表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第三章 争乱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/101

殺し屋の末路

  ◇◇◇


 リーパーの能力で姿を消した三人は、館の廊下を走っていた。

 しかし光学迷彩も長時間は続けられず、姿が丸見えとなる。

 それでも、まだ見つかってはいない。


「俺の超能力も限界だ。光熱(プラズマ)カッターが出せん」

「そうか……」

 ヴァイパーは何度も壁に穴を開けて逃げ道を確保してきたが、それも打ち止め。

 三人は覚悟を決めて、互いに顔を見合わせる。


「……ここまでだな」

「ああ、バラバラに逃げよう」

「運が良ければ、誰か一人くらいは脱出できるかもしれない」


 レイヴンは命懸けで時間を稼いでくれた。なので、むざむざ捕まるわけにはいかない。

 三人は一斉に別方向に走り出す。



「むっ!」


 リーパーは気配を感じて姿を消す。あと数分なら、光学迷彩能力(カメレオン)をまだ使えた。

 角を曲がって歩いてきたのは、紅美と夏美の二人。もちろん武装している

 リーパーは両手を広げ、壁にぴたりと身を寄せる。

(早く行ってくれ)

 と願いつつ、二人が通りすぎるのを待つが……


「そこニャ!」

「おう!」


 夏美が指差した瞬間、紅美の拳がその場所へ叩き込まれた。

 鈍い音が響き、顔面が変形したリーパーが現れて倒れ込む。


「ぐはっ! なぜ分かった……」

「勘」

「馬鹿な…………」


「んなわけねえだろ。夏美の鼻からは逃げられねえ……ああ、もう聞いちゃいねえか」

「そうニャ!」


 姿は消せても、臭いまでは消せなかった。


「コイツ、まだ生きてるよな? 一応手加減はしたし。拷……尋問は琴音に任せるとするか。想像するとおっかねえな、ブルブル」

「怒った琴音は、本当に恐いニャ……」


 怖いもの知らずの二人ですら脅えていた。

 夏美は悪さをする度に折檻されたので、骨身に染みている。

 ドS尋問部隊の狂華が肉体を責めるのに対し、琴音は捕虜を精神的に追い詰めて、口を割らせるのである。

 誰も彼女には逆らえなかった。なにより強い。



 その琴音はヴァイパーと向き合っていた。フードを被ったエルフ達が通路を塞ぎ、琴音は顔をさらして前にでる。

 ヴァイパーは美しい顔と長耳に驚いたものの、エスパー特有のオーラを見て、敵だと認識した。


「くそっ、くらいやがれ!」

障壁(シールド)


 自動拳銃(オートマチック)を撃ち放つも、あっさりと銃弾は防がれる。後方にいる三人が琴音を守っていた。

 弾を撃ち尽くすと銃を投げ捨て、ヴァイパーは蛇のように襲いかかる。

 まだ諦めてはいない。一瞬だけなら拳にプラズマを出せるので、それに賭けた。


空鎌鼬(ルフトシュナイデ)

「ぐわああああ!」


 ヴァイパーは接近する前に、無数の真空の刃で切り刻まれた。

 装甲服はズタズタに裂け、体のあちこちから血が吹き出す。

 琴音はエスパーだが、自称「風を操る魔法使い」で、その力は凄まじい。

 並の超能力者では相手にならなかった。琴音も優しく降伏勧告を行う。


「降参してください。さすれば、命までは取りません」


「う、うるせえー! この化けもんが!」


「……残念です。渦巻嵐(サイクロン)!」


 その一言に、琴音の表情がわずかに曇り、必殺技が繰り出された。

 次の瞬間、暴風が渦を巻きヴァイパーの体を飲み込む。


「ぐあああああ!」


 体は宙へと舞い上がり、そのまま天井へ叩きつけられ、嵐が消えると今度は床に落下した。

 もしこれが屋外だったら、天高く打ち上げられて、地面へ激突して即死である。

 ヴァイパーはピクリとも動かず、倒れたまま。


「ダメですね、少し感情的になってしまいました。反省です。でもやはり、私達を気遣ってくださるのは、名前を下さったアラシさんだけですね」


「その通りです、リーダー!」

「司令はいつも優しいです!」

「早く大人になってほしい!」


 エルフ達はアラシの話で、しばらく盛り上がっていた。

 悪口を言ったヴァイパーは完全に無視され、後からきた部隊に担架で運ばれていく。

 


「くそ、くそ、くそ! どうしてこうなった⁈」


 ファントムは自分の能力をフルに使い、敵の位置を探りながら逃げ回っていた。

 戦闘力がないので戦おうとはせず、ひたすら逃げて、身を隠すことだけに徹する。

 しかし館にいる兵士の数は多く、どんどん逃げ場はなくなっていく。


「嫌な予感は当たってしまった。こんな仕事は受けるべきじゃなかった。ああ、どうすりゃいいんだ⁈」


 後悔と絶望がファントムを襲う。呼吸は乱れ、額には冷や汗が流れる。

 嘆いてもどうしようもなく、走り回って疲れてしまい、捕まるのも時間の問題だった。


「まだだ、まだ諦めるわけにはいかねえ!」


 追っ手が接近してきたところで、ファントムは窓ガラスを破って外へ飛び出した。

 当然、音を立てれば気づかれる。


「外に逃げたぞー! あっちだ!」

「絶対に捕まえろ!」


 一斉に天女団の兵士達が集まってくる。機甲羽衣の動きは速い。


「これでもくらえ!」

「ま、眩しい!」


 ファントムは女達を引きつけてから、閃光弾を投げつける。逃げるための道具は温存していたのだ。

 続けて特殊煙幕弾を放り投げると、濃い煙が館の庭を覆い、赤外線スコープや熱源探知は効かなくなる。


「今だ!」


 ファントムは塀の上へワイヤーアンカーを撃ち込み、一気によじ登る。

 あとは向こう側へ飛び降りるだけ。逃げ切れたと思い、ホッとしてしまう。


「やった! あ…………」


 ダダーン! と複数の銃声が木霊し、ファントムは撃たれて転落した。

 待ち伏せしていた狙撃兵達にやられたのである。即死だった。

 投降していれば命は助かったかもしれない。だが、生き延びたとしても死刑か終身刑だっただろう。死ぬのが遅いか早いかの違いだ。


 人を金で殺し続けてきた男は、その報いを受けたのだ。

 最後に残ったのは、リーダーのレイヴン。彼はアラシと闘っていた。


  ◇◇◇

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召したら

ブックマークと★評価よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ