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【完結】クリムゾン・コート・クルセイド Vol.Ⅱ ”平和たる軍靴"  作者: アイセル
第五章 Face/Off

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対峙―⑥―

当作品の無断転載、AIを含めたあらゆる二次利用を禁止します!!

Do not reupload / use my writing for any purposes, including for AI!!

 "政声隊"の青緑の人型――確か、"アンペア"と聞いた――の雷が、一平を襲った。


 一平は叫び声を上げると、雷鳴は不可視の結界に阻まれる。


「叫び声で"磁向防《スキーアフ・ヴェイクター》"を発生させる……普通!?」


 驚くサミュエルが、背中を預けてくる。


 一平と龍之助の戦いに、"政声隊"が流れ込んできた。


 龍之助の危機で頭が一杯だった一平は、彼らに阻まれる。


 対して、サミュエルの方にも目を向ければ、彼も同じく主(・)た(・)る(・)標(・)的(・)か(・)ら(・)離されていた。


 彼の相棒のシャロンが"滑輪板(スケートボード)"を滑走させながら、三条の攻撃を躱す。


 三条の召喚した巨大な両手の炎が、シャロンに向かって放たれた。


 "滑輪板(スケートボード)"を滑走させ、シャロンが避ける。


 シャロンを追う炎に彼(・)女(・)を(・)捕(・)え(・)よ(・)う(・)と(・)し(・)た(・)"政(・)声(・)隊(・)"が、その餌食になる。


 "政市会"が仲間を犠牲にする戦法を見せた矢先に、三条もそれを躊(・)躇(・)わ(・)な(・)い(・)。


 三条の攻撃の餌食になった者の肉体から、青白い光が上る。


 光が数条、山の方へ向かっていった。


「……取り敢えず、あの娘を倒せませんけど……ア(・)レ(・)に(・)送(・)れ(・)る(・)か(・)ら(・)、ヨシとしましょう」


 三条が一人で納得しながら、大きな手に指示を出す。


 掌で氷柱が作られ、シャロンの前方に放たれた。


 氷柱が衝突する寸前、彼女が"滑輪板(スケートボード)"を旋回。


 氷柱から逃れながら、シャロンが滑走するが、


「三条さ――!!」


「私たちも――」


"政声隊"メンバーの声が口々に途切れる。


 シャロンの代わりに、氷柱の餌食となったのだ。


「見境なしかよ、クソババア!!」


 シャロンが吐き捨てる。


 味方と敵の見境のない三条の攻撃に、一平の怒りの溶鉱炉も最高熱力(マックスヒート)まで燃え上がる。


「その怒り……今(・)は(・)抑(・)え(・)て(・)お(・)い(・)た(・)方(・)が(・)良(・)い(・)よ(・)?」


 サミュエルが、一平の右に立って言う。


 その声も、何処か熱気を帯びていた。


「アンタ、言ったろう……『龍(・)之(・)助(・)は(・)俺(・)に(・)任(・)せ(・)ろ(・)』的なの……なら、まずは、そいつに集中しろ!」


 どこか脂汗をにじませるサミュエルの言葉に、一平は冷水を浴びせられたように思った。


一平は、口から出かけた怒りを堪え、歯を食いしばる。


「……加えると、あの鉄(・)面(・)皮(・)女(・)……ムカつくけど、一(・)平(・)の(・)分(・)は(・)残(・)し(・)て(・)お(・)く(・)よ(・)?」


 サミュエルの笑顔に、一平は親指を上げて応える。


「黙って聞いてれば、あなた方は人をバ(・)バ(・)ア(・)や鉄(・)面(・)皮(・)呼ばわりですか?」


 感情の抑揚のない声で、三条が反応した。


「……実際、そうじゃん!! 猫(・)す(・)ら(・)も(・)逃(・)げ(・)る(・)ほ(・)ど(・)の(・)ク(・)レ(・)イ(・)ジ(・)ー(・)さ(・)じ(・)ゃ(・)ん(・)!!」


「ジ(・)ェ(・)ン(・)ダ(・)ー(・)的(・)に(・)問(・)題(・)あ(・)る(・)こ(・)と(・)は承知だけど、絶対に、ア(・)ン(・)タ(・)と(・)添(・)い(・)遂(・)げ(・)た(・)い(・)殿(・)方(・)……皆(・)無(・)だ(・)よ(・)ね(・)?」


 シャロンとサミュエルが口々に言うが、


「あら……そう思われているとは……しかし、一(・)つ(・)だ(・)け(・)訂(・)正(・)が(・)あ(・)り(・)ま(・)す(・)よ(・)?」


 三条が左手の甲を見せる。


 薬指の表面が、仄かに青い。


 大きな両手も、彼女に呼応して、


「私、これでも結(・)婚(・)し(・)て(・)い(・)ま(・)し(・)た(・)の(・)よ(・)?」


 三条の言葉に、一平は少し感情が宿った様に思った。


 間髪入れず、炎、氷と雷の三重奏がサミュエルとシャロンに放たれる。


「そ(・)う(・)い(・)う(・)と(・)こ(・)だ(・)よ(・)、クソババア(グラニー)!!」


 シャロンが叫びながら、大きく旋回。


 三条から離れる様に、攻撃を躱す。


 同時に、"政声隊"から離れる様にして、移動した。


 サミュエルがシャロンに合流を図ったと同時に、一平は"政声隊"の群れに向かう。


 気合を入れながら、両手の"ライオンハート"を構える。


 その中の黒シャツたち――"力人衆"――が、拳を一平に向ける。


 トルクの戦士たちの拳に、炎、氷と雷が覆われた。


「そういうシンプルなの、嫌いじゃないぜ!!」


 眼鏡を掛けた短髪の男が、炎に包まれた力いっぱい右の直拳撃(ストレート)を一平に打ち込む。


 一平は警戒に右に半身を引いた。


 左足を軸にして、大きく時計回り。


 炎に包まれた拳激を回転しながら躱(かわ)す。


 一平は、右の裏拳を男の後頭部に放った。


 つんのめりに短髪の男が一平の背後で倒れると、稲光を弾かせた拳を持つ坊主頭の男が迫る。


 男が、左右と拳撃(パンチ)を二発放つ。


 牽制用の軽拳撃(ジャブ)だろう。


 しかし、右拳を右耳の下に置く"悪い拳撃(テレフォン・パンチ)"とわかると、一平は牽制の二撃を難なく流す。


 一平は気合を入れながら、牽制を放って空いた禿頭の懐に飛び込んだ。


 禿頭から放たれた、電位差の槍。


 しかし、一平の前で消える。


一平の頭突きが、戸惑う禿頭の顎を砕いた。


――つうか、痛ぇけど、スキーア……なんとかで、どうにかなった!!


 サミュエルが触れた"命熱波(アナーシュト・ベハ)"由来の結界と言える何か。


 自分でも意識していなかったが、出せたようだ。


――確か……"爆衝烈拳《ドーン・ナ・セーイジェ》"とかいう攻撃で、接近戦や防御はどうにかしていたけど……割と、これも便利だな……。


 "ベネディクトゥス"からは、最低限の"命導巧(ウェイル・ベオ)"の使い方と、"命熱波(アナーシュト・ベハ)"については聞いていた。


"爆衝烈拳《ドーン・ナ・セーイジェ》"と"爆轟咆破《ルガ・アン・スプレガイ》"という技を聞いたのはその時である。


 しかし、戦略に至っては、手探りが多い。


 初めて戦った"命熱波(アナーシュト・ベハ)使い"は、槍と双剣のそれぞれを得物とする二人を――龍(・)之(・)助(・)も(・)そ(・)の(・)場(・)に(・)い(・)て(・)――どうにか退けた。


 最近の戦績で言うなら、少し前の上万作(あまんさく)学園の大乱闘とロックと一対一で戦ったくらいだろう。


 "命熱波(アナーシュト・ベハ)使い"の戦(・)い(・)方(・)についての知識はゼロと言ってもいい。


 しかし、そ(・)れ(・)で(・)は(・)足(・)り(・)な(・)い(・)。


――龍(・)之(・)助(・)ま(・)で(・)……ま(・)だ(・)ま(・)だ(・)遠(・)い(・)な(・)。


 黒シャツ集団の後ろにいる、眼鏡を掛けた矛槍型"命導巧(ウェイル・ベオ)"を構える親友――原田 龍之助。


 彼と拳を交える為に、少(・)し(・)近(・)づ(・)け(・)た(・)く(・)ら(・)い(・)だ(・)。


 氷の拳を構える黒シャツ男の二人が迫る。


 一人目が左の白い拳打で一平を狙った。


 一平が避けると、それを見計らったかのように、後ろから来た男の右の白い直拳撃(ストレート)が顔面を捉える。


 一平は左腕の"ライオンハート"を突き上げ、壁を作った。


 黒シャツ男の氷の右拳打を流し、一平はがら空きとなった男の胴に右腕の"ライオンハート"から"爆轟咆破《ルガ・アン・スプレガイ》"による炎の弾丸を撃つ。


 黒シャツ男の氷の拳を砕きながら、胴に受けた一撃で吹っ飛んだ。


 相方を倒された怒りからか、もう一人の氷の拳を持つ黒シャツが叫びながら、右側から一平に迫る。


 しかし、黒シャツ男が歩みを止めた。


 いや、止(・)め(・)ざ(・)る(・)を(・)得(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。


 星屑の様に煌く何かに男の視界が奪われる。


 それは、一平が、先(・)ほ(・)ど(・)倒(・)し(・)た(・)男(・)が(・)装(・)備(・)し(・)て(・)い(・)た(・)氷(・)の(・)拳(・)の(・)破(・)片(・)だった。


 一平は、氷の冷たさ、溶けた水で視界を遮られた男の腹に左を入れる。


 間髪入れずに右鉤拳打(フック)で男の左頬から顎を刈り取った。


 意識を失った黒シャツ男を盾に、トルクを纏い炎、氷に雷で武装した""力人衆"へ突っ込む。


 黒シャツ男の背に、"命熱波(アナーシュト・ベハ)"による結界を張っているため、"人型"の攻撃は受け付けない。


 一平の突進で、黒シャツの群れを突っ切ろうとした。


 その時、雷(・)鳴(・)が(・)地(・)表(・)か(・)ら(・)湧(・)い(・)て(・)出(・)た(・)。

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© 2026 アイセル

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