モノローグ サラ5
「いったわよ! ルナ」
「任せて、お姉ちゃん」
「残りは撃墜していいんだよな? 姉貴」
「ええ、構わないわリジー。もう手加減は無用よ」
私達は戦闘艇で戦っていました。大規模な宙戦で、味方もたくさんいます。
海賊と化した軍閥軍に対抗するため、被害を受けた辺境惑星が一致団結し、新たな連合軍を結成したのです。
もう単独では、海賊の襲撃を防ぎきれませんので、協力することになったのです。
その名は、「辺境星防衛軍」。
中心となったのは私達の天馬団です。今までの戦闘経験と実績を買われ、全軍の指揮権を委ねられました。
私達は引き受けるしか、ありませんでした。
数はともかく寄せ集めの軍隊では、やられるだけですので、戦えるようになるまで面倒を見るしかありません。
いつになったら私達は、隊長を探しに行けるのでしょうか?
あれから進展はあったのですが、今はイラついていて敵に八つ当たりしています。
「逃げた、勝ったぞ!」
「やったあぁ! 初勝利!」
「まだです! 直ちに追撃しなさい! 逃してはなりません!」
「はっ! すみませんでした、サラ司令」
勝利に浮かれるのは仕方ないので、ある程度は大目にみています。
戦闘が一段落したところで、艦隊の撤収を開始しました。この宙域の海賊は壊滅したものの、味方に被害は少し出ました。胸が痛みます。
前線基地への帰還航海は、副司令に任せました。辺境惑星から選ばれた方です。
少しでも経験を積ませないと。
「あとはお願いね」
「はい、了解しました」
私達は旗艦となったファミリー号で、休むことにします。
とは言っても戦いの興奮はおさまらず、愚痴の言い合いになってしまいました。
少し前、隊長からの念話が届き、私達はこれに大喜びしたのですが、その中身が問題でした。
『念話は届いた。サラ、リジー、ルナが無事で何よりだ。クラリスとミレーユさんにも、よろしく伝えてくれ。あと悪いが居場所は言えん。まだ俺を狙ってる敵に知られたら、仲間達が巻き添えになる。また会える日が来ることを、心から願っている』
一見すれば何でもない内容ですが、深読みするとあることが分かります。
「隊長は恐らく共和国を警戒してるのでしょう。私達が軍閥をボコボコにしてますが、誰かが暴走して、また危険な兵器を使うかもしれない。身を守るには仕方ありません」
「力のある超能力者であれば、念話は盗み聞きされちゃうからね。お兄ちゃんの居場所が売られちゃう。これは秘密にするしかないわ……残念だけど」
「それもクソ共和国のせいだ! アタイ達の邪魔ばかりしやがって! こうなったら徹底的に叩きつぶしてやる! それはともかく、兄貴の言ってる仲間って……まさか⁈」
「女ね……」
「女でしょう。はあ……隊長のことだから、また考えなしに人助けして、相手から惚れられてるんでしょう。私達のように命を救われたら好意を抱くのは当然よ。頭が痛いわ」
「しかも今回は一人や二人じゃないわよ、サラお姉ちゃん」
「ええ、ルナの言うとおりでしょう。幸いなのは隊長が少年なので、今のところは手を出されてはいないはず。ただ、いつまでも放置できないわ」
これは女の勘ですが、まず間違いありません。早く迎えにいかないと、隊長の貞操が危ない!
「大丈夫だ、姉貴。共和国を片付けたら、泥棒猫は全部アタイが追い払ってやる」
「頼むわリジー……と言いたいけど、女が絡むとそう簡単にはいかないでしょう」
「お兄ちゃんは優しいからね。かなり揉めそう」
この場にいない隊長に文句を言いながら、私達は本音をぶつけあって、日々のストレスを解消しました。
そうでもしないとやってられない。妹達がいて本当に良かった。
落ち着いたところで、ルナが星間情報網を使って、念話の内容を電子メールでクラリスに送りました。
念話の来た方角から、隊長の居場所は絞りこまれてきましたので、捜索はクラリスに任せるしかありません。
私達は動けませんが隊長を見つけ次第、攫いにいくつもりです。
また防衛軍が帝国軍と同盟を結ぶ計画も進められています。
というのも、軍閥軍がネメシス光星帝国にまで、手を出し始めたからです。
私達に追い詰められたせいか、見境なく攻撃しています……く、狂ってやがる。
病院送りにする前に、あの世に送るしかありません。
この状況下で、共和国の臨時政府と残った正規軍はまともな対策を打ち出せず、対応は後手後手に回っていました。
正規艦隊が軍閥に近づけば逃げられてしまい、共和国の主要惑星である四つが、政府に一切協力しなかったからです。首星の住民ですら、命令に従わない者もいます。
この期に及んでも上流階級は利権を守ろうとし、地方惑星から利益を吸い取ることしか考えていません。
自分達を、上級星民とでも勘違いしているのでしょう。
本当に腹が立ちますが、いつまでも長くは続かないはずです。
私達に所属する辺境惑星は中央への納税を止めました。文句を言ってきますが、無視するだけです。
どうせ何もできない、クズ民主国家ですから。
戦いの日々が続く中、私達は海賊を追ってるうちに遠くまで来てしまい、ある艦隊と出くわしました。
その艦隊は瞬く間に、海賊艦を沈めていきます。かなり強い。
私は味方に停止を命じ、その艦隊の出方をうかがいました。
すると通信が入ってきたので、回線を開きます。モニターに現れたのは、軍服を着た若い男でした。
『私の名は、レグナス・レギオン。ここより先の宙域は、我がレガリア軍の管轄にある。許可なき艦隊の進入は認められない。転進するならば危害を加えるつもりはないが、前進するのであれば交戦も辞さない』
「私は辺境星防衛軍司令、サラ・イシュタール。海賊討伐任務の過程で、この宙域へ進入した。我々に貴軍と交戦する意思はなく、速やかにこの宙域から離脱する」
『了解した、サラ司令。我々も追撃は行わない。貴女の武運を祈る』
互いに敬礼を交わし、通信は終了しました。
レガリア軍は知りませんでしたが、恐らくどこかの独立勢力なのでしょう。
共和国側についていないのであれば、こちらが戦う理由はありません。
鮮やかな戦いぶりを見る限り、かなりの実力を持つ相手です。
敵に回したくはありませんが、レグナスを味方にするのは危険な気がします。
隊長とは違い、彼の目からは強い野心が感じられました。
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執筆の活力とさせていただきます。




