Part14
___居なくなることはない。
しかし、事実を知る事は残酷な物が時にある。
それは単純なこと。
普段当たり前のように食べている、肉や魚は豚や牛、マグロや鮭という動物だと言う事実。
咲射枯は高校生である為、そんな事でショックや衝撃を受ける事はないだろう。
だが、成長したが故にショックを受ける…衝撃を受ける事がある…………
「居なくならないよ、大丈夫。
……まぁ咲射枯含むみんなが居なくなら無い限りはね?」
「何言ってるの居なくならないよ」
「そうか? 咲射枯だって誰かと付き合って結婚する時が来るかもなんだし」
「ううん、私はパパと一緒にいるもん」
「いるもんって言っても……まぁ良いか」
遥冴は上手い具合に話をそらす事に成功し、ふたりで楽しく空の旅をした。
その間、華蓮と電話を繋ぎ街中の状況の確認や家族の安否確認をした。
華蓮と鶴見、玄德は無事にかおり達と合流することが出来、残りは遥冴と咲射枯が到着するのを待つだけという状況らしい。
街中の状況はと言うと、比較的被害は抑えられていたようだが主要な場所は甚大な被害を受け、復興作業をせざる得ない状況らしい。
が、奇跡的に被害者は負傷者有り、死亡者無し。
「さてと、少し急いだ方が良いかな」
「待ってるって言ってたし急いだ方が良いのかもね」
「そうかぁ……咲射枯は真面目だなぁ。俺なら少し急ぐくらいなのに」
「パパってしっかりしてるけど、意外と時間にルーズと言うかなんか抜けてるよね」
「まぁ、アイツらならそれくらいで丁度いいよ。
…………ねぇ咲射枯、コンビニかなんかで飲み物かなんか買っちゃうか?」
「……うん!」
遥冴はたまたま通り掛かったコンビニの屋上に、飛行船を停め軽食を買いふたりは再び自宅へ向かって空を飛び出した。
数十分後、遥冴は自宅上空で飛行船をホバリング状態にする。
「咲射枯、今家の上にいるんだけど…今から飛び降りる」
「うん、わかった…………ん? なんて?」
「飛び降りるから、行くよ」
「いやいやいやいや…と、飛び降りる! なんで平然とそんな事言えるの?」
「はいはい、いいから。ほら行くよ」
遥冴は咲射枯を抱き抱える。
いわゆる抱っこの体勢で咲射枯を連れ出した。
咲射枯は恥ずかしそうにしつつもどこか嬉しそうな顔を浮かべていたが、瞬間に今から起きる事を考えたのか顔が歪んでいく。
そんな事も露知らず、遥冴は飛行船の乗車口を開き外からの風が中に一気に入り込んでいく。
「咲射枯! 行くよー!」
「ちょっと、待ってって言っても聞かないんで___ッ! うわぁぁぁぁぁ!」
パラシュート無し、ちゃんとした装備は着用しないまま風を切りながら落下していく。
その間咲射枯は叫び声を上げ続けていた、遥冴は咲射枯が離れないように力いっぱい抱きしめつつ、次の瞬間には……ふたりは店内にいた。
「ほら、咲射枯着いたぞ」
「…………」
「咲射枯ー? もう着いたぞー? 早く離れなさーい」
「…怖いし、急すぎるんだよパパ」
「ん? そんなのは今更でしょ。ほら行くよ」
遥冴は喫茶店から裏の扉を開け本来なら自宅へ向かうはずが、初めて咲射枯を娘を連れて初めて地下室に向かった。
初めて見る扉、初めて見る通路、咲射枯にとって初めてのことが多すぎる今日……咲射枯達天由姉弟も世界中の人達も、この時はまた気づいていなかった。
いや、気付く事は今後も無いのだが…これから再び起こる世界を………いや、場合によれば宇宙規模の大厄災が起こるということを。
これは、可能性の話ではない。
既に決まっている……いわば運命とでも言った方が正しいだろう。
「あっ、やっと来やがったか遥冴」
「あぁ、さっきコンビニ寄ってきたんだか遅れた」
「いや確信犯すぎるだろ」
「まぁそんなことは置いておいて……妃乃達は?
咲射枯はここに座りな」
「そこに座ってる」
「ん? 本当だ、じゃあ話を始めようか。
今日の事、これからの事、今まで間あった事……話せる範囲を全てね」
遥冴の口から話された事実は今を生きる皆の常識をひっくり返すものであった。




