Part12
___世界の覚悟___
世界の人々は今回の虹霓での出来事を重く捉えてはいなかった。
しかし、世界の権力者、政治家、名だたる人達は人知れず今回の事を重く捉えていた。
何故なら彼らは、あの国が虹霓になる瞬間を目撃し味わった人達だからだ。
国民の知らないところで、各国が集まり国際会議を開いていた。
ざわつくなか一人の男性が部屋にやってくると、一瞬にして静かになった、その光景はまるで嵐の前の静けさと言えるだろう。
「皆さん、お集まり頂きありがとうございます。
今回のCountryFestivalで起こった件を報告させていただきます」
その男性は各国の代表が集まるなか、物怖じせず淡々と報告書を読み上げていく。
話が進む度に何人か口を挟もうとする姿が見受けられたが、男性が一見すると動きを止めまるで怯えた子供のような表情を浮かべた。
「以上が、今回の件で起きた内容になります」
「…………内容はわかりました。ですが、その程度の内容ならわざわざわここまで人を集める必要はないのでは?」
一国の代表が男性に向かって意見を言う。
男性はその質問に次の資料を用意を用意しながら、片手間に答えた。
「当たり前でしょう。今話したのはあくまで表での内容です、つまりニュースの記事になる内容にすぎません。
……本当の話し合いはここから始まります」
男性はスライドを展開しながら話を始めた。
数分後、会議室では静寂が場を制していた、困惑や焦りという感情を感じてはいるだろうが、それよりも衝撃的な内容に言葉を失ってしまった。
「これらの内容を踏まえまして、今現在この場所に____が向かってきております」
「なに! それは本当か!」
「あの英雄を直接見ることが出来るとは……」
「皆さん! お静かにお願いします。もうすぐご到着の予定ですので、しばらくお待ちください。
待機時間でなにか意見等を考える事をオススメします」
男性はそう言い残し部屋を出ていった。
そこから十分後……
「遥冴君! こちらです」
「わかった! 咲射枯も行くよ」
「うん、わかった……」
国際会議場に着いたのは天由遥冴だった。
遥冴は咲射枯を連れて会議室に足を進め、部屋に入る直前にその場に止まり咲射枯と目線を合わせて話し出した。
「咲射枯、今からこの中に入る訳だけどとりあえずこれを付けてくれるかな?」
「わかった…けど、これなんなの?」
「これはね……とんでもなく凄い翻訳機だよ」
「翻訳機? なんで?」
「この先には、怖い怖いおじさんとおばさんが居るんだけどその人達を聞きとるためだよ。
部屋に入ると…まぁ圧を感じるかもしれないけど、俺がいるから大丈夫だからね」
「……うーん、わかった」
遥冴は咲射枯の頭を撫で再びを手繋ぐ。そして、そのまま会議室の中へ歩いていく。
部屋に入ると、各国の代表達から圧が掛けられるが遥冴はそれ以上の圧と殺気を放ち、場を一気に自分のフィールドに変えた。
咲射枯は無意識に遥冴と繋いでいる右手に力が入っていた。
しかし、遥冴が場を制するとそれを無意識下で察知したのか力んだ右手が緩んだ。
「いつもは、圧を出していただいてもかまいません。しかし今回は私の娘を一人連れてきていますので、二度とこんな事がないよう……よろしくお願いします。
一応紹介しておきますが、この子は私の娘六女の咲射枯と言います」
遥冴が自分を紹介すると咲射枯は、軽く会議室にいる人達にお辞儀をするが、身体が強ばって上手くお辞儀をすることが出来ずに会釈の様な形になってしまった。
遥冴は咲射枯が不安がってるのが伝わったのか、抱き抱えて椅子に座らせた。
そこは本来遥冴が座るところとして設置されていたからなのか、咲射枯が座るとあまり良い顔をしない人がちらほらいた。
……しかし同時に遥冴の殺意に怖気付き机の木目を数えだした。
「さて、詳しい話も大まかな話も遥兎から話されていると思うから省略する。
ここに来るのももう十数年ぶりだ、つまり十数年は平和だったということ……」
遥冴の言葉に頷く代表達。
「三日間で蹴りをつけます。何があってもです、皆さんが出来ることは自国が混乱に陥らないよう未然に防ぎ、仮に争いに巻き込まれた際に対抗することが出来るように準備する事だけで結構です。
後は、俺達がやります」
その言葉に頭にきた若い男性が席を立ち、机を叩き声を荒らげだした。
隣に座っている年長の話や静止も聞かずに、好き勝手言い出した。
一人のその男性の姿を見た同年代風の人達もそれを真似し始めた。
話し合い所ではない、まるで子供の喧嘩かのように好き勝手物言い保護者である年長の声も届きはしない。
年長組は自国のプライドを守るために恥を晒さないように若い衆を静止しようとしていたが自国よりも、もっと大きな理由の元動いていた。
それは遥冴の娘 咲射枯が肩を強ばらせ怯えていたのだ。
遥冴は年長組とアイコンタクトをとり、静止する事を辞めさせる。
次の瞬間……
「死にたいって事でいいんだな?」
その一言はあまりにも強力だった。
場を考えない言葉である事も理由のひとつのして含まれるだろうが、本質は違う。
本気だったのだ。
その場にいる誰もがそれを感じとることができた、咲射枯に関しては遥冴自身が咲射枯よ耳を塞いでからの発言だった事もあり、この言葉が届くことはなかった。
「最初にも言ったはずだ。いつもは許すと……今回は娘が居るからやめろと…聞こえなかったのか?」
「「「………………」」」
「あんたら若い人達の勝手な行動で、自分の国沈められても文句言えないな?」
「___ッ!」
「君達はあくまでも国の代表だ。俺は世界の代表だ……意見する事は良い、むしろ大事な事だ。
しかし、国を代表する大人が声を荒らげるとはどういう事だ?
君たちのその身勝手な行動で一人の子供をこうやって怖がらせてるんだぞ?」
遥冴は咲射枯の事を見るように視線誘導する。
「咲射枯の事を怖がせた罰だ、今騒いだ奴は代表から外せ。わかったな?
話し合いに関しては……遥兎に一任して、俺は一旦帰らせてもらう、まだ街中は混乱で溢れているからな。
遥兎の意見が俺の意見と捉えてもらって構わない、むしろちゃんとした話し合いがしたいならそうするべきだ。
それじゃ、ここで帰らせてもらう」
遥冴は淡々と話した後、咲射枯を連れて飛行船に戻って行った。
会議室に取り残された代表達は額から……いや全身に汗を滲ませながら安堵の息をこぼすしか無かった。
安心したのもつかの間、遥兎が席に着き話し合いが行われる準備が整った。




