第23話 これからについて
「実はな、ダンジョン配信文化自体は、十年ほど前に始まった新たな収入源でもある。主に冒険者、衛兵、娼婦、さらには巡礼者までもが配信を通じて、視聴者に娯楽を与える。投げ銭という形で得られるポイントは、この街において通過としての価値を持つ。紙幣は硬貨の代替とはならないが、共通通過として流通している」
配信用の魔道具を見ながらレオノーラは配信文化の始まりと、それを行う事で配信者が得られる利益の事を語る。
それを聞いて悠真は、ようやく頭の中で繋がるものがあった。
騎士たちが、やたらと配信に前向きだった理由。
それは単なる娯楽だけでなく、生きる為に必要だったからだ。
――やがて時間が経過して、ダンジョン内で夜の時間帯が訪れると騎士たちの案内は一区切りとなり、一行は事前に予約されていた高級飲食店へと案内される。
黒曜石の床に赤い絨毯が敷かれて天井には、シャンデリアのような魔灯が輝いていた。
内装は上品な洋風。絵画や観葉植物が飾られ、店員の所作も洗練されている。
供された食事は見た事も無い肉や魚介、薬草や香辛料を用いた異国風の料理だったが、どれも香り高く、驚くほど美味だ。
クラスメイトたちが口々に感嘆の声を漏らすなか、悠真は唯一人、どこか落ち着かない感情を抱えている。
それは偏に気前が良すぎるというものだ。
見知らぬ世界、ダンジョン、魔物の跋扈する土地において、ここまで至れり尽くせりのもてなしがあるものかと。
あまりに待遇が良すぎて、まるで“餌付け”されているかのような不気味さを覚える。
その夜、一行は宿にて宿泊した。
宿は三階建ての白壁建築で、大理石のように光沢を持つ階段、ベッドルームの窓からは街の魔灯が瞬いていた。
部屋は男女別の大部屋であり、悠真たち男子は広々とした部屋に寝具を与えられる。
寝床に入り灯かりが消された後、悠真は天井をぼんやりと見上げながら、静かに息を吐いた。
「これから……どうなるんだろうな……」
彼の胸の内には、得体の知れない不安が、暗い霧のように沈殿してゆく。
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