青天の霹靂
前後(話数)不確定と記して置く、
―故事に『青天の霹靂』という言葉があると人伝に聞いた、今まさに事象が我々を呑み込もうとしている。
湧き起こる悲鳴、駆ける人々。地に斃れ伏す亡骸、事態を呑み込めぬ青年が一人茫然自失と突っ立つ。(哀れ道化のようだ、)「・・・・・・」血薫る遺体は生前まで美しかった筈の温かみの有る人間だった。群青の衣装は一度きりの記念に為ってしまった、祝福されるべき前途は夢と消え苦悶の表情を残し事切れていた。「彼女は今宵、迎えが来るはずだったのに…」
誰にでもなく呟かれた追慕の葉は、けれど何れにも届かぬ懺悔かな。嘆く事も適わず、唯まざまざと見せ付けられた死を青年は反芻していた。咄嗟に己を庇い刺し貫かれた女性『…生きて、』決意に満ちた瞳で彼が生きる事を望んだ。結果、死を免れ今此処で立ち尽くす。(すでに仇は遠く逃げた者共を追って去っていた、)
標的は一から絞られており死傷者は少ない見込みだったが、実際問題として度外視された惨状が展開されていた。やはり、屑共を纏め上げる器量があの男には無かったという事だろう。期待はしていないが対価の分だけは確りと働いて貰わなければ割に合わないと毒づくのであった、
「・・・様、先方より連絡が」と間誤付く侍従を差し置いて件の男が私室に押し入った。折角の酒の余韻すら、夥しい返り血の臭いに不快さが勝り不味く感じる。思わず顔を顰め「接触するには未だ早いのではないか、」と苦情を述べる(それと多分に侮蔑が含まれていた)が気にした風も無く。「いやあ、もう粗方片付いたし…一人だけ愉快に寛いでるのも、なあ」と飄々とした笑みを浮かべる。長椅子が汚れるのも構わず、どっかりと座り込んだ男は酒を要求した。「それだけで良いのか、」
冥土の土産と酔いどれに幾らかの酒と肴を持たせると蹴り出した。(無論比喩だが、)「宜しいのですか」不思議がる侍従に「まあ、見ていれば判るさ」と嗤った主人は勝利を確信して優越に浸るのだった。明日明解は開かれるだろう、




