Part11
___ドーム 外会場___
多くの人がいた会場は、今となっては人の気配がしない。
それは飲食のブースでも同じだった。
「咲射枯、電話貸してくれない?」
「うん。わかった……はい」
「ありがとう」
遥冴は爽やかな笑顔で咲射枯から携帯を受け取る。緒牙と電話をする前に華蓮達と話していた遥冴は、別行動することになったようだ。
咲射枯は父親の初めて見る姿に興味津々だった。
「パパ、何してるの?」
「ん? 単純に連絡用だよ」
「でも、パパ自分の携帯持ってるよね」
「それがね、緒牙達との電話の後ハッキングを受けてしまったみたいでな。
今、俺の仲間がどうにかしてる途中だからしばらく使えないんだ」
「おぉぉぉぉー!」
咲射枯は顔を輝かせながら、声を上げた。
ハッキング等の言葉は年頃の興味を唆るには十分だろう。
……一応十六歳の女子高校生ではあるのだが。
「何に興奮してるんだか……咲射枯。今、迎えを呼んだから街中に行くぞ」
「わかった、でもここはどうなるの?」
「今日中に元に戻すのは無理だな、普通ならね」
「……普通なら?」
「そう、うちの部下に任せれば三時間あればここを元に戻せる。だから、ここを離れても大丈夫」
「おぉぉ、何か…凄い」
「そう? さて、来るよ」
遥冴が合図を送ると、空に突然巨大な飛行船のような物が姿を表した。
巨大な鳥の様な姿をした飛行船は、大きさからは想像出来無いほど静かに広場に着陸した。
「…………すごーい!」
「あはは、中はもっと凄いぞ。着いてきて」
「うん!」
遥冴は目を輝かせている咲射枯を先導しようとしたが、咲射枯は当たり前のように手を繋いだ。
最近ではこの行為に慣れ始めていた遥冴は、特に何も言わずに歩き出した。
飛行船の前に着くと、自動で扉が開いた。
中に入ると、シンプルな船内になっているが中心部に着くと大きな長机とその机を囲むように椅子が設置してあった。
両側には扉があり、左右にある棚には無数の武器や装備が掛けて置いてある。
この光景に咲射枯の興奮ボルテージはMAXに到達し、目を輝かせ続けていた。
「助手席乗るか?」
「えっ? 運転パパがするの!」
「まぁね、というか基本俺しか運転出来ないんだよ」
「えー! 凄ーい!」
「ほら、時間ないから早く席ついて」
遥冴は運転席に着き、色々なスイッチを入れ飛行船を飛ばす。
助手席では咲射枯が常に声を出しながら、興奮しているが遥冴はこんな事気にもとめずに飛行船を操縦する。
「マスター、たった今かおりさん達をご自宅まで送り届けました」
「ありがとう、デュナ」
「マスター、今画面中央にガウラからの情報を表示します」
画面中央には様々な情報が展開されだした。
街中の状態、敵の数と配置、相手の状態……等々が表示された。
咲射枯は初めて見る景色、画面、情報、単語、父親の表情……朝から今までの事全てを踏まえて、改めて天由遥冴という人間の凄さを理解した。
「咲射枯、今日見た事は何があっても忘れないようにね」
「わかった、というか忘れたくても忘れられないけどね」
「そうだね、でも絶対に忘れちゃいけないよ。今日から三日間は激動の日々を送ることになるよ………もう二度とこんな事は起こらないから安心してね。今を楽しもう!」
遥冴は意味深な事を言い放ち咲射枯は頭に疑問符を浮かべたが、特に気にせずに遥冴との……父親との空の旅を楽しむ事にしたようだ。




