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【完結】クリムゾン・コート・クルセイド Vol.Ⅱ ”平和たる軍靴"  作者: アイセル
第五章 Face/Off

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対峙―⑧―

当作品の無断転載、AIを含めたあらゆる二次利用を禁止します!!

Do not reupload / use my writing for any purposes, including for AI!!

「龍之助!!」


 三条とエヴァンスという猛攻の嵐で荒れる中を突き抜けようとする一平を、ロックは制した。


「アイツが苦しんでんだよ、も(・)う(・)二(・)度(・)と(・)――!!」


「落ち着け!! 行ったところで"命熱波(アナーシュト・ベハ)"と"命導巧(ウェイル・ベオ)"が使えなかったら、犬死にだ!!」


 龍之助の眼には、"命熱波(アナーシュト・ベハ)"を止める力がある。


 その所為で"命導巧(ウェイル・ベオ)"が使えなくなった。


 その苦い経験を思い出したが、ロックは違和感を覚える。


――あれ、この感覚は……?


 ロックは翼剣型"命導巧(ウェイル・ベオ)":"ブラック・クイーン"の"籠状護拳(バスケットヒルト)"と柄から、半自動装填(セミオートマチック)式拳銃型の"命導巧(ウェイル・ベオ)":"イニュエンド"を取り出した。


 一平を避けて、ロックは地面に向けて二回引き金を引く。


 手の震動と共に、銃撃が地面を抉った。


「あれ……?」


 サキも違和感に気づいたようだ。


 二人の"命熱波(アナーシュト・ベハ)"の守護者である"ヴァージニア"と"ライラ"を、サキが召喚した。


「……使えるの?」


 サキが恐る恐る言うと、


「龍之助の眼の力が、あの"白(・)い(・)少(・)女(・)"に集中しているからだろうな」


 ブルースが、そう言って、白い少女と赤い少女の交互を見る。


 ロックもブルースの言葉を内で反芻して、考えた。


「ブルース、あの龍(・)之(・)助(・)の(・)右(・)眼(・)はなんだ?」


 ロックは訝しげに、ブルースに問う。


「"愛されし者の右目《ザ・アイ・オブ・ジ・ビラブド》"……"ウィッカー・マン"の熱(・)源(・)に干(・)渉(・)で(・)き(・)る(・)、移植型"命導巧(ウェイル・ベオ)"だ」


「干(・)渉(・)だ(・)と(・)!?」


 訝しむロックに、サキが、


「つまり、眼(・)に(・)見(・)え(・)て(・)触(・)れ(・)ら(・)れ(・)る(・)よ(・)う(・)になるってこと?」


 彼女の問いに、狐の毛皮を思わせる髪質の男が頷いた。


「……ブルース、一体どうなってんの!?」


 そう言ってきたのは、サミュエルだ。


 シャロンと共に、三条の攻撃が収まったのか、ロック達と合流を果たす。


「ブルース……リ(・)ュ(・)ウ(・)ノ(・)ス(・)ケ(・)と(・)か(・)い(・)う(・)一(・)介(・)の(・)日(・)本(・)人(・)の(・)十(・)代(・)の(・)高(・)校(・)生(・)が、何(・)で(・)あ(・)ん(・)な(・)代(・)物(・)を(・)持(・)っ(・)て(・)ん(・)の(・)!?」


 シャロンがブルースに詰め寄る。


「私たち"望楼(ヴェルヴェデーレ)"も、リュウノスケという少年が"あ(・)の(・)眼(・)"を持っているのは把握していた。けど、経路があ(・)ま(・)り(・)に(・)も(・)不(・)明(・)過(・)ぎ(・)て(・)、みんな首を傾げていた!! あ(・)ん(・)な(・)代(・)物(・)を人に渡せる奴って言ったら、厳(・)重(・)に(・)管(・)理(・)し(・)て(・)い(・)た(・)"ブ(・)ラ(・)イ(・)ト(・)ン(・)・(・)ロ(・)ッ(・)ク(・)社(・)"くらいしか思いつかない!!」


 シャロンの感情の激流をサミュエルが抑えつつ、


「そもそも、"命熱波(アナーシュト・ベハ)"そ(・)の(・)も(・)の(・)に干(・)渉(・)って、殺(・)せ(・)る(・)よ(・)う(・)に(・)す(・)る(・)としか聞こえないけど!? "命導巧(ウェイル・ベオ)"という"命熱波(アナーシュト・ベハ)"で唯一動く武器を使(・)え(・)な(・)く(・)す(・)る(・)の(・)は(・)"ブライトン・ロック社"の方針としては随分と矛(・)盾(・)し(・)て(・)な(・)い(・)?」


 サミュエルの眼が鋭い。


 その眼が捉えるブルースの心の奥どころか、命まで貫きかねない鋭さだった。


「……どっちにしても、龍(・)之(・)助(・)を(・)助(・)け(・)な(・)い(・)と(・)、分(・)か(・)ら(・)な(・)い(・)ってことで良いか?」


 ロックは"ブラック・クイーン"を構えながら、苦しむ龍之助を見据える。


「……やれやれ、横(・)取(・)り(・)は(・)許(・)さ(・)な(・)い(・)ということでしょうか?」


 三条の目線が、"白い少女"に向いていた。


 "白い少女"が"赤い少女"からの関心を無くすと、"花葬"とエヴァンスの前に降り立つ。


 "白い少女"と銀鏡色の両脚で立つエヴァンス。


 しかし、エヴァンスの眼が見開く。


戸惑うエヴァンスの身体から、少し前に吸い取った青白い光――ブルース曰く、"魂(・)"と(・)言(・)っ(・)た(・)も(・)の(・)――が、流れ出した。


「……やめて、私(・)か(・)ら(・)取(・)ら(・)な(・)い(・)で(・)!!」


 エヴァンスが肢体を悶えさせながら、跪く。


 苦しみに滲む銀鏡の足の女を見下ろす、"白い少女"。


 彼女の目に憐れみはない。

 

 しかし、感(・)情(・)と(・)い(・)っ(・)た(・)も(・)の(・)す(・)ら(・)も(・)持(・)ち(・)合(・)わ(・)せ(・)て(・)い(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。


『"レン"、何をしているの!?』


 "レン"という白い少女に叫ぶ、"赤い少女"。


 "赤い少女"が苦しむのと同時に、蹲る龍之助から青い陽炎が立ち上る。


「……ア、イ……」


『リュ……ウちゃ……ん!!』


 赤い少女――"アイ"――が龍之助の名を、悲痛な顔で絞り出す。


「そうか、"愛されし者の右眼《ジ・アイ・オブ・ジ・ビラブド》"に入(・)り(・)込(・)ん(・)で(・)い(・)る(・)力(・)、それが龍之助の"命熱波(アナーシュト・ベハ)"とせめぎ合っているのか!?」


 ブルースが苦しむ龍之助を見て、三条にも目を向ける。


「ブルース……それは、どういうことだ?」


 ロックは眉をひそめて、ブルースに問うと


「……"命熱波(アナーシュト・ベハ)"を干渉できるようにするには、やはり膨(・)大(・)な(・)熱力(エネルギー)が必要だ。今、龍之助には本来の"命熱波(アナーシュト・ベハ)"の他にも(・)う(・)一(・)つ(・)の(・)"命熱波(アナーシュト・ベハ)"が流れ込んでいる」


 ブルースの吐き捨てた言葉に、三条が嘆息した。


 サキの守護者と言える"ライラ"と"ヴァージニア"。


 "命熱波(アナーシュト・ベハ)"と言われるが、それが目(・)に(・)見(・)え(・)て(・)現れるというのは稀である。


 というよりは、自(・)ら(・)を(・)具(・)現(・)化(・)で(・)き(・)る(・)ほ(・)ど(・)の(・)熱力(エネルギー)まで持ち合わせているモノが、少ないというのが実情だ。


 それが、サキの場合は二体である。


 その上、一体一体の持つ"命熱波(アナーシュト・ベハ)"の"熱力(エネルギー)"の強さで、サキはカナダで命を落としかけたことがあった。


 "ブライトン・ロック社"と"ワールド・シェパード社"の共同プロジェクトで作られた、"命導巧(ウェイル・ベオ)":"フェイス"で、サキ自身でやっと使えるようになったのである。


「じゃあ、ブルース……二人の少女と、龍之助の"愛されし者の右眼《ジ・アイ・オブ・ジ・ビラブド》"の力は……?」


「"天之御中主神《アメノミナカヌシノカミ》"……またの名を、"へルター・スケルター"」


 ブルースの言葉に、ロックは耳を傾けていると、


――何だ、パセリ、セージにローズマリーとタイム?


 嗅覚が唐突に、香りを捉える。


 龍之助から漂う香りを辿ると、彼(・)の(・)後(・)ろ(・)に(・)大(・)き(・)な(・)人(・)影(・)が佇んでいた。

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© 2026 アイセル

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