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神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第三章 争乱編

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敵艦の使い道

 俺達はタルボット星の難民達と一緒に、自惑星(ホーム)へと帰ってきた。

 そろそろ惑星に名前をつけるべきなのだが、棚上げしたままになっている。

 一応候補はあるのだが、


「名前は『天馬星』、これしかありませんね」

「そうだね、うんうん」


「……それだと、俺の存在がバレるから却下だ」


 俺は共和国を警戒して拒否するが、女達が絶対に譲らなかったので、平和になってから相談という話で落ち着いた。

 そんなわけで、いまだに名無しの惑星である。地名も適当だしな。

 

 艦隊は西基地に着陸した。すぐに整備班が動いて、艦のメンテナンスが始まる。

 また機甲羽衣の整備や武器の手入れなど、やることは山ほどあった。

 分捕った敵旗艦は離発着場から離れた場所に置いた。後から中を総点検し、手直ししてから利用する予定だ。


 救助作戦は完了したが、難民達の受け入れ作業が残っていた。

 もっとも帰ってくる前に、無線で指示は出しておいたので問題はない。


 しばらくは基地内か外にあるプレハブ、もしくは3Dプリンターで建てた住宅に、住んでもらうことになる。


 基本的に住む所は自由なので、団員達は任務に合わせて住む場所を変えていた。

 ただし炊事場・洗濯場・浴場は共同である。軍隊である以上、効率を優先しなければならない。

 それでも個室はあるので、まだマシな方だろう。


 中にはテントを張って、小隊単位で暮らしている者達もいる。

 まあ、仲間達でキャンプ気分なのだろう。


 そして難民達は出迎えを受けた。


「ようこそ、いらっしゃいました!」


「天女団は皆さんを歓迎します。分からないことがあれば、遠慮なく聞いてください」


 案内と世話係は年少組の仕事だった。元気よく声をかけられれば、心も落ちつく。

 アーロン達は驚いたものの、明るい子供達を見て安心したようだった。

 これが大人だったら、どうしても警戒するからな。


 難民達は笑顔で挨拶を返した。


「ああ、これからよろしく頼む」



 ――こうして、一カ月が過ぎた。


 ゴリオシに動きはないが、アーロン達を苦しめてきたマルクスが、大艦隊を集めて同盟に攻め込むという情報が入ってきた。


 地方惑星からの大脱出で奴隷の数が減り、業を煮やしたのだろう。

 ここから同盟は遠いので、俺は助けにはいけない。状況を見守るしかなく、次の情報を待つしかなかった。


 戦力差だけを見れば同盟が不利だが、サラ達ならそう簡単にやられはしないだろう。

 そう信じて、俺は勝利を願った。

 

 そして敵司令官のバルクと捕虜達は、拷……尋問で情報を吐かせた後で、ホークブルク家が管理する監獄星へと送った。


 いちいち処分してたらキリがないし、ホセリアを通して取り決めをしたのだ。

 そもそも共和国は捕虜の身代金を払う気がなく、交渉の余地はない。

 独裁者からすれば兵士はタダの駒だから、平気で見捨てやがる。これにはむかつく。


 なのでケツァル星門で捕らえた捕虜も返還はされず、個別交渉に使えそうな者以外は、監獄星へと送られた。


 そこで死ぬまで、重力鉱(グラビウム)を採掘することになるだろう。

 重力反応炉に使う燃料で貴重な資源だ。秘密の資源惑星をいくつも持っているからこそ、ホークブルク家は強い。


 ただ、一つだけ失敗があった。


 インチキエスパーの笑笑も送られるはずだったが、途中で上手く逃げ出したらしい。

 どうやったかは不明。完全に行方をくらましたので、捕まえるのは難しいだろう。

 追うのは手間と金がかかるので、放置することにした。まあ、どうせ……。

 


 そして俺は奪った戦艦の艦橋にいた。艦内放送で告げる。


『これより第一回、艦内演習を開始する』


「うおおおお!」

「やったるぜ!」


 分捕った旗艦を改修して、訓練場として使うことにしたのだ。

 地上での戦いはお手のものだが、艦の内部となると勝手が違うので、いろいろな訓練をすることにしたのだ。


 団員達はかなり盛り上がっていた。いつものように賞品つきだからな。

 豪華賞品がたくさんあって、訓練成績が良かった者に贈られる。


 なお、演習はホークブルク家の提供でお送りします。


「絶対にニホン酒をもらうぞ!」

「おう!」

「狙うは特級酒、『桃源郷』!」


 紅美と飲んべえ達の気合いの入れようは、半端ではなかった。

 ようやくビールが作れるようになったものの……あっという間に消えていく。


 お前ら飲みすぎじゃ! 大麦とホップの生産が、まったく追いつかんわ! 


 それで農園基地の人員が増えることになり、農地開拓が進む。

 やる気があるのはいいのだが、酒作りのために働く軍隊ってどうなんだ?

 まあ、天女団らしいと言えばそれまでだ。運命共同体だからな。

 


 そして模擬戦が始まる。まず第一種目は、「エリア制圧戦」。


 二チームに分かれて、ランダムに決められた艦内の区画を、占拠するのが目的だ。

 旗の色が変わるまで守り続ける必要があり、一定時間ごとにポイントが入る仕組みだ。


 もちろん奪還も可能。ペイント弾での撃ち合いで、判定はAIが公平に行う。

 決められた人数では、全ての区画を制圧するのは無理で、どこを攻めてどこを捨てるかで勝敗が決まる。


 また区画は上下からも侵入できるので、守る側は難しい。頭脳戦でもあるのだ。

 やられても一定時間が経てば、再出撃(リスタート)できるのだが、


「うおー、離せぇー! 私はまだ戦える!」

「はいはい、ルールは守りましょうね」


 やられると、前と同じように機甲羽衣のモニターが真っ暗になる。

 それでも粘ろうとするので、衛生兵達に両脇を抱えられ、ずるずると運ばれていく。

 試合時間はわずか三十分。参加者が多いので、ゾンビをさせてる暇はない。


「あー負けたニャ! 悔しいニャ!」


 狭い場所での銃撃戦のみなので、獣人達は素早さが生かせず負けてしまう。

 接近戦は禁止にした。いつも有利な場所で戦えるわけではないので、これも訓練だ。


 まあ俺が意地悪してるだけだが、くっくくく。


「いけいけ!」

「そこだー!」


 試合は盛り上がり、休憩を挟んで夜まで続いた。

 こうして演習の初日が終わった。

FPSです。


お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召したら

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