Part2
___CountryFestival 会場ドーム内___
「はい…わかりました。そこはいつも通りですよね?」
「はい、それで大丈夫です」
ステージに司会者として立つ予定の妃乃はスタッフと運営と緻密に打ち合わせしていた。
「ねぇねぇ、緒牙?」
「ん? どうしたの、深月」
「ひーちゃんって凄いよねぇ」
「そうだね、こんなに大きな舞台の司会者だからね」
「私達もステージに立たせてもらうけど、司会だけは絶対にやりたくないもんね」
「うん、わかる」
九人姉弟 長男の緒牙と八女の深月は、真剣に打ち合わせをしている妃乃を、見ながらアイスを食べていた。
「ちょっと、二人ともアイスを食べるのは良いけど絶対に衣装汚さないでよ?」
「りな姉、さすがに大丈夫だよ」
「そう? ならいいんだけど」
一足先に打ち合わせを終えた三女の喜彩鳴は、緒牙達と合流し一緒にアイスを食べだした。
「ねぇねぇ、聞いた?」
「なにが?」
「パパ達人気すぎて一時的にお店閉めちゃうんだって」
「そうなの?」
「らしいよ、ほら!」
深月は現地のライブ映像を自信満々に見せた。
「本当だ、じゃあ出番終わったらすぐにお手伝いに行こうか」
「うん! 楽しみだなぁ〜」
本番が始まるまで後一時間半、出番が終わるのは今から六時間半後、まだまだ先なのに深月は既にウキウキしていた。
「緒牙、少し深月を甘やかしすぎ」
「りな姉、分かってはいるんだけどさぁ……見てよ、こんなに可愛いんだよ?」
ふたりが話しているとそこに……
「喜彩鳴も硬いねぇ、少しくらいいいじゃん」
次女の心生が話しながら座ると、それに気づいた深月は心生の足の間に座り出した。
「心生もあんまり甘やかさないの」
「ふーん、そんな事言っていいんだ?」
「……何が言いたいの?」
「隠れてパパと一緒に寝てるの……知ってるんだよ?」
心生はニヤニヤしながら暴露した。
その発言を聞き喜彩鳴は顔を真っ赤にしながら手で顔を覆い隠した。
「心生姉、それほんと?」
「うん、たまたま喜彩鳴がパパの部屋に入ってくのが見えたから直接聞いたの、そしたら朝気づいたらベットに入って来てるって」
緒牙も心生も深月も感じていることはひとつだろう。
「…………………なによ」
「「いや、可愛いなぁと」」
「___ッ! うるさい!」
そんなやり取りをしている四人を打ち合わせの合間で眺めている妃乃。
その腕に付けている鈴が突然鳴り響いた。
「ん? これ音鳴るんだ」
妃乃がそう呟くと……脳を揺らす程の大きな爆発音が響き、体に衝撃波が伝わり、警鈴・警報が音を鳴らし出した。
「___ッ! なに、何が起こったの?」
「分からない……けど、とりあえずみんなと合流しよう!」
「うん、そうだね。妃乃姉! 何が起こったのか分からないけどパパ達の所へ急ごう!」
心生は深月を背中に背負いながら、少し離れたところにいる妃乃を呼ぶ。
「わかった! スタッフさん達も早く避難してくださいね、では私達は先に行かせていただきます」
妃乃は丁寧にお辞儀をし、緒牙達の元へ向かうその時………妃乃達の正面の壁が大きな音を立てて崩れ出した。
外からの光が中に入るがその光は人型の影を作り出していた。
「みんな! 大丈夫!」
「私達は大丈夫」
「俺もりな姉も!」
「良かった……」
安心したのもつかの間、五人は……いや、その場にいたスタッフ含め多くの人が逆光を浴びる、謎の人物を警戒し、爆発の時とは違う緊張感が流れる。
「天由姉弟、君達を確保する」
謎の人物はそう言い放ちながら、妃乃達に向かって接近した。
五人は一箇所にまとまるのでは無く、二手に分かれて避難する。
謎の人物は妃乃、心生、深月を先に狙いだした。
「逃げるな! 痛い思いするだけだ!」
手に持っている刀を大きく振りかぶって妃乃達を攻撃しようとするが……
次の瞬間金属同時がぶつかり合う甲高い音がドーム内全体に鳴り響く。
目を瞑っていた妃乃達もその音を聞き目を開く。
「「___華蓮さん!」」
「間に合って良かった……緒牙達は先に外に出てるから三人も早く逃げて」
「はい、分かりました」
妃乃達は華蓮の指示に従いドームの崩れた壁から外に逃げようとする。
「おっと、ここから先は吹雪になるから気をつけなよ?」
「……戦場の花…飯塚華蓮か。厄介だな」
「それはお互い様、薄々嫌な予感はしてたけど…的中するとは思わなかったね」
「飯塚華蓮…剣士として手合わせ願うぞ!」
飯塚華蓮対襲撃犯の戦いの火蓋が落とされた。




