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ロストピースト  作者: 閃光 眩
3/21

天界の監視者

「まったく、あんな可愛い子が彼女とは…毎晩アツいねぇ…」

エルベが自分の手に灯した炎を見ながらそう言った。炎には、抱き合っているロレスとルシアの映像が映し出されている。

「そういうエルベは、四六時中アツいじゃないですか…」

そんなエルベを呆れた目で見ながら、ガモンは手にとった菓子を頬張った。

「ん、それもそうか」

エルベは笑ってその言葉を受け流し、炎を消した。

「しょうがないよ。毎日ムラムラして仕方ないんだからさ」

そして、開き直ってガモンに言い放った。

「私は毎日ムシャムシャしますけどね」

ガモンは開き直ったエルベの言葉を、軽くシャレで返した。

「ん…わたしは毎日ムニャムニャ…」

そんなやりとりに割って入って、布団の中から声が聞こえた。

「なんだネト、起きていたのか」

そう言ってエルベは布団の上にまたがった。

「ん…重い…」

すると、布団の中から顔だけが出てきた。体はスッポリと布団の中だ。

ここは悪魔のアジト。サマルドロスの側近である悪魔3人が暮らしている。この悪魔達は、人の三大欲求である〔食欲・性欲・睡眠欲〕を司る。食欲を司るガモンは、鼻が筋が通り、顔が整い、とても綺麗な顔立ちをした男性の悪魔である。毎日何かを食べないと死んでしまう。

性欲を司るエルベは、相手の心を射抜くような瞳を持ち、スッとした顔立ちをしている。毎日女と交わらなければ死んでしまうという。

最後に、睡眠欲を司るネトは、眠気からジト目に近い表情をした女性である。1日の間ほとんどを寝て過ごし、起きても必ず眠いと愚痴をいう。

「エルベ…どいて…」

ネトはモゾモゾと動いたが、エルベはどかなかった。

「もういっそのことネトと交わってもいいんだけどね」

エルベは悪戯っぽく言った。しかし、目には強い光が灯っていた。

「やめた方がいいですよ。ネトといえば、元々は天使で最強の名を持ち恐れられていたのはエルベも知っているはずです」

ガモンは鋭い眼差しをエルベへと向け、言い放った。

「そんなこと分かってるよ。僕も消されたくはないからね」

エルベは慌ててネトの上から降りた。

「ん…もうあんな風にはなれないもん…眠い…」

ネトはそう言い、5秒もたたないうちに寝息を立ててしまった。

「全く…怖いことを言うよ…ちょっとからかっただけなのに」

「でも、事実ですよ?それに、少し焦ってましたよね?」

ガモンがそういうと、エルベは少し動揺を見せながら反抗した。

「そ、そんなことをいうなら、ガモンも女を連れてきて欲しいけどね」

ガモンは興味ないといった感じで目をそらし、菓子を食べ始めた。諦めたエルベは肩をすくめ、新しい女を探すために、外へと出て行った。ネトは起きる気配もなく、スヤスヤと眠っていた。






「待ってました…会いたかったです…」

ルシアは、また小さな声でそう答えた。

ロレスは、いきなりのことで口もきけず、ただルシアを抱きしめることしかできなかった。

「とりあえず、家の中に入りましょう…さぁ、どうぞ…」

ルシアはロレスかな離れると、照れ笑いを浮かべながら扉を開けた。ロレスはすごすごとその中に入ると、玄関で立ち止まった。

「こっちです…!どうぞ」

ルシアは玄関の扉を閉めて靴を脱ぐと、ロレスを部屋まで案内した。部屋に入り、お互い向かい合う形で椅子に座ると、ルシアがまず口を開いた。

「えっと、改めて…ルシア・グライスです」

ルシアはそう言い、ぺこりと頭を下げた。

「ロ、ロレス・カークロー…だ、です」

ロレスは緊張しまくったせいで、タメ口でいいのか敬語でいいのかすら分からず、しどろもどろな挨拶となった。

「私、あなたの妻になることができて、光栄です」

ルシアはそう言い、また頭をぺこりと下げた。

「俺もだ。こんなに素晴らしい妻を選んでくれた、父に感謝しないとな」

ロレスは緊張もほぐれ、そう返した。やはり、カークロー家の血なのか、ロレスも父達と似て、緊張がほぐれるのが早い。

その後、2人は生い立ちや今後の計画、また他愛もない話などをし、外は夕日が家を真っ赤に照らしていた。

「あっ、もうこんな時間ですね。そろそろ夕飯の支度をしますね」

ルシアはそういい、席を立とうとした。

「俺も手伝う」

ロレスはルシアの手を取りそう言い、キッチンに向かった。

その後、2人は夕飯作りに取り掛かった。ロレスは宿屋で暮らしていたが、物心ついた頃からおばさんの手伝いをしていたため、料理はお手の物だ。しかし、ルシアには勝てなかった。ルシアはこの村に引っ越す前から家族の手伝いで料理はこなしていたうえ、一人暮らしでも料理に手は抜かなかったため、手際が良かった。料理を作る際にも、2人は楽しく話しながら行った。

そして、出来上がった夕飯を2人で食べる時も、2人の会話が止まることはなかった。

「あー食った食った。ルシアは料理が上手いな」

ロレスは満足そうに腹をさすりながらルシアに笑いかけた。

「いえ、私は昔からやってましたから。それより、私はロレス様の手際の良さに驚きました!王子様ってこう…勝手に料理が出てくるんじゃないですか?」

ルシアはふと問いかけた。その問いにロレスは苦笑しながら答えた。

「確かに、そういうイメージが濃いかもな。確かに、俺の父親は一切料理しないで下のモンに任せっぱなしだったな。ただ、それに母親が怒って、無理やり料理を教えてたな」

ルシアはそんな話に口ものを抑えて笑った。

と、話が一息ついたところで、家の窓の近くで大きな落下音が何個か聞こえた。ビックリして窓を開けると…




天使が5人、尻餅をついていた。

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