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「お前は戦力外だ」と追放されたカードゲーマー、伝説級レアカードで無双する ~元クラスメイトたちは没落したけど、俺は美少女パーティーとダンジョン配信で大成功しました~  作者: どすこい。お嬢様
第四章

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第8話 仲間が増えますよ!

「……私は、もう彼らを部下とは思わない。会えたら、粛清する。国家の法に則って、罰する。逃げた者には、死が相応しい」


 拳を握り直し彼女は、再び元の場所へと戻る。その足取りには、もはや迷いはない。


「この手で殺す。誓う。あの者たちを、私の手で──粛清する」


 宣言のような一言に、誰もが返す言葉を持たなかった。

 悠真は無言のまま、アウラの横顔を見つめる。


(……こいつ、本気だ)


 それだけは、はっきりと分かった。

 

「そして悠真……。貴様に頼みがある」


 そう言うと彼女は、その場で立ち上がり、硬い地面に膝をつける。

 片膝を立てるでもなく、完全に正座の姿勢で。


 そして、躊躇いなく頭を深々と地につける。

 まるで騎士が主君に忠誠を誓う時のように。


「私を……仲間にして欲しい」


 猫耳が深く伏せられた。

 洞窟に静寂が満ちる。

 魔石灯の青白い光が、彼女の姿を照らし出していた。


「……一人では無理だ。このダンジョン、ソロで攻略なんてできない。私にも多少の力はある。だが……それだけでは到底届かない。あれだけのアンデッドを相手にするには、私一人ではどうしようもなかった」


 頭を下げたまま、言葉を絞り出すように続ける。


「それだけじゃない。私には……主君から直接、託された命令がある。このダンジョンの調査と踏破。それは、私が必ず果たさなければならない任務だ。だが一人では、攻略も任務も、どちらも不可能だ」


 アウラは頭を上げ、悠真の目を見つめた。

 青灰色の瞳は充血し、それでも諦めを含まず、揺らぎもしない。


「貴様たちならできる……実際に見た。あの大量のアンデッドを、真正面からぶち破って進む力を。貴様たちの"特質"を」


 その言葉には、一切の嘘偽りがなかった。


「自分勝手なことを言っているのは分かっている。私の事情に、貴様たちを巻き込もうとしている。それも理解した上で……それでも、頼む」


 認識票を握りしめた手を、アウラは胸元に当てる。雪白の拳が、微かに震えていた。


「この任務は、私の誇りだ。命を懸けてでも、果たさなければならない。例え、この手が血に染まっても。どれだけの困難があろうとも。私は最後まで……主君の騎士でありたい」


 声は震えている。懇願ではなく、誓いのように。

 魔石灯の光が、彼女の頬を照らす。


 そこに滲んでいるものが、汗か涙か判別はできなかった。

 その光景を一言も発さずに、悠真は見つめている。


 前髪が目元にかかり、その奥の茶色の瞳が、静かにアウラを映していた。

 ホウキは無言のまま太刀の柄を握り、切れ長の黒い瞳を細めている。


 シャルルは長く細い耳を前方へ向け、翠色の瞳でアウラの横顔を見つめていた。

 誰も口を開かなかい。

 僅かに魔石灯が揺れ、影が洞窟の壁に広がった。


「ふーむ……困ったなあ、仲間が増えると飯代もかさむし、分け前も減るしなあ……」


 そう呟きながらも悠真の口元には、どこか悪戯っぽい笑みが浮かんでいる。

 その言葉に一同が一瞬だけ固唾を飲む中、すぐに彼は顔を上げ表情を改めて言い放つ。


「……ま、でも! 配信的には最高だし、何より──あんたみたいな実力者が仲間になってくれるってのは、こっちとしてもありがたい話だ」


 そう言いながら悠真は、アウラの方を見やった。

 頭を下げていた彼女は静かに顔を上げる。


 雪白の頬に汗と血の跡が滲み、銀灰色の長髪が乱れていた。

 それでも青灰色の瞳には、先程までの揺らぎはない。


「感謝する。……このような形で拾われることになったが、私の軍歴において、これを恥とは思わない。誇りとする」


 その言葉は短く、しかし確かな重みを持っていた。


「私からも、歓迎いたす」


 静かにホウキが口を開く。

 太刀を腰に収めたまま、真っ直ぐにアウラを見据える。

 黒いポニーテールが揺れ、切れ長の黒い瞳に珍しく温かみが宿っていた。


「己の誇りを守るために頭を下げる覚悟……武人として、敬意を抱かぬ道理はございません。正々堂々と、共に戦いましょう」


 東の国風の軽装和装が、薄暗い洞窟の中でも凛とした気配を放っている。


「僕からも歓迎だよ、アウラさん」


 おっとりとシャルルが微笑んだ。

 翠色の瞳が彼女を柔らかく捉え、柔らかく長く細い耳が揺れる。


「こんなに格好いい軍人さんとパーティーを組めるなんて……悠真くん、なかなかやるじゃない」

「俺は何もしてねぇよ」


 シャルルの軽く口に、悠真が即座に返す。


「……ありがとう、皆」


 もう一度アウラは、ぎこちないながらも頭を下げた。

 猫耳がぴくりと動き、尻尾がゆっくりと揺れる。

 それは、これまでの彼女には見られなかった、確かな安堵の気配である。


「じゃあ、とりあえず今の問題は解決ってことで……次の問題に移るか」

「問題、とは?」


 悠真の言葉に、ホウキが静かに尋ねる。

 彼はアウラの全身を改めて視線でなぞった。

 血の滲む制服、そして手の甲には微かな震えが残る。


「……なあ、どう考えても今のお前、無理すんなって顔してるぞ?」


 それは半分からかうような調子だが、悠真の言葉に嘘はない。

 アウラは反論しようとしたが、その直後わずかに足をふらつかせた。


「今日は一旦休もう。安息地に戻って、飯食って風呂入って、寝る。それが今の最善だ」


 悠真が断言すると、他の仲間も小さく頷く。


「御意。本日は骨身に応えました。身体を癒すも、また武人の嗜みにございます」


 静かにホウキが同意した。

 切れ長の黒い瞳が、アウラの状態を冷静に見極めている。


「うん。アウラさんの状態を考えると、このまま深部に進むのは危険だよ」


 翠色の瞳を細めながら、シャルルは穏やかな口調で諭す。

 そのやりとりを聞いていたアウラは、少しだけ申し訳なさそうに表情を曇らせる。


「……せっかく頼み込んで、パーティーに入れてもらったというのに、いきなり足を引っ張るようで、すまない」


 頭を下げる彼女の姿に、それ以上の言葉を誰も重ねようとはしない。

 悠真は腰に差していた帰還核を取り出した。


「よし、行くぞ」


 青く発光する核に、彼が魔力を流し込むと、足元に緩やかな魔法陣が広がり始める。

 光が四人を包み込み、次の瞬間、ダンジョンの深部から姿が消えた。


 そして安息地へと帰還すると、悠真たちは高級宿屋へと向かい、そこで一日の疲れを癒す。

 一行は、それぞれの部屋で荷を解くと、食堂で簡単な食事を取り、やがて入浴の時間となった。


「ねえ、悠真くん。背中、流してあげようか?」


 女性陣が温泉へ向かおうとした矢先、宿屋の廊下の人気が無い一角にて、シャルルが意味深な微笑を浮かべながら悠真の手を取り、上目遣いで問いかける。

 長く細い耳がふわりと揺れ、翠色の瞳が悪戯っぽく細まっていた。


「おいおい……。まさか本当に一緒に入ろうってか……?」


 突然の彼女の言葉に、目を丸くする童貞の悠真。


「だって悠真くんは僕の恩人だもん。これくらいの奉仕は当然かなって……。ねえ、アウラさんも、いいよね?」


 シャルルは話を続けると、唐突に話題を自身の隣に立つ彼女に振る。


「……貴様、何を言っているんだ。混浴など、軍の規律では懲罰対象だぞ」


 急に話を振られたアウラは、タオルを持っていた手を止めた。

 猫耳がぴくりと逆立つ。

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