表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「お前は戦力外だ」と追放されたカードゲーマー、伝説級レアカードで無双する ~元クラスメイトたちは没落したけど、俺は美少女パーティーとダンジョン配信で大成功しました~  作者: どすこい。お嬢様
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/114

第9話 新たなパーティーの連携

「じゃあ、懲罰される前に楽しんじゃう? ……なんてね。ふふ、冗談だよ」


 手を口元に添えながら、シャルルは小悪魔のような笑みを零し、その場を後にする。

 だが悠真は内心で──いや、外面でも名残惜しそうに、その後ろ姿を見送っていた。


「色事にかまけて寝首をかかれても、それはいけませんぞ。悠真様」


 横からホウキが涼しい顔で釘を刺す。

 悠真は苦笑しながら、そそくさと自室へと戻った。


「……ま、何にせよ、今日の戦いは一区切りついたってことだな」


 そんな安堵を胸に、悠真は寝台に身を預け、軽い溜息を吐き捨てるのであった。


 ――それからアウラが仲間になり瞬く間に数日が経過すると、とある高級宿屋の一室にて悠真たちは起床を果たす。


「ふぁあ……今日も寒いね。朝食、もっと温かくしてほしかったな」


 白いマグカップを抱えたシャルルが、長く細い耳を伏せながら言う。

 淡い金色に近い銀髪がふわりと揺れ、クリーム色の軽鎧の下に着込んだ、薄手のブラウスの袖を引き寄せている。翠色の瞳が眠たそうに細まっていた。


「貴様が寝起きに、半端な格好でうろついていたせいで、宿の料理長が混乱していたのだ。自業自得だろう」


 口元をぴくりとさせながら、アウラが背筋を伸ばして言い返す。

 今日も変わらず帝国軍の制式制服に身を包み、襟は正確な角度で留められている。

 銀灰色の長髪は一分の乱れもなく、頭頂部の猫耳がぴんと立っていた。


「でもほら、コメント欄は朝から盛り上がってたし?」


 そう言うとシャルルは指を鳴らして、部屋の真ん中に設置されていた魔道具(映像投影機)を起動させて、白色の木製の壁に今朝の寝起き配信のコメント欄を表示していた。


『シャルルたんの寝起き配信助かる』

『シルエット見えた! シルエット見えた!』

『おはようございますアウラ中尉! 今日も一日忠誠を尽くします!』

『ホウキ様に正座で朝のご挨拶したい人生』

『悠真、今日の外套の色も渋いな』


 朝一でシャルルが独断で始めた配信に書き込まれた、視聴者たちのコメントの数々は今日も個性豊かである。


「まったく……規律もへったくれもないな、視聴者どもは」


 僅かに頬を赤くさせながらも、アウラは視線を泳がせていた。

 明らかに彼女も、コメントに目を通している様子。

 

 その証拠に、猫耳が小さく動いている。

 そして悠真は部屋の奥で、一人用の椅子に腰をかけ、マギスフィア・ミニ(配信)の準備をしていた。


 寝癖の残る暗い茶髪に、覇気のない茶色の瞳。

 しかし、その指先は迷いなくデッキケースを確認し、今日の手札を静かに整えていた。


「おい、配信回すぞ。ホウキ、準備できてるか?」

「はい、いつでも参れます」


 静かに立ち上がったのはホウキである。

 黒いポニーテールを力強く結い直し、東の国風の軽装和装を纏った凛とした佇まい。

 腰の太刀を一度確かめるように手で触れ、切れ長の黒い瞳が真っ直ぐに前を向いた。


「よっし、それじゃあ今日もいきますか。リスナーの皆、応援よろしくな」


 配信を開始させると共に、その言葉を口にすると、悠真は右手を軽く振り挨拶を行う。


『待ってたぞおおおおおおお』

『悠真キタァァァァ!』

『アウラ中尉ーッ! 踏んでください!』

『シャルルたん今日も最高だ……』

『ホウキ様ァ! 俺の魂、刀の錆にしてください!』


 配信が開始されて早々に、熱意の宿るコメントが続々と投下される。


「今日も騒がしいな……」


 苦笑しながらも、悠真は装備を整えた。

 女神から渡された漆黒の外套を肩に羽織り、デッキケースを腰に固定する。


 四人は宿の一階、ロビーへと降りると、そのまま宿屋を出て今日も今日とて、ダンジョン攻略を目指すべく、深部へと向かう為に足を進めた。


「今日も全員、無事に帰る。それが最優先だ。──行くぞ」

「承知いたした。正々堂々と、参りましょう」

「了解だよ、悠真くん」

「……任務遂行を最優先とする。各自、油断するな」


 全員が己の果たすべき役割を理解すると大きく頷いて反応する。


『このパーティー、マジで最高』

『推しが多すぎて困る』

『アウラ中尉に叱られたい』

『ホウキ様の視線だけでご飯三杯』

『悠真、頼むから我が夫になってくれ』


 視界の端で続々とコメントが書き込まれる中、悠真たちは淡々と足を進めると段々と、安息地の喧騒が遠ざかってゆく。


 ――そして悠真たちはダンジョン七十階層──かつては『落雷の苗床』とも呼ばれた危険区域へと到達した。


 この層も、現在では攻略者の手によりある程度の制圧が進み、条件付きで一部の冒険者たちに開放されている。


 それでも魔物の数や危険度は高く、油断をすれば即死もあり得る深層であることに変わりはない。

 そんな場所に、四人の影が蠢いていた。


「この鉱石、思った以上に含有率が高いな。こいつは商人たちも喜ぶぞ」


 ゆっくりと腰を落として、悠真は手にした鉱石を確かめている。

 そして彼の言葉に対し、すぐ傍で屈み込んでいたアウラが応えた。


「おそらく"雷霊晶"だ。七十階層でも、この東側の水脈帯でしか見られない希少鉱。任務完了の報告と共に、正式な見積りも提出しよう」


 彼女の帝国軍制服は、常に皺ひとつなく整えられている。

 黒と濃紺の詰襟が首元に沿い、金属の留め具が軍人としての威厳を象徴していた。


 銀灰色の長髪は綺麗に流れ、頭頂部の猫耳が前方へ向く。

 その表情は何時も通りの硬さを保ち、視線には妥協というものが微塵も見えない。


「ねえ! 見て見て──! この果実、めっちゃ甘い匂いがするんだよ。ほら、カメラ寄って!」


 シャルルの声に応じて、映像が一瞬ピントを変えた。

 クリーム色の軽鎧の下から覗くしなやかな四肢が、魔石灯の光を受けて白く輝いている。


 淡い金色に近い銀髪がふわりと肩にかかり、長く細い耳がわくわくしたように前方へと向いた。

 白い指先が持ち上げた赤橙色の果実は、表面が宝石のように輝いている。


『シャルルたん今日もかわいすぎワロタ』

『その果実になりたい』

『ちょ、果実よりお前の耳の方が気になるわ』


 配信画面には視聴者のコメントが次々に流れた。


「もう、そんなに見られたら照れちゃうじゃん……でも果実はすごいんだよ、ほんと。甘い匂いでうっとりしちゃう……」


 コメントの集中砲火を浴びた彼女は僅かに頬を赤らめるが、まるで案件のように果実を扱い視聴者たちに見せつける。


『おほ~~!』

『えちえちすぎるだろ!』

『果実=意味深ワード認定』


 コメント欄では脳を焼かれた一部の者たちが騒ぐ。

 だがその隣では、無言で野草を摘んでいた少女が、横目でシャルルを見た。

 そう、ホウキである。


 東の国風の軽装和装に、腰には太刀を一本差していた。

 艶のある黒髪のポニーテールは、この階層の湿気のせいで艶を増している。


「……この草……懐かしい香りがする」


 彼女の所作は終始静かで、手入れの行き届いた草花を摘み取る指先に、わずかな感慨が滲んでいた。


「ん? 何か知ってるのか?」


 悠真が声をかける。


「故郷の山中にて似たような草を、母と摘んだことがあります。乾かし、煎じて、湯浴みに使うと肌の火照りを鎮める効果があると」


 彼の顔を見てから、ホウキは微かに表情を和らげた。


「へぇ……それってつまり、シャルルの火照りにも効くってことか」


 彼女の言葉に悠真は両腕を組み、眉間に皴を寄せると真剣な声色を出して返す。

最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます。

宜しければ評価とブックマーク登録をお願い致します。

活動の励みとなり更新が維持出来ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ