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「お前は戦力外だ」と追放されたカードゲーマー、伝説級レアカードで無双する ~元クラスメイトたちは没落したけど、俺は美少女パーティーとダンジョン配信で大成功しました~  作者: どすこい。お嬢様
第二章

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第12話 孤影の決闘士《ナンバー・ゼロ》

『は? 感じ悪っ……』

『断るとか、マジで調子乗ってんじゃね?』

『もういいわ。やっぱ陰キャは陰キャだったわ』


 あっという間に“潮”は引いた。

 再び彼の周囲に、言葉をかけてくる者は、誰一人いなくなった。


 しかし、彼の中に残った感情は、冷めた笑いと、ほんの少しの……痛快さである。

 そして多方面からパーティーの誘いを断り続けて、さらにソロのダンジョン攻略配信を続けていると、いつしか悠真には二つ名というものが配信界隈にて定着していた。


 世間では彼のことを、孤影の決闘士(ナンバー・ゼロ)という異名で知られている。

 ――悠真が、その名で呼ばれるようになったのは、奇妙な皮肉からだ。


 配信によって一躍有名になった直後、悠真には文字通り山のような、コラボ依頼やパーティーの勧誘が殺到した。


 それは悠真を利用して、利益を欲するクラスメイトたちのように。

 中には名のある冒険者や、著名なギルドリーダー、王国直属の特務部隊からの声もあった。

 だが悠真は――すべてを断り続けたのである。


 理由は単純だ。

 彼自身に連携の経験がない。

 パーティー戦のセリオー(戦術用語・連携計画)も分からない。


 大人数の中で立ち回る術を知らない。

 そんな未熟な自分が彼らの中に入れば、必ず”使えない”と烙印を押され、即座に裏で笑い者にされる。


 配信のコメント欄が冷笑と悪意で満ちる未来など想像に難くなかった。

 それは、ただの被害妄想などではない。

 これまで彼は、ずっと一人だったのだ。


 クラスメイトや陰キャグループからも距離を置かれ、『誰とも組まず、誰にも見られず、ただ独りで黙々とカードを擦っていた』――そんな存在にとって、大人数と連携しろというのは、剣よりも鋭い強要である。


「……断り続けた結果が、これか」


 そう呟きながら悠真は、腰を上げて席をたち窓辺へと足を進めた。

 既に外は真夜中の色合いで、遠くの建物群がぼんやりと浮かんで見える。


 そして視線を右側に向け、部屋の壁に張られている、真新しいダンジョン情報記事に目を通す。


 そこには『“孤影の魔導士”――群れを拒む者こそ最強?』『パーティーを組まないことが逆に利点? 謎多き天才魔導士の真実』『仲間を拒絶する孤高のソロアタッカー。戦場に咲く孤花(ソロリスト)』『彼はただ一人で、全てを凌駕する――』と悠真の事が強く記されていた。


 だがそれは……違う。全然違うのである。

 悠真は思わず苦笑した。


 そんなつもりじゃなかった。ただ怖かった。人と組むのが。

 経験不足を見抜かれて”アイツ、やっぱり素人じゃん”と嗤われることが。


『パーティー組まないのはポリシーなんでしょ?』

『あいつにとっては他人が足手まといなんだよ』

『ソロこそ至高。ナンバー・ゼロこそ至高』

『コラボ全部断るとか、さすが孤影』

『攻略組トップの誘いすら断った男。マジかっけえ……』


 世間の“理解”は、完全に誤解でできていた。

 だが、その誤解は結果として、悠真を守ってくれていたのも事実。

 今や彼をパーティーに誘う者はいない。


『ナンバー・ゼロに声をかけた奴は逆に恥をかく』


 ――そんな噂すら生まれ、半ば都市伝説のような扱いになっている。


「……はあぁあ……」


 それは肺の底から吐き出された、疲労と困惑、そして微かな諦めの入り混じったため息。

 そして彼は、また頭を抱える。


「……なんでこうなったんだっけ、俺……」


 指で前髪をぐしゃりと乱しながら悠真は後退りした。

 そのまま彼は両肘をテーブルに突くと、そのままうな垂れるようにして俯く。

 まるで現実から逃げるように、意識が沈んでいく。


 だが、それでも――視聴者数は常に一万オーバー。

 それだけは、素直に誇らしい。

 

 こんな自分を、どこかの誰かが待っている。見てくれている。

 誤解であれ、幻想であれ、それでも見てくれているという事実は、悠真の中に小さな光を灯していた。


「……まあ、いいさ」


 彼は自分の両頬を、ぱしん、と軽く叩いた。


「……よし」


 立ち上がると部屋の壁に設けられた姿見の前に移動する。

 そして悠真は、鏡に向かって指を鳴らした。


「――まあ、色々と……ややこしい事にはなっているが……。それでも今は……何よりも、ダンジョン攻略が大事だ」


 口元に薄い笑みを浮かべながら彼は続ける。


「俺は――俺のペースとスタイルを貫き通すッ!」


 最後の言葉を高らかに、そして鋭く放つと、悠真は某スタンド漫画のキャラのように、彫刻のような立ち姿を披露した。


 鏡に映るその姿は、まさに“孤高の決闘士”そのもの。

 カッコつけすぎだ、という自覚は悠真にある。


 だが、それもまた演出のひとつ――配信者としての、彼なりの“覚悟”の表れだ。

 そして悠真は気分が高揚すると飛び込むようにベッドへ潜り込み、明日もダンジョン配信をする為に体力を回復させるべく深い眠りに就く。


 けれど悠真の頭の中では既に、明日の配信タイトルは出来ている。

 それは――『これより、ソロでのダンジョン攻略に入ります』だ。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます。

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