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神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第三章 争乱編

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ご機嫌取りは一苦労

「死ね! 死ね! 死ね!」

「おらおらっ! くたばりやがれぇ!」

 

 四人は狂ったように銃を乱射しまくる。招待客達は悲鳴を上げ倒れて……いかなかった。

 撃った銃弾は人の体をすり抜けていく。


「なにっ⁈ 射撃停止!」

「これは一体……」


「ようこそ、地獄のパーティに」


 俺は四人に向かって、わざとらしく挨拶をした。



 ――時は遡る。


 アルバートの独立宣言が終わった後、俺はホセリアに提案した。


「これで共和国の上層部――上級評議員だったか? そいつらは絶対に黙ってはいないぞ。俺の時と同じように、邪魔者を必ず消しにくるはずだ。だから、俺達に護衛をやらせてくれないか? ホセリア。敵が超能力者なら力になれると思う」


「ありがとうございます、アラシさん。それではお爺様に連絡してみます」

 話はすぐにつく。

 新生惑星機構の総裁(トップ)ともなれば、殺し屋やテロリスト連中から、命を狙われるのはわかりきっていた。

 独裁者は暗殺が好きだからな。


 もし敵がエスパーなら、並のボディガードでは守り切れないので、ホークブルク家は天女団を護衛として雇うことになった。


 俺としても借りを返せるので良いのだが、例によって人選は揉めに揉める。


「私が行きます!」

「いや、ここは私でしょう!」


 今回は俺が独断と実力で選んだ。大人数は必要なく、対超能力戦を想定し、琴音(ことね)とエルフ部隊を連れていくことにした。


「それでは、魔法で敵を倒して見せましょう。うふふふ」


 笑いながら琴音はうそぶく。頭も良いので、臨機応変に対処できるだろう。

 これで戦力は十分だが、それでも同行をねだる者達が大勢いた。


「なあ大将、アタイらも連れてってくれよー」

「連れてくニャ!」


 紅美と夏美がしつこかったので、俺は根負けした。

 仕方なく許可したが、口酸っぱく注意しておく。


「あくまで予備部隊(バックアップ)だぞ。お前達は前に出るな。今回の任務は要人と琴音達の護衛が最優先だ。それができないなら、連れて行かんぞ」

「了解了解、ぐふふふふ」

「ニャハハハハ!」


 抜け駆けする気、満々じゃねえーか。困った奴らだが、いざとなれば頼りになる。

 誰よりも闘争心が強く、仲間を守るためなら体を張る覚悟があるからな。

 しかし静香と志乃は連れて行けず、不満を爆発させた。


「何で私達が留守番なのよ! アラシ」


「ブーブー! 今度は私を連れて行くって言ったのに、司令がウソついたー!」


 二人は子供のように、ふくれっ面になる。簡単には納得してくれそうにない。

 俺は頭を下げ、ひたすらなだめるしかなかった。


「ごめん、すまん、許してくれ。今は開拓開発の方が大事だから、二人に離れられると、計画が立ちゆかなくなる。それに多分……になるだろうから、それの準備も進めてほしい」


 俺はダメ亭主のように、ひたすら手を合わせて拝み倒した。この方法しか思いつかなかった。

 二人ともしばらくグチグチ文句を言っていたが、やがて大きくため息をつく。


「はあー、もう仕方ないわね。行ってきなさいアラシ」

「司令、将来の貸し二発(・・)にしておきます。利子もつけようかなー」


「あ、ああ」


 何の事かは分からなかったが、取りあえず静香と志乃は我慢してくれた。

 戦うより部下に気を配る方が疲れる。機嫌を取らんと拗ねるから大変。


 こうして俺は護衛部隊を引き連れ、カロリーゼへとやってきた。

 この間に共和国はちょっかいを出してきたようたが、ホークブルク家の方が、一枚上手だったようだ。

 ただ立て続けにテロに失敗すれば、面子と意地にかけても、より過激な手段にでてくるだろう。

 案の定、ホークブルク家の情報局から、ゴリオシという奴が殺し屋を雇ったとの情報が入った。


 最後の鎮魂歌(ラスト・レクイエム)という通り名で、暗殺成功率は高いらしい。


 エスパー集団で間違いないだろう。そしてココにやってくるはず。


 俺は当主のエドワードとアルバートに、この件で相談することにした。

 顔を合わせるなり謝ってきたので、手を上げて制した。


「もう謝罪は十分だ。それより、暗殺者の対策を話し合おう」

「そうだな、今後の話もある」


 俺達は対等の立場で意見を交わした。話してみるとアルバートとは気が合う。

 もしホセリアと出会っていなければ、暗殺者になっていたのは俺の方だっただろう。

 だが今は、ホークブルク家を守る立場になっている。運命とは皮肉なものだ。

 何度も話し合って作戦が決まり、俺は二人と握手を交わす。


「孫をよろしく頼む、アラシ殿」

「娘はまかせたぞ、アラシ」


「ああ? 粗略には扱わんし、ホセリアの警護も万全にしておく」


 なぜか二人は顔を見合わせ、意味深な笑みを浮かべていた。意味がわからん。

 

 それから、機構に加盟した各国との会合は、バーチャル空間で密かに行われた。

 表向きには、別館で大規模な会合を開くことになっている。

 偽情報を流して罠を張る作戦だった。


 宇宙港を毎日監視し、やってきた暗殺者達を発見しマークした。いくら姿を消そうとも、探知能力を持つ俺やエルフ達の目はごまかせない。


 そして当日。


 罠を完璧にするため、アルバートと各国の代表には、目立つように高級車で館へ入ってもらった。

 館に入るとすぐに別のワゴン車へ乗り換え、遠くへ離れてもらう。

 つまり館に要人は一人もいない。あとは罠にかかったネズミを始末するだけだ。

 館は既に完全包囲している。たとえ塀の外へ逃げ出しても、狙撃兵が待ち構えていた。

 蟻の這い出る隙間もなく、絶対に逃がしはしない。


 殺し屋達は屋根から侵入し、床下を通って誰もいない(・・・・・)パーティ会場へと向かった。

 やがて会場で銃を乱射するが、誰にも当たることはなかった。なにせ全て立体映像(ホログラム)だからな。

 ハードライト・ホログラムは質感と触感も少し再現するので、エスパーでも偽物とは気づきにくい。

 流石はホークブルク家と言うべきか。


 四人が大広間で驚いていると、ホログラムが一斉に消えた。

 代わって姿を現したのは、俺と機甲羽衣をまとった部下達だ。

 出入り口は完全に押さえている。もう逃げ場はなく、俺は降伏勧告をする。


「武器を捨てて、投降しろ!」


「誰が従うか! お前ら逃げろ!」

「すまん! レイヴン……」


 リーダーらしき男が立ちはだかり、その隙に三人の姿が忽然と消えた。

 直後、壁に丸い穴が開く。光学迷彩と切断能力だな。

 自分だけが残って部下を逃がすとは大した奴だ。だが、容赦はしない。

 俺は前に出てレイヴンと対峙する。

この作品がお気に召しましたら、ご感想などお寄せいただけましたら幸いです。

執筆の活力とさせていただきます。


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