帰還核を取り出す。

 周囲の魔石灯が柔らかく揺れ、帰還の合図を静かに送っていた。


 ――そしてダンジョン七十階層から帰還して宿屋で休息を取ると、悠真は瞬く間に何時も通りの朝を迎えて、とある高級宿のベッドの上で目を覚ます。


 宿屋の二階、一番奥の部屋。

 頑丈なオーク材の扉を開けるとすぐ、壁に設えられた魔石灯が青白い光を灯している。


 その淡い光に照らされて、ゆっくりと彼の影が起き上がった。

 軋むベッドの音。


 女神から渡された漆黒の外套を肩に羽織り、冷水で顔を洗い装備を整える。

 腰にはデッキケースを固定し、寝癖混じりの暗い茶髪を雑に掻き上げた。


 朝食は一階の食堂にて。

 古木の梁が剥き出しになった高天井の中、暖炉に小さな火が灯っており、木の匂いとパンの焼ける香りが混じり合っていた。


 そこに既に揃っていた仲間たち。

 シャルルは淡い金色に近い銀髪を揺らしながら、白いマグカップを両手で包んでいる。

 長く細い耳が揺れ、翠色の瞳が眠たそうに細まっていた。


 ホウキは背筋を伸ばしたまま、東の国風の軽装和装姿で、静かに茶を啜っている。

 アウラは帝国軍の制式制服を一分の乱れもなく整え、猫耳を立てたまま報告書らしき紙を睨んでいた。


 そして最近加入したアイリスは、腰まで届く金髪を整えながら、蒼い瞳で窓の外を眺めている。

 金色の狐耳が、ゆったりと前方へ向いていた。


「悠真くん、遅い。パン冷めちゃうよ」

「……朝から寝坊とは、いけませんぞ、悠真様」

「遅刻は規律違反だ。次からは改めるように」

「おはようございますわ。今日も……良き一日にいたしましょう」


 軽口と挨拶が交わされ、朝食を取り、装備を整えると五人は宿を出た。

 安息地の通路を抜け、下の階層へと通ずる階段へと向かう。


 今日の目標はダンジョン七十一階層。

 昨日までに既に道は把握済みであり、通常の敵も脅威ではない。


 そして石造りの階段を降りる前に、悠真は腰のデッキケースを確認し、静かにマギスフィア・ミニの配信ボタンを押した。


「配信、開始っと」


 小さく呟いた彼の声が、安息地に溶けていく。

 それからダンジョン攻略を始めると序盤は順調だった。


 だが──中間地点の小さな石橋に差し掛かったところで、それは起きたのである。

 すれ違うように現れたのは、悠真にとってあまりにも見慣れた顔ぶれだ。


「うわ、マジで悠真じゃん」

「えっ、嘘。生きてたんだ?」

「え、なにそれ。ていうか、なにこの女ども?」


 彼ら彼女らは、かつての”クラスメイト”である。

 その中心には桐生樟葉。

 

 光の加減で淡く輝く銀髪のミディアムヘアに、長めの前髪が片目を隠すように流れている。

 深紅の瞳には鋭さと怠さが同居した不思議な魅力が宿り、常に余裕のある薄い笑みを浮かべていた。


 白銀の鎧を纏い、背には聖剣エクスカリンを佩いている。

 見るからに勇者然とした装いだが、その薄ら笑いだけは教室にいた頃と何も変わらない。


 その隣には佐々木奏恵。

 明るめの茶髪から金色にかけての髪色、細めで優しげな眉の下には、やや垂れ目の蜂蜜色の瞳が輝いている。


 半透明のケープを靡かせ、右手の指輪が淡く明滅していた。

 穏やかそうな笑みを浮かべているが、感情の奥が読み取れない。


 そしてその後ろに、宝条鈴音、羽佐田麗華、天原姫香──。

 鈴音は深みのあるワインレッドの髪を靡かせ、黄金のリボルバー二丁を手元で弄んでいた。


 赤みがかった金色の瞳が悠真を一瞥し、すぐに蔑みの色が浮かぶ。

 麗華は淡い水色と白が混ざり合うツインテールを揺らしながら、いつもの眠そうな表情を浮かべている。


 背中の巨大な白と水色の盾が、その小柄な体躯と酷く不釣り合いだ。

 そして姫香は、艶のある黒紫の髪をハーフアップに整え、深い赤紫のワインレッドの瞳で静かに、こちらを値踏みしている。


 黒と紫の装備から覗く白い肌に、毒の霧が纏う漆黒のレイピアを腰に佩いていた。

 この世界に飛ばされる前から、彼らは悠真を常に見下し、蔑み、関わろうともしない。

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