Intermezzo Unidentified
我々は主観を生きる。事実かどうかは関係ない。
(多元主義者と実用主義者の白昼夢)
夜空を眺めている。
視界の端から端へ、瞬時に意識を飛ばしながら。
目に映るものがあれば、その存在を知り尽くすまで離さない。
このような観察の仕方を、眺めるとは呼ばないだろうか。
そもそも彼らは、空を見ているのではなかった。意識が宙を舞い、越え、突き進み――虚空の彼方へ飛び立つ。日輪の恩恵は、遥か遠い過去の遺物だ。研ぎ澄まされた心の目が、広大無辺の闇を貫く。
希望。絶望。憧れ。畏れ。喜び。苦しみ。漏れ聞こえる微かな溜息は、それらの全てを含んでいる。この日々がいつまで続くのか。いつまで続けることができるのか。いつまで続けなければならないのか。
外の世界を、少年は知らない。ここに篭ってさえいれば、着るものと食べるものは与えられる。寝床は全員一緒。そういうものだと思っていたから、特に不満はなかった。男女の区別さえなく、夜になると広い部屋の随所で何かが妖しげに蠢く。
今はまだ明るい。明るいことになっている。彼らが外に出ることを許されるのは、日が暮れて互いの顔を認識できなくなるほど暗くなってからだけだった。
「…………………」
額環を外し、起き上がって壁際の床に置く。何も造形がない簡素な作りのそれは、装飾品という本来の主旨を踏み外している。
大人達の話によると、それは神が造り給うたものらしい。これを頭に嵌めて目を瞑ると、少年の意識は途端に漆黒の闇へ投げ出される。『星の海』というのだと教えてくれたが、どこにも星など見当たらない。それに本物の海は絶え間なく打ち寄せるのに比べて、こちらの海は波飛沫ひとつ立てなかった。
「休息か」
用足しに――少年が答えると、虚ろな声の男は言葉少なに頷いた。
「すぐ戻れよ。絶対外へは出るな」
「……御心のままに」
月の明るい夜も、社の外に出てはいけない。付近を徘徊する混沌の魔物に見つかってしまうから。四百年以上もの間、彼らの共同体はそうやって生き延びてきた。
手探りで回廊の奥へと進む。それでも躓いたり転んだりすることはない。生まれたときから暗闇に慣られされた人々は、視覚に頼らず周囲の状況を把握する術に長けている。音や匂いも重要であり、感覚の鋭さが生死を決める。
共同便所を素通りして、少年の足は地下へと向けられた。
この先に何があるのか、それを確かめた者はいない。伝説によれば、広大な地下迷宮が広がっているという。何十層にも及ぶ石造りの回廊で、運よく踏破した者は神との謁見を賜ったと言われている。彼らが住みついたのは、ここが神聖な場所だからだ。
神聖すなわち安全であることを意味する。神の加護を受けているゆえ、穢れた者共は近寄れない。とはいえ地下の奥深くで他の出入口と通じていないとも限らず、少年のいる場所も安全だとは言い切れなかったが。
(この辺にあったはずなんだけど……)
手探りで進みながら、ゆっくり首を巡らす。
また『あれ』が見たくて、早めに広間を抜け出してきた。現実と同じ暗闇なんか見たってつまらない。祈りの時間はそろそろ終わる。起きてから眠るまでの毎日十時間、大人も子供も等しく儀式に従事する。腕力や体力の影響を受けないからだが、かといって義務というものを理解するには、まだ少し早い。
最初に『あれ』を見たのは、三十回ほど寝て起きる前のことだった。それを見るためだけに、少年は毎日地下の遺跡に通っている。
それから何日経ったのか、正確には憶えていない。闇の中で暮らしているため実感が湧かないのだ。広間に戻って額環を被れば、視界の右下に日付と時刻が書かれてはいる。しかし現実の変化を伴わない数字の羅列に何の意味があろう。
ふと違和感を覚え、少年は足を止めた。
何者かが後ろをついてくる。先へ進むと同じだけ進み。どうやら追い越してゆくつもりはないようだ。気づいたと知られないよう、いきなり振り返ったりはしなかったが。急に立ち止まると、小さな瓦礫が弾かれて飛んだ。
「…っ……!」
この感じは憶えがある。聞いて確かめる前から、彼には分かっていた。こういう危険な真似をするのは、自分の他に一人しかいない。
「……七四九一二番、だよね。第七象限再認班の……」
震えたようだった。そこまではバレていないと思ったのだろう。
少年達の社会では、個人を番号で識別する。少女の場合で言えば、第『七』象限を探索する六班のうち再認を任務とする『四』班に属する『九一』人目の女性を表す『二』番という意味だ。少年は第三象限調査班に属しており、三二八五一番という。
やがて観念したのか、おずおず右腕を伸ばしてきた。何度か擦れ違いを重ねて、ようやく二人の指が絡み合う。
「…どうして分かったの?」
不思議そうに訊ねてくる。本当のことを言うのは恥ずかしかった。
「息遣いだよ。声だけじゃなくて、呼吸にも人それぞれ特徴があるんだ。お年寄りや身体の大きい人は荒く、小柄な女の子は静かって具合に」
「へぇ……凄いのね。私にもできるかな?」
素直に感心されてしまった。疑いもなく信じられると、騙したみたいで気持ち悪い。大丈夫と請け合った声が上擦る。
「ふぅん……?」
「できるよ。君は僕より耳がよさそうだから」
首筋に吐息を感じた。触れてはいないが、相当声が近い。
あるいは今も、心臓の音を聞かれているのだろうか。少年の鼓動は、彼女の息遣いを聞いたときから高鳴りっぱなしだ。少女の声は落ち着いて聞こえる。しかし後を尾けてきたからには、相手のほうにも用事があるわけで……
会話が途切れる。沈黙に耐えきれなかったのは少年のほうだった。
「そういえば、どうしてこんなところに?…その、こっちには何もないはずだけど」
失言だったと後悔する。少年は選択肢を間違えた。気まずさがなくならないばかりか、ますます自分を追い詰めることになってしまったから。
「その言葉、全部お返し。あなたはどうして?」
質問に質問で返すのは卑怯だ。そう反論することもできただろう。
それを言ったら会話は終わり。また一人で先に進むことができる。早く『あれ』のところに着きたいなら、すぐにでもそうするべきだった。
「僕は……」
つい口籠ってしまう。別に悪いことはしていない。決められただけ祈り、明るいうちや月夜の晩に外へ出たりしなければ。それらの掟も人間を守るために神が与えたもの。破ろうなどとは思いもよらない。
混沌の侵蝕は、この地に生きる全てを魔物に変えた。人間も例外ではなく、災厄が降りかかった直後には大勢の仲間達が命を落としたという。
真の神を信じたゆえ、彼らの祖先だけが終末を乗り越えられた。紛い物の神を奉じた愚か者は、生ける屍となって今も地上を彷徨っている。元の姿が分からないほど変形し、波打つ表面は不気味な色。自分が『死んだ』ことも理解できず、残された生存本能に従って他の魔物や迷い込んだ犠牲者に喰らいつく……
そうなりたくはなかったから、ずっと決まりを守ってきた。しかし今では、それも信じられなくなっている。人間が常闇の環境に適応できるのなら、元々夜行性だった獣に見つからないということはあり得るのだろうか?
その疑問は言葉にならなかった。漠とした不安。畏れ。戦慄。自分でも判然としない感情を持て余している。
「……どうしたの?」
押し黙った少年の顔を、少女の視線が覗き込む。見えているわけではない。声や息の近さから、そう判断しただけだ。
屈託のない子である。初めて普通に話したが、彼女になら『あれ』のことを教えてもいいような気がした。
「…一緒に来る?」
「えっ」
訊ねるというより、驚いていると言ったほうが近かった。
「君に見せたいものがあるんだ」
☆★☆★☆★☆★☆
地下二階の先には、まだ多くの遺構が残っている。
縦横無尽に走る通路。そこに張りつく大小の部屋。閉じているものもあれば、扉の痕跡自体なさそうな空間もある。
用途は不明だ。等間隔で仕切られた区画が、それぞれ十部屋程度ずつ似たような配置で構成されている。その数は七。二人が下りてきた場所を中心として、放射状に六本の通路が外縁へ向かう。少年が目指す『あれ』は、うち一本の最も遠い片隅にあった。
「…っ……!」
「大丈夫?怪我はない?」
押し殺した悲鳴を、少年の耳が聞きとめた。地下一階に比べて、ここは大きな段差が多い。何度も通い詰めている彼でさえ、油断すると転びそうになる。
「左手を壁につけて。姿勢を低く。こうすれば迷わないから」
ほとんど這うような具合だ。尖った瓦礫も混じっているが、転んで方向感覚を失うよりはいい。
少女は無言でついてきた。弱音を吐かない代わり、先程の安否を訊ねる問いにも応えていない。さすがに後悔しているか――それでも帰るとは言えずにいる。暗澹と沈みかけた少年の気持ちを、意外にも陽気な声が掬い上げた。
「…ね。どうしてここのことに詳しいの?」
まるで答えを知っているような口振りだった。少年が慣れていると分かったことで、不安より好奇心が上回ったのかもしれない。どう切り出すべきか考えていると、再び少女のほうから言葉の空白を埋めた。
「知ってるよ。ここに何度も来ていること。ついてくるなって言われたり、嘘をつかれたらどうしようって。不安に思ってた」
「……それは」
息を呑む。まさかとは思いつつ、期待に胸が高鳴る。
「さっきの質問に答えるね。あなたが……六三八七一番が、こっちに歩いてゆくのが分かったから。それで私も追いかけてきたの」
鼓動が早まる。そして息が止まりそうになる。
聞き間違いだろうか。今度は少年のほうが驚く番だった。混濁する頭の芯から、すぅっと熱が抜けてゆく。
「…僕は、三二八五一番だよ。誰かと間違えているみたいだね」
「………………………!」
びくり、と震える気配が伝わってきた。
本当に気づいていなかったのかもしれない。今まで少年のことを、他の誰かだと思っていた。声や話し方が似ていて、後を尾けてくるほど気になっている誰かと。
気まずいどころの話ではない。沈黙を破り、少年が溜息をついた。それは思いの外に大きな木霊となって、古の回廊に響き渡る。
「…その、私……」
声の調子が変わった。明らかに少年のことを警戒している。
この居心地の悪さは何だろう。下心もなかったのに、まるで人攫いのごとく怯えられて。言葉巧みに唆し、人気のない場所へ連れ出したような。勝手に誤解したのは少女のほうなのに。男という生き物は、つくづく損な役回りだと思う。
歩いてきた方角に向きを変える。
配給の時刻だ。一日二回、朝と晩に食糧が与えられる。そのときを逃せば、次の機会まで食べるものはない。神から授かった恵みは、その都度残さず消費される。千年以上に渡って一度も途絶えたことがないからだ。
ここで戻ったら、『あれ』のところへは行けない。また来ようにも帰りが遅いと怪しまれる。食事を諦められるほど枯れてもいなかった。
「送っていくよ。ここからだと一人で帰るのは危ないから」
気持ちを抑え、なるべく優しい声で語りかける。
疲れてしまった。食べて用を足したら、今日はすぐに寝よう。眠剤を分けてもらうといいかもしれない。『あれ』を見られないのと人違いされたこと――どちらがより残念だったのかは、自分でもよく分からなかったが。
「ついて来て。僕の後ろを離れないように」
少女は無言だった。
悪いことをしたと思っているのかもしれない。何か言いたそうだったが、結局黙ってついてきた。下手に謝られるより、そのほうがましだった。
上に戻るまで、二人は口を利かなかった。
☆★☆★☆★☆★☆
光が降り注ぐ。闇を切り裂き、欠けた石床を柱のように貫いて。
そこだけ微かに色彩を帯びる。他では見当たらない、この場所にのみ与えられた外界の切れ端。白、黒、蒼と呼ぶらしいことは後で知った。煤けているとの言い回しは、祈りの時間にそれとなく教誨師から聞いている。
少年は、いつもの場所に来ていた。
『あれ』を見に来たのである。常闇の地下世界において、唯一天の光が届く場所。柱を見上げれば、外の世界が覗いている。皓々と照らす月影は、少年の髪と膚の色が全体的に薄めであることを教えてくれた。
何をするでもない。ただ光の前で座っている。柱の中には入らなかった。害はなくとも目立つのは確か。魔物にせよ人間にせよ、見つかって愉快になるとは思えない。
ぼんやり溜息をつく。
七四九一二番と話したのは、九日前のことだった。
それから音沙汰はない。単なる人違いだったのだから、当然と言えば当然だ。
また退屈な日々が続いている。決められたものを食べ、排泄し、眠りに就く。変わったことは……ひとつだけあった。三日前、少年は十五歳になっていた。
(このまま、ここにいられたら……)
願いを無視するように、少年の腹がくぅと鳴った。
配給の時間である。面倒でも行かなければならない。腹が減ると眠れないし、また点呼の意味も兼ねていた。上から睨まれ、この場所に来られなくなるのは困る。
重い腰を上げ、来た道を戻ってゆく。瓦礫を踏み越え、四つ這いになって進む。
こうしていると自分が虫になったような気がしてくる。故なく生まれて故なく死ぬ、何の意味もない存在。汚れた地底を這い回る、惨めで矮小な生き物。
自分は人間だ。当たり前のことを強く思わずにはいられない。
神に選ばれたとか、昔話はいい。大切なのは今。自分達が何をしているかだ。
来る日も来る日も狭い部屋に押し込められ、得体の知れない道具を被り奇妙な夢を視ている。教誨師の言葉を借りれば、失われた神の故郷を捜す尊い仕事だという。
もしも見つけたら、神界への転生が認められる。魔物の恐怖などない、夢と希望に満ち溢れた世界へ。神々の末席に加えられ、共に輝かしい未来を築き上げてゆく。
本当だろうか。少年は信じられなくなっていた。
考えてみれば分かることだ。厄災から四百年が経つというのに、未だ神は混沌の魔物を駆逐しきれずにいる。目先の暮らしが保障されているから従っているに過ぎない。
頼りない神。気の遠くなるような使命。彼方に吊り下げられた大きすぎる餌。助かるようで助からず、滅ぶようで滅びない。中途半端で捉えどころのない話ばかり。
疑問に思う大人もいたらしい。昼間に出かけた者達は、結局誰も戻らなかった。少年が次の一歩を踏み出せずにいる理由である。
階段まで戻ると、人の気配があった。
激しく息を切らせている。様子を伺っていると、相手のほうから話しかけてきた。
「…三二八五一番?」
今度は人違いではなかった。しかし、明らかに様子がおかしい。
そうだと答えるより早く、少女がしがみついてきた。
泣いているらしい。何度か背中を叩いてやると、ようやく少し落ち着いた。短く謝罪の言葉を口にする。
何があったのか訊ねた。その答えは思いもよらないものだった。
「星を見つけたの。もしかしたら私達は捨てられるかもしれない」
すぐには理解できなかった。
頭の中まで浸み渡ると、顔から一気に血の気が引いた。
「…何だって?」
「聞いたのよ。教誨師達が争うのを」
結論から言うと、それは捜していた星ではなかった。しかし豊かな土地であることに変わりはない。
神に伺いを立てるべきか。それとも自らの判断で動くべきか。
議論は紛糾した。結局何も決まらず、教誨師達の間に険悪な空気が漂った。少女の目には愚かな行為と映ったのである。
だが今更報告したところで遅い。既に無様な争いを演じてしまっていたから。神に対する裏切りと取られても仕方がない。
七四九一二番は怯えていた。神は常に自分達を見張っている。
見守られているとは言わなかった。彼女も同じように感じていたのだろう。
しかし少年は、逆ではないかと考えはじめていた。
神は人間を見ていない。少なくとも不眠不休で監視したり、個々人の心の中まで見透かせるわけではない。未だ罰せられないゆえ、図らずも嘘なのだと分かった。ならば秘密を作ることも、出し抜くこともできるのではないか。
「秘密にしたい人達は、それで何をするつもりだろう?」
「分からない。でも隠すように言っているのは、二番と七番の声だった……」
細い肩を震わせ、両腕で自分を抱き締める。
声を判別する能力は、前に人違いされた時点で信じていない。小さな音を捉える耳のよさは大したものだと思っていたが。
最年長の四番が仲裁し、とりあえず今は落ち着いているという。そろそろ配給の時間だから、飯でも食べて頭を冷やそうと。教誨師は全部で十二人いる。一般の捜索班と違い、仲間のうち誰かが死ぬと後継の教誨師が番号を引き継ぐ仕組みだった。
「君は、どうしてそれを……?」
「私が見つけたの。二番の意見が通ったら、口封じのため殺されるかもしれない。それで何とか逃げだして……ねえ、私どうしたらいい?どうしたらいいと思う!?」
想像以上に切迫していた。少年は必死で頭を働かせる。
神を欺いてでも何かを成し遂げようという連中。それは命を賭ける行為だから、他人の命くらい平気で奪うかもしれない。議論が過熱してなお決着がつかないとなれば、それは充分あり得ることだ。
逆もまた然り。自分が殺されるとなれば、他の教誨師達も二番と七番を狙うだろう。十二人の教誨師達は、全員が高位の奇跡を扱う優れた真言法師だ。その争いに巻き込まれて無事に済むとは思えない。
答えはひとつだった。
自分が少女を護る。何を捨てても絶対に彼女だけは。
「……いたぞ!あっちだ!」
そのとき、男の声が聞こえた。
大人のものである。何度か聞いたことがあった。あれは教誨師十一番の声。
どちら側か分からない。いずれにしても捕まれば殺される。そう感じさせる程に十一番の声は荒れていた。いつも温厚そうな彼の、こんな声を聞くことになるとは……
「どうせ行き止まりだ。慌てることはない」
また別の声。高を括ってくれたのが、三二八五一番と七四九一二番にとってはこの上ない幸運だった。
「こっち。急いで!」
少女の手を取り駆ける。ここから先は一本道だ。闇雲に進んでも迷うことはない。追跡者達が気づく前に、できるだけ距離を取らなければ。
何度か躓き、一度は頭から突っ込んだ。それでも走るのをやめない。いつしか二人は、横に並んで走っていた。少女の右肩に腕を回し、転びそうになるのを支えてやる。
後ろから叫ぶ声が聞こえた。どうやら気づいたらしい。この瓦礫だらけの道が、明るい外の世界に繋がっていることを。
嫌な予感がして、右に大きく跳ねる。
七四九一二番のいたあたりで何かが爆発した。きっと怪我をしているだろう。確かめたら挫けてしまいそうなので、そのまま出口に向かって突き進む。
光の柱は、いつもと変わらずそこにあった。瓦礫と泥の急な斜面を一気に駆け上がる。
「行っけぇ――――――――――ッ!」
跳ねる。息が跳ねる。
畏れ。悦び。期待と不安。多くのものを抱えながら。
二人は飛び出した。まだ見ぬ古の世界へ。




