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神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第三章 争乱編

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海浜訓練

 俺はアーロンの隣に座って話す。


「少しは生活に慣れたか?」


「ああ、おかげさまでな。飯は美味いし昔に比べたら、天と地ほどの差がある。ところで俺達もそろそろ働きたいと思う。いつまでもタダ飯を食っていたら気が引ける」


「それは助かる。実は西海岸に港を作っていてな、漁業を始めようとしてたとこだ。アーロンは本職の漁師だそうだな? なので任せたい。もう船や道具は用意してある」


「そうか、分かった。是非やらせてもらおう。ところで税金は……」


「ないぞ」


「はあああぁ?」


 アーロンが大げさに驚いたので、俺は思わず笑ってしまった。

 今まで散々絞り取られてきたから、とても信じられないのだろう。

 俺は詳しく話す。


「知っての通り、うちじゃ通貨は使ってない。だからアーロン達が必要な分をとってから、余った魚を回してくれればいい。今のとこはそれで十分だ。実際どれだけ獲れるかわからんし、月に一度相談しよう。あとはAIに計算させて、漁獲量や出荷量を決めるといい」


「……なんてゆるい物納だ。こちらに異存はないが、本当にそれでいいのか?」


「ああ、アーロン達はもう奴隷じゃない。俺達の仲間だ」

「感謝する……ここに来れて本当に良かった」


 感極まったようで、アーロンは目頭を押さえた。大脱出した苦労もあったろう。

 やることは多いので、これからが大変だが楽しみでもある。

 俺は本音をもらす。


「実はな西海岸に調査隊を出したところ、竿で釣った魚が美味すぎて、女達が目の色を変えちまったんだ。それで『漁業をしましょう!』となって、俺は開発を急かされた。とにかく、美味いもんには目がないからなー」


「ははは、なるほどな。確かに海の幸はいい」


「それで数小隊が見習い船員として働くから、仕事を教えてやってくれ。あと炊事班も赴任する予定で、魚料理を研究する。そのうち漁村になるだろうな」

「ふふふ、了解した、アラシ」


 すでにプレハブ住居は建ててあり、もうすぐ上下水道と電気も使えるようになる。

 あとは鉄道で物資を輸送する。ああ、魚保管用の冷凍庫も建てんとあかんな。

 連絡要員を除いて、元タルボット星の人達は全員移住することになった。

 助けられたとはいえ軍隊と一緒の生活では、居心地が悪かったようで、フルーツ畑や農園に行く者もいた。

 

 ――こうして、三か月ほどが過ぎる。


 辺境惑星同盟軍が共和国軍に勝った、という情報が入り俺はホッとした。

 これで反政府勢力は勢いづく。上級評議員達は何もできず、共和国は弱っていくだろう。


 いい気味だと思うものの、まだまだ国力はあるので侮れない。あとなぜか嫌な予感がしたが、それが何かは分からなかった。


 日々の仕事に追われてるうちに忘れてしまう。宇宙での戦況は落ち着き、今のとこは平和が続いてるが、訓練は怠らない。


「これより、海浜訓練(ビーチ・キャンプ)を行う」


「うおおおおおー!」


 女達の盛り上がりは凄かった。建前は訓練だが、海でのバカンスである。

 漁港に近い西海岸は広い砂浜があり、背後には森があって、緑豊かな自然な場所だ。

 海から吹く風も心地よく、骨休みには最高である。

 まずは軍服を脱いで水着に着替える……


「こらあー紅美! その場で脱ぐんじゃない! 丸見えだろうがー!」


「いいじゃん、天音。脱衣所まで行くの面倒くせえし、男は大将しかいないんだから、見られてもかまわねえーよ」


「そういう問題じゃない! 近くには新住民がいるんだから、少しは気をつかえ!」

「へいへい」


 と言いつつ、紅美はそのまま着替えてしまう。でかい胸が見えた。

 他にも面倒くさがり屋がいて、風紀をあずかる天音と口喧嘩になる。

 女だらけで、羞恥心がないのは困ったものだ。


 あとなぜか俺の近くに来て、見せつけるように着替える奴もいる……止めろって。

 すったもんだの後で、ようやく全員整列した。ホセリアが用意してくれた水着は様々で、際どい物を着てる者もいる。


 俺はとやかく言わないが、目のやり場には困るな。


 軽いランニングの後で水泳訓練が始まる。実は天女団で泳げる者は、ほとんどいなかったのだ。これまでは陸戦ばかりで、遊泳の機会がなかったせいだ。


 カナヅチのままでは、海で活動できないので、遊びがてらに訓練することにしたのだ。

 いずれ水兵が必要になる時もあるだろう。


 インストラクターは経験者に頼んだ。一人は自宅プールで泳いでいたホセリアと、もう一人はクララ先生である。


「うう、なんで私が……海でほんのちょっと、泳いだことがあるだけなのに……」


 水着を着て恥ずかしそうにしながら、準備体操をしていた。

 ホセリアと年少組が何度も拝み倒して、来てもらったのだ。

 天女団で先生は信用されてるので問題はない。報酬に海の幸をご馳走することで、話がついた。


 泳ぐ前に、全員座ってクララ先生の講義を聞く。嫌々引き受けてくれた割には、しっかり予習してきたらしい。やはり真面目だ。


「えー、海には波があり潮の流れも複雑です。沖にはでないように注意してください。あと体調がおかしい時は、すぐに陸に上がってください。周りを見ていなくなった人がいないか、常に注意してください。海では安全第一です」


「生命兆候(バイタルサイン)を確認しますので、皆さんスマートウオッチを、必ずつけてくださいね。何かあれば救難ロボ、『人魚姫(マーメイド)』が助けに行きます」


「はーい!」


 年少組が返事をした後、ホセリアが補足する。


「それでは、心臓マッサージと人工呼吸のやり方を覚えましょう」

「えっ……」


 ホセリアは用意してた人形で、手本を見せてくれた。どうやらこの日のために、練習していたらしい。

 クララ先生は何も聞いてなかったようだ。なぜか青くなっている。


「それでは皆さんペアを組んで、練習してみてください」


 そして浜辺は大騒ぎになる。


「静香様ー! 私とマウス・ちゅー・マウスを! はあ、はあ、じゅるるる!」


「ああ、悪いな天音。私は人形で練習したからもう十分だ。じゃ、そういうことで……」


「そんなあ……」


 諦めきれない天音は、嫌がる静香を追いかけ回す。


「処女先生、私達と実践しましょう! お乳をマッサージします!」

「いやああああ!」


 クララ先生も本気で逃げ回っていた。どうやら揶揄(からか)われてるらしい。

 反応が面白いからな。だから呼んだのだろう。

 ただみんなに好かれてるから、本気の奴もいるかもしれん……百合百合だな。


 そして……俺も逃げるしかなかった。


「……アラシ、わたしとしよう」

「いやいや、小官とするであります!」

「大隊長を差し置いて、そうはさせんぞ! 司令とするのは私だ!」


 真面目にやれ!と怒鳴りたいとこだが、三人の他にも大勢迫ってきたので、俺は思わず神影走を使ってしまう。


 ああ、女は恐いな。

水着回ならぬ、セクシー回ですね。ポロリではなくモ……。


この作品がお気に召したら、応援・評価をいただけると嬉しいです。

笑っていただければ幸いです。


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