Part13
遥冴達が飛行船に戻ると咲射枯は申し訳な無さそうに口を開こうとしたが、遥冴はそれを止めた。
何を言おうとしていたのか、何が理由なのかそれは定かでは無いが……遥冴は決してそれを言わせなかった。
「いいかい…咲射枯。あそこに居た人達はみんな、国を背負って来てるんだ。
国を守りたいという思いに加えそれぞれの思いを乗せてあの場にいるんだ、誰が悪いとかそういうのはないんだよね」
「パパ……ありがとう…………でもパパは一体何者なの?」
「ん? 俺はただの一般市民だよ。喫茶店を営んでる九人の子供を育てる普通のお父さんだよ」
「…………世界中の偉い人達にあんなに堂々と意見言える人はじゃないでしょ」
咲射枯は少しだけ緊張と不安が拭えたのか、微笑み遥冴の方を見ながら言う。
正面を見て操縦している遥冴は、チラリとしかその顔を見ることができなかったがそれだけで満足していた。
「……まぁ咲射枯には先に話しておくけどさ…」
「…………」
遥冴のただならぬ雰囲気に咲射枯は息を飲んだ。
一息、一息……数秒程度、二、三秒程度のはずなのに咲射枯には数分経ったように感じられた。
「パパはね一度…………死んでるんだよ」
「……えっ? ど、どういう事……?」
「仮死状態とか瀕死だったとかじゃなくて、ちゃんと死んだんだよ。
生命の活動が止まったことがあるんだよ…………まぁ正確には死んでは無いんだけどね」
突然のカミングアウトに動揺と困惑を隠しきれない咲射枯。
遥冴は操縦機から片手を話して咲射枯の頭を撫でながら続けて話した。
「あれは何年だったかな……十〜8年前くらいかな? 年でいえば妃乃が生まれた年、世界が平和になったんだ」
「………………」
「そして、その年にパパは死んだ」
「……冗談は辞めてよ。死んでるなら今のパパはなんなさ」
咲射枯は無理して笑っていた。
遥冴はそれに気づいていた、気づいていながら話を続けた。
「パパがあの人達と面識がある理由もその年に関係してる……歴史から必要ないとしたその時代に」
「歴史から必要ないってどういうこと?」
「今、学校で歴史を習う時の内容が本来良い少ないんだ。習っても自体を作った大きな出来事や大きな偉人の勉強程度……まぁ普通のこれまで通りの内容しか勉強しない」
「んー? どういう事?」
「人類史に……いや、地球史残るはずの、残っていいはずの歴史ってのがあるんだよ。
それが、言ってしまえばパパの時代だよ」
地球の歴史最大の出来事があった。
そして、その時代は遥冴の時代であった……今ある平和なこの世を作り、今も尚彼が国際会議に駆り出される理由も、その歴史に隠されている。
咲射枯はにわかには信じられなかった。
咲射枯からすれば遥冴は仕事は出来ても、身体が弱く少し頼りない優しいパパなのだ。
そのパパが一時代の主役であった等と言われても、信じられない。
「華蓮と鶴見と玄德と遥兎とかおりとデュナとエリーと失市……これがパパの仲間だよ。
パパが最も信頼してる人達」
「知らない人が何人かいた……」
「ん? まぁあったのが小さい頃だって人は何人かいたね。
まぁ咲射枯には簡単に話したけど詳しい話はみんなが居る時に話すよ、さっき名前をあげた人達と一緒にね」
「うん…………わかった…………ねぇ、パパ」
咲射枯は自分の頭を撫でている、遥冴の手を触りながらどこか寂しそうに、悲しそうに呟いた。
「……ねぇパパ」
「どうしたの?」
「……居なくならないよね?」




