Part10
___街中 避難中___
「うわぁあ、何今の……きったなぁい」
「エリー? 援護できるのも時間があるんですよ? 早くあの植物人間をどうにかしてください。あれの危険度はコードレッドです」
「えっ! あれレッドなの? たしかに強いとは思ったけど……見かけに寄らないんだなぁ」
「エリー、最大限注意してくださいね。今応援要請しますから」
「分かった! かおりも気おつけてね」
エリーは植物人間と戦闘へ、かおりは無線を使い仲間へ連絡、応援の要請を始めた。
その様子を見ていた天由姉弟は、最初に感じていた強い不安感が薄れていたのか鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
「かおりさん……」
「色々起こって何がなんだか、分かんないよ。ね?りな姉」
「うん、でも何か大きなことが起こってるのだけはわかる」
「パパ達も大丈夫かな…」
遥冴の事を、心配する深月がこれ以上不安にならないように両隣に座っていた妃乃と喜彩鳴はハグなどをして深月を、宥め落ち着かせている。
すると……
「みんな! パパから電話が来た!」
「「ほんと!」」
「うん、スピーカーにするからちょっと待ってて」
緒牙は遥冴からの電話をスピーカーにして、電話に出た。
しかし、流れてくる音は砂嵐だけだった。
電話から流れる異質な音に天由姉弟全員が困惑していると、途切れ途切れだが音が聞こえだした。
〈緒___牙! 大丈_か!〉
〈パパ! 音が途切れ途切れでなんて言ってるのか聞こえないよ!〉
〈___スイッ_チ! 右!〉
〈……スイッチ? 右のスイッチ…これか!〉
緒牙は途切れ途切れの音声を何とか聞き取り、指示通りスマホ右横下部に付けられているスイッチを押すと、さっきまでの荒々しい音声が嘘かのようにクリアで綺麗な音に変わる。
〈聞こえるか、緒牙〉
〈うん、聞こえるよ。パパ〉
〈良かった、他のみんなは?〉
〈大丈夫だ___〉 パパー!〉
〈どうした? その声は…深月だな?〉
〈うん、そうだよ!〉
深月はお父さんの…遥冴の声を聞いた事で、心からすっかり元気になった。
その姿を見て、緒牙や妃乃、その他姉弟達は顔を見合せね微笑んでいた。
緒牙は、スマホを深月に手渡した。
〈パパ、そっちは大丈夫なの?〉
〈あぁ、大丈夫だよ。咲射枯も無事だし、華蓮達とも合流した〉
〈そっか、良かったぁ……ねぇパパ〉
〈なに?〉
〈今って、何が起こってるの? 華蓮さんも鶴見さんも玄德さんも、かおりさんだって皆何が起こってるのか分かってるように感じるの〉
深月の発言に一気に静寂が走った。
姉弟達はこの発言でひとつ謎が解けた、不可解に感じていた違和感の正体……それは深月の言葉の通り、皆がある程度何かを理解しているように動いているという事だ。
遥冴側の静寂は電話越しでも伝わってくる。
その場にいるかおりは無線で話していたが、動きを止めた。
〈今までこんな事、起こったことないし……かおりさんもデュナさんも、なんかよくわかんない言葉使うし……〉
〈深月……〉
〈パパ、教えてよ。何がどうなってるの? 何を知ってるの?〉
〈……………分かった、良い機会だ。しっかり話そう、でも今はこの事態が落ち着くまで待っててくれるか? あと一時間もすれば鎮圧出来る〉
〈うん、分かった。絶対だよ? 絶対話してよ!〉
〈パパが嘘ついた事ないだろ? 信じてくれ。
最後に、かおりとデュナの言うことをちゃんと聞くこと、エリーとの自己紹介も済ませておくこと、深月も皆もかおりも分かったか?〉
〈〈うん、分かった〉〉
全員の返事を聞いた遥冴は電話を切った。
すると少しの間、再び静寂が走った。
「かおりー! あいつやっぱり臭い! なんか、火薬? の匂いがする!」
「えっ? ___ッ! デュナ!」
「問題ありません、既に半径五メートルの範囲ドーム状の防壁を展開しています」
「おぉ! 本当だ! 私も中に入ってる〜!」
「デュナ! 扉を開けて、エリー中に入って一緒に避難するよ! ここはガウラの皆さんに任せて一旦この子達を安全な場所へ」
「分かった!」
かおりの指示に従いエリーは車の中に入る。
車が場を離れようとした時、植物人間は爆発した。
「危なかった……」
こうしてかおり達は避難所……ではなく天由家に向かって移動した。




