スタンピード発生。
頭痛い中書きました。_:(´ཀ`」 ∠):←言うことなくなりつつある人w
僕が挨拶を終えると部屋が静まりかえった。特に僕を平民、平民と扱き下ろしていたお馬鹿達は口が落ちるんじゃないかと言うほど口を開いていた。間抜け面だなぁ。
「シルフィ、何故こんな場所にいるのかは後にするが今お前が言っていたことに嘘、偽りは無いな?」
「はい、先程言いましたが私は娼婦の真似事などしておりませんし相手に斬りかかられたため応戦したまでです。決して私の方から何かをしたことはありませんね。」
「そうか…私の娘はこう言っているが何か言いたいことはあるかな?平民どころか貴様よりも爵位の上の者の発言であり、我々が他数名の証人より聞いていたことと差異は無いが?」
「い、いえ。それは…。」
ぽっちゃり騎士はつい先程までの勢いも無くただしどろもどろになりながら視線を泳がせて必死に言い訳を考えている。
考えなしに自分の思い通りにしようとするからそうなるのだ。これで彼は平民だからと無理矢理僕に言うことを聞かせることが出来なくなった。
そして虚偽報告を判決を出させることで指摘されることを回避することも出来なくなった。彼は今、どう言い訳したものかと必死に考えていることだろう。
無論、本当にその必要があったのであれば情状酌量の余地はあるだろうが今回は自分好みの身体の女を物にするために起こしたことであり何処にも正義などありはしない。
「そ、そうだ!彼女が本当に貴方様の子女様である保証などありません!もしかすれば私を嵌めようとでっち上げを!」
「ならこれでいいかな?」
僕が取り出したのは一本の刃物。それを見た瞬間数名の貴族が驚き席を立とうとするが、すぐに確認し直しなおすと落ち着きを取り戻した。
武器の類はこの場に来る前に騎士に預けたがこれだけは手放さない、いや手放せなかった。僕が取り出した刃物は「貞操の剣」とか言われる貴族女性が常に携帯する刃物だった。
貴族の子女は貞操についての教育を強く施させれており婚約者や恋人でも無い者に身を穢されそうになるとこれを使って自害する。そう教育されている。
僕の場合、ユミルに身を穢されているような気もしないでも無いが女性同士だし別に膜が無くなっている訳でも無いのでセーフだろう。てかまだユミルとそこまで行けてない。ユミルは乙女過ぎるんだよ…。
これも一度騎士さんに渡そうとしたが受取拒否された。これは流石に受け取れないと丁重にお返しされた。個人的には別に無くてもいいんだけどね。
そしてこの剣と言うかナイフにはうちの家の紋章が施されておりこんな物を他家や金で雇った女に渡すような貴族もいない。盗まれていたのなら別だがそんなのは恥でしかない。
僕はこれを証拠として持ち出したのだ。これなら僕が父様の家の者であり貴族の子女と言う証明になる。
ぽっちゃり騎士はこれ以上何も言えなくなり完全に狼狽えてしまう。貴族の子女相手に股を開けとか言ったんだからこれはかなり問題になる。それを悟ったんだろう。他に彼を擁護していた者達も不利を悟って口を噤んだ。
結果、完全に沈黙してしまった彼らを見て父様は判決を言い渡した。
「はぁ…結果は出たようだな。冒険者シルフィは無罪。そこの騎士とそれに協力した者は最前線送りだ。以上解散。」
お馬鹿騎士とそれに雇われでもした証人は連れて行かれた。最後まで喚いて見苦しかったので風魔法の「サイレント」で音を消しておいた。それでも暴れて最後は物理的に大人しくさせられていたが。
「それでは皆さん、本日の件はこれで終了したと判断します。ご機嫌よう。」
僕はその流れに乗じて逃げようとするが…。
「シルフィ、話があるから後で私のテントに来なさい。ユミルも連れてきていい。」
「はい…。」
逃げきれなかったよ。トホホ…。
テントの外ではわざわざ連れ出された騎士さんが心配そうに待っていてくれた。なんだろう、忠犬を思い出す行動だね。
「あぁ、何もされなかったようだな、よかった。あの状況だと馬鹿に押し切られかねなかったからな…あいつ連れてかれたがよかったのか?」
「お貴族様達の前で堂々と虚偽報告したんだから重罪でしょ…僕を肉壁兼肉人形にしようとしたみたいだけど替わりに肉壁役に抜擢されてたよ?」
「はっ!そりゃあいいざまぁみろだ。」
弁護してくれた騎士さんにお礼と別れを告げて武器を回収すると一度テントに戻りユミルと合流した。ユミルにも事情を報告するも騎士さんと同じこと言ってたから笑ったよ。こっちは少しオブラートに包んであったけどね。
ユミルと合流後、もう一度本陣のあるお貴族様用のテントが並ぶ場所へと戻り父様の所へと向かう。正直行きたくないが。
「何言われるんだろうねぇ…。」
「お小言と街へ戻れと言う命令でしょうね。私も責任を問われそうですね。」
「ユミルは僕に従っただけだからどうにかしないとね。首なんかにされたら計画前倒しで出てってやる。」
そんな会話をしながら貴族街とも言えるテント街を歩いていると
「おい!何故貴様ら冒険者如きがこの貴族の集まる本陣近くまで来ている!」
また馬鹿なのが出たよ…。
「僕らはちゃんと許可を取った上でここを通っているんだよ。」
「ハッ!嘘とわかるような嘘はつくべきではないぞ!軍でそれは厳罰だ!さて?どうやって責任をとらせるか…。」
馬鹿貴族は僕らを舐め回す様に見ながら僕らの処遇を考えている。いや、嘘なんてついてないんだけど。
「我々は冒険者では無く今は貴族としてここにおります。その失礼な視線をシルフィ様に負けるのは辞めてもらいましょうか?」
ユミルは彼の視線が僕に向くのを嫌って僕を隠すように前に出る。個人的にはむしろその視線をユミルに向けて欲しくないんだけど…。
「いったい貴様らはいくつ嘘を「彼女らは嘘など付いてはいませんよ。」…」
声をかけて来たのは父様が従える騎士の一人だった。
「この方々はとある貴族の子女様とその従者様です。それは嘘ではありませんよ。この格好は戦場に居るために着用しており普段はとても愛らしい格好をした方々ですよ。では。」
彼はお馬鹿貴族から僕らを保護するとテントまで案内してくれる。
「ありがとうね?どうしてもこの格好だとお馬鹿さんに絡まれるねぇ…。それにしてもお貴族様とはあんな人達ばかりなんだろうか…。」
「いえ大半は大丈夫なんですが…。まぁ、中には多少性格のアレな方は居ますが…。」
この反応だとそれなりにいるんだろうね。ああ言う人が…。今も僕らを舐め回す視線は消えないしね。
しばらく歩くと一際目立つテントを見つける。騎士さんはそこに向かっている。そこが父様の居るテントなんだろうけど…。煌びやかでは無いにしても大きく目立つ。
「失礼します!シルフィ様及び従者のユミル様を連れて参りました!」
「入れ!」
「ハッ!ではどうぞ!」
騎士さんはそのままテントの外で衛兵役をするようだ。他にも護衛の騎士さんは付いているが…どうやら僕らだけにしてくれるようだ。むしろ居てもらった方が父様が破茶滅茶するの止めてくれそうなのに…。
テントの中は普通に家具が揃っていた。ソファーにテーブル、簡易型ではあるがキッチンすらあった。普通に部屋じゃね?
「やぁ、よく来てくれたねシルフィにユミル。どうぞ座ってくれ。これでも最近は私自身でお茶を淹れられるようになったんだ。」
父様は近衛侍女も連れてきたはずだか今は僕らだけにしたようだ。自分でお茶を淹れる始めている。ユミルが動こうとするが手で制させれていた。父様はそのままお茶を淹れ終えるとソファへと座り話をきりだす。
「さてシルフィ、色々話したいけどこれだけは言っておこうかな?帰りなさい。」
「えーせっかくここまで来たんだよ?もうすぐ開戦だろうしこのままここで仕事していくよ。僕とユミルの回復魔法があればそれなりにの数の人を救える。良いことじゃないか。」
「ダメだ、ここにいれば必ず戦いに巻き込まれるしまた馬鹿が君達に手を出しかねない。」
「それこそ僕らが貴族だと知らせれば問題無いじゃないか。」
「それでも、だよ。馬鹿は知っていても手を出すし巻き込まれれば死ぬことだってある。」
「ここの本陣が攻撃を受ける事態になれば負けでしょ?そうなればこの国のどこに居ても関係ないでしょ?」
「ならば最悪国外にでも!」
「その為に必要な護衛分更に国の兵力が減っちゃうでしょうが!」
「お前が死ぬのに比べれば他人がいくら死のうと!」
「それを言っちゃダメな立場でしょうがアンタは!」
「親が子を心配するのは当たり前だろう⁈」
「心配された結果人が何人も死んだら子供が思う気持ちはどうなるんだよ⁈」
「そんなこと知るか!生きていればなんとでもなるだろ⁈」
僕らの会話は徐々にヒートアップしていった。ユミルはただアワアワするだけで仲裁することも出来ずただ見ているしかなかった。このままだと手を出しかねなくなった時…。
「伝令!伝令ーーー!魔獣達が動き出した!繰り返す!魔物達が動き出した!総員戦闘態勢を取れ!」
「話はまた後だ。しばらくこのテントで大人しくしているんだよ。すぐ片付けてくる。」
そんな中、スタンピードが本格的に始まってしまった。
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