Part5
___CountryFestival駐車場___
玄德は会場で響き渡る爆発音や悲鳴を聞きながら、会場外へ逃げていく人達がスムーズに避難出来るようにしていた。
スタッフ達と協力し避難誘導をしていたが、玄德の中には異様なざわつきがあった。
「お前ら何かあったら。すぐに報告しろ、何か嫌な予感がする」
「わかりました、玄德さん」
「なんだ?」
「今何が起こってるんですか? 今までこんなこと起こった事ないじゃないですか……一体なんでこんな事に」
スタッフの若い子が弱音をこぼした。
玄德はその内容に違和感と不快感を覚えた。
だが、それは悪気があったわけじゃない。
平和しか知らない、歴史を知らない……その事実がこの子の発言に全て含まれていた。
「……突然起こった事だ。考えても分かりはしない、起こった事を考えるより今やる事を考えた方がいい」
「でも……」
「でもじゃない、どうしても知りたいなら歴史を知れ見えるものも見えないものも、全てを調べろ。だが、今はひとりでも多くの人を逃がす事に集中するんだ」
「…………わかりました。何をすれば良いですか?」
玄德は少し考えてから簡単な指示をだし、若いスタッフの子は持ち場戻って行った。
その後ろ姿を眺めながら、何か覚悟を決めた顔をした。まるで自分の胸の中にあるざわつきがさらに大きくなっていくのに気が付いたかのように。
「世の中が平和になりすぎるのも、考えものだな」
玄德は一人どこかに吸い込まれて消えてしまいそうな声で言葉が流れて行った。
その後順調に避難指示を出すが定期的に会場内で爆発が起き、落ち着いたと思ったら騒がしくなるを繰り返していた。
現場にいたスタッフ達や警備員達も、ここまで来てようやく焦りというものを感じているように見受けられた。
本来であれば、事の重大さを理解しシャキッとしなければいけない場面だか、今回はそれが握手になってしまった。
先程の若いスタッフの発言……その発言が世の中の全てだった。
平和に漬かりすぎでいざって時に動くことが出来ず声を出しその場でしゃがみ、何も出来ないパニック状態に陥ってしまう。
「嫌な予感はしてたが、まさか全員動かなくなるとは……想定外だな、これは」
玄德は辺りを見渡して、しゃがみこむスタッフや逃げ惑う警備員とお客さんの姿を確認し、現在動けるのが自分一人しか居ないことを理解した。
玄德はスタッフ達が既に使い物にならない事を理解し、自分だけで出来ることを考えた。
避難指示を出そうが多くの声にかき消されてしまい意味がないだろう。
よって導き出された答えは……何もしないだった。人間の本能のまま逃げさせる事で終わらせようとした。
「お前は、相変わらず情がない男だな」
突然聞こえたその声は玄德の脳に衝撃をら与えるのには十分であった。
声の正体を確かめようと振り向くと逃げ惑う避難者達の中に異質に佇む黒ずくめの男が三人居た。
「……一体何故、俺の目の前に現れた」
「答えがわかっている事をなぜ聞く? はぁ……やはりお前は出来損ないだな…」
「そうだな、なら契約を約束を無視してる貴様らはその出来損ない以下だ」
「…………言うようになったな。裏切ら者が」
「なんとでも言え」
玄德と黒ずくめの男達の間には不穏な空気が漂っていた。一触即発……まさにその言葉に相応しい空間だった。
逃げ惑う人達も自然とその空間を通るのを避け人が寄り付かなくなっている。
「二人とは…護衛の数が足りないぞ?」
「何を言うかと思えば…出来損ない程度この人数で事足りる。それに、目的は出来損ない殺す事じゃない」
「何を言われても帰る気はない。貴様らは既に俺の……いや、俺達の敵だ」
「酷いことを言うな? 敵だと? 私達がか? はぁ……これだから野蛮に生きた者は…
まぁいい、出来損ない。
何か勘違いしているようだから最初に言っておくが、貴様に拒否権はないんだよ。
答えはYESのみだ」
「NOと答えれば、武力を行使する方がよっぽど陰湿で野蛮だと思うがな」
再度不穏な空気が漂い出す。
居るだけで胃を刺激するこの空気は、きっとどんな病気よりも気分を害することが出来るだろう。
黒ずくめの一人、玄德と話をしていた偉そうな男が指パッチンをすると両脇に控えていた見るからに護衛という人物が、前に出て玄德と向き合った。
「本当に生意気だ……答えがNOなら力づくでも連れていく」
「出来損ないが必要な程、落ちこぼれた場に戻る気はサラサラないぞ?
答えはNO? ……違う答えはMy lifeだ」
「___ッ! 反逆者め! もういい、捕らえずとも構わん! 奴を始末しろ!」
黒ずくめ男達と玄德の一触即発、危険地帯での争いが始まるのであった。




