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神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第二章 動乱編

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お待ちかねのボーナスタイム

 俺は管制室に移動し全軍に通達する。

 敵は排除したが作戦は終わっておらず、むしろこれからが本番。


「敵の頭は拘束した。各員残敵に注意しつつ、物資回収を急げ。お待ちかねの強奪の時間だ。船も武器も根こそぎ持って行くぞ! あらゆる物を分捕れ‼」


「ゲヘヘへ、いただきだぜ!」

「全部アタイらのもんだー!」


 俺達は海賊へと変わる。攻めてきた悪党から奪って何が悪い。

 どうせ死んだ奴は使えんのだから、俺達が有効活用してやるだけだ。


「静香、来てるか?」


『ああ、アラシ。今ゲートに入ったところだ。予備部隊も出撃可能だ』


「よし、物資を積み込んだ船を順に出航させてくれ。それから外で待機だ。あとクララ嬢をコッチに連れてきてくれ。もうすぐ、ゲストも来るだろう」

『了解した』


 天女団は生き生きと略奪を開始した。

 ガルバス傭兵団に対する罪悪感はなく、力尽くで奪い取る感覚は、たまらない快感である。

 その様子は、さながら特売品に群がる主婦達のようだった。

 戦利品は直接運ぶか、バケツリレーで船へ積み込んでいく。

 大きなコンテナは重力リフトで搬入し、全く無駄な動きがない。


 仲間達が優秀なので俺は見てるだけで良かったが、判断を求められることもある。


『司令、捕らわれていた女性と子供らを発見しました。男子もいてかなりの人数です。いかがいたしましょうか?』


「奴隷……またか、ゴロツキどものやることは、いつも変わらんな。全員保護して船に移送しろ。俺達の惑星に連れていくしかあるまい。こんな場所には置いておけん」


『了解しました』


 救助者の身の振り方は後で考えよう。

 もっとも俺達は他星との繋がりがないから、ずっと面倒を見ることになるかもしれん。

 大災害の影響で、受け入れ先もなさそうだし。



 そして、クララが管制室にやってきた。


「ひっ!」


 鎖で縛られたガルバスを見て怯えた。まだ生きてはいるが、パワードスーツは剥ぎ取られ、数人の見張りが銃を構えていた。暴れた瞬間に蜂の巣だ。

 もっとも大怪我を負っているせいで、もう体力は残っておらず、黙り込んだままだった。

 生かしておいてた理由はある。


「あのアラシ司令、一体何を……?」


「クララ先生、今までありがとう。本日をもって貴女を自由の身とするが、その前にこいつらとは無関係だったと、証明してもらいたい」


「えっ⁈」

 俺はにこやかに銃を差し出した。


「コイツを撃ってくれ」

「なっ…………」


 ガルバスを殺せと言われて、クララは動転していた。

 無論、殺しなどしたことはないはず。震えたまま固まってしまう。

 なんとか銃に手を伸ばそうとするが、途中で止まったまま。

 そこに大きな手が後ろから伸びてきて、銃をひょいと取り上げる。


「あんまり、うちの社員をいじめないでくれないか」


「所長⁈」


 クララの後に、アンダー交渉事務所の所長である、ブルート・ベルクマンがいた。

 俺が無線で呼んでおいたのである。

 現れた大柄な男は高級スーツを着込み、立派な口髭を蓄えていた。少し老けているが、周りを圧するほどの迫力がある。


 ブルートは拳銃のスライドを引き、初弾を装填した後、ガルバスに銃を突きつける。


「ガルバス……約束を破り裏切ったらどうなるか、傭兵の掟くらい分かってるだろうな?」

「くっ…………」


 直後、パンッ! と乾いた銃声が響いてガルバスは倒れた。

 手慣れた動きに俺は感心する。銃は俺に投げ返された。


「あんた元傭兵か? 大した腕だな。約束通り、クララ嬢は連れてってくれ。操縦士と一緒に」


「そうさせてもらう。これで少しは信用してもらえたか? アラシ」


「ああ、十分だ。口より行動で示してくれたからな。これでアンタも戦友だ」


 ブルートは俺達と一緒に、ガルバス傭兵団を潰したことになった。悪く言えば共犯。

 しかし、本当の信用が生まれたと言っていい。物よりも、俺が一番欲しかったものである。

 ブルートとクララが去った後、作戦も最終段階に入っていた。最後の後始末だ。

 物資を山積みした船は外に出て、残ってるのはたった一隻。


 俺は最後の船に乗り込み、椿に連絡を入れる。


「問題ないか? 椿。十分注意してくれよ」


『了解であります、アラシ殿。もう少しで、爆破準備は完了であります』


 傭兵団の基地は、ゴロツキ共の死体ごと跡形もなく吹き飛ばす予定だ。

 だからこそ、ジョン達の遺体もわざわざここへ運んできたのだ。

 散々好き放題やってきた奴らに、墓など必要ない。誰にも知られぬまま、宇宙の塵となれ!


 普段は総料理長として腕を振るっている椿だが、天女団の中では爆破のプロであり、爆弾娘(ボンバーガール)として恐れられている。顔は純朴なんだけどねー。


 本人曰く、

「料理も爆破も、仕込みと火加減が重要であります」

 だそうで、その計算能力はAIもしのぐ。右に出る者はいない。


 やがて椿と爆弾設置班が戻ってきて、船を発進させた。忘れ物はないな。

 基地から離れ安全距離まで移動したところで、椿が起爆装置を取り出す。


「それでは皆さん、お待ちかね! 三、二、一……ポチッとな!」


 次の瞬間、

 傭兵団の基地が内側から膨れ上がり、爆炎が一気に噴き出した。

 小惑星は巨大な火の玉と化す。

 爆風は内部を駆け巡り、火の付いた残骸が四方八方に飛び散って、まるで花火のようだった。

 これで基地は木っ端微塵、何も残るまい。


「成功であります!」

「ざまぁみやがれ! スッとしたぜ!」

「たまやー! かぎやー! 最高のショーだ!」


 仲間達は歓声を上げて喜んでいた。これで作戦(ミッション)は完了。

 俺は皆をねぎらう。


「皆よくやってくれた。ガルバス傭兵団は壊滅し、敵基地も爆破した。この勝利を喜ぼう。惑星(うち)に帰って祝勝会だ!」


「うおおおおっ!」

「了解であります!」


 仲間達が勝利に浮かれる中、俺はブルートと連絡を取る。

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召しましたら

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