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【完結】クリムゾン・コート・クルセイド Vol.Ⅱ ”平和たる軍靴"  作者: アイセル
第五章 Face/Off

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対峙―③―

当作品の無断転載、AIを含めたあらゆる二次利用を禁止します!!

Do not reupload / use my writing for any purposes, including for AI!!

『……三条、し(・)ば(・)ら(・)く(・)の(・)間(・)、例(・)の(・)"試(・)運(・)転(・)"に入る、時間を稼げ』


 "花鎧の戦士"が、ロックの"ブラック・クイーン"の斬撃を受けながら、三条に語りかける。


 後ろの三条が、感情的なものを振り払う様に鼻を鳴らし、


「……わかりました」


 三条の召喚した大きな左手の甲でサミュエルの攻撃を受け、右掌でシャロンの"滑輪板(スケートボード)"による突撃を防いだ。


 "磁向防《スキーアフ・ヴェイクター》"が三条に向かうサミュエルとシャロンを遮る。


サミュエルとシャロンが斥力に飛ばされた。


息を整えながら、三条と向かい合うと、


「兄さん、まずい……このままだと」


 サミュエルに指摘されて、ロックは気づいた。


 催涙弾の煙幕が薄れ始めている。


 "政市会"と"政声隊"に加わっていた民間人は逃げていたが、そ(・)れ(・)以(・)外(・)が(・)問(・)題(・)だ(・)。


「……"コーリング・フロム・ヘヴン"の炎と雷が、襲い掛かってくるな」


「……ついでに言うと、"政市会"もね……両腕の"スウィート・サクリファイス"は、"コーリング・フロム・ヘヴン"ほどじゃないけど、あ(・)ち(・)ら(・)も(・)数(・)の(・)力(・)は(・)劣(・)っ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)」


 龍之助を説得する。


それが、ロックとサキに課せられた仕事のはずだった。


しかし、いつの間にか両政治団体の戦いに巻き込まれている。


――肝心の一平は……!?


 龍之助に向け、一平がひたすら追撃していた。


 間合いを取り"爆轟咆破《ルガ・アン・スプレガイ》"の炎の榴弾で、龍之助を攻撃。


 龍之助が"セオリー・オブ・ア・デッドマン"の水の矛槍を振り回し、一平の攻撃をかき消していく。


 しかし、そんな一平に、"政声隊"の一人が"コーリング・フロム・ヘヴン"の人型を向けた。


 身体の幅が広く、黒縁眼鏡の大男が嗾(けしか)ける青緑の"アンペア"。


 攻撃の速さで知られている。


 一平に目を向けていると、


『余所見とは……余裕だな?』


 "花鎧の戦士"の突き出す日本刀型"命導巧(ウェイル・ベオ)":"モーニング・グローリー"の切っ先がロックの喉でちらつく。


 刃には、ロックが歯がゆくしている顔が浮かんだ。


 しかし、青緑の人型から雷撃は放たれない。


 薄紫のバラクラバと同色のシャツを纏った女性――"薄紫色の牙《ヴァイオレット・ファング》"の放った金的蹴りが、幅が広く、巨大なブロック塊の印象を与える大男の動きを封じる。


 野太い男の声が甲高い悲鳴を上げる。


 間髪入れず"薄紫色の牙《ヴァイオレット・ファング》"が右足を移動。


 大男の左太腿に、右回し蹴りを放った。


 痛みに堪える大男が、絹を裂いたような怒号を放ち、"薄紫色の牙《ヴァイオレット・ファング》"に覆いかぶさる。


 しかし、薄紫色の牙《ヴァイオレット・ファング》の動きの方が速い。


 左太腿への右回し蹴りをすかさず、左脇腹に放つ。


 脂肪と筋肉が蹴りへの衝撃で揺らしながら、大男が泡を吹いた。


「カンタ!!」


 歯をヤニで染めた痩せた女が叫ぶと、"薄紫色の牙《ヴァイオレット・ファング》"が軽やかに下がった。


 移動しつつ、"薄紫色の牙《ヴァイオレット・ファング》"が右後ろ回し蹴りをカンタと言う大男の土手っ腹(どてっぱら)に叩き込む。


 吹っ飛んだカンタの背に潰れるヤニ歯の女が、脂肪太りの眼鏡女も掴んだ。


 カンタ、ヤニ歯と脂肪太りの三人が絡み合いながら、仲良く倒れる。


 二人が目に怒りの色を灯し、薄紫色の牙《ヴァイオレット・ファング》を睨んだ。


 しかし、薄紫色の牙《ヴァイオレット・ファング》の抱えていた携帯型騎兵銃(アサルトカービン)の下に備え付けられた榴弾発射機(グレネードランチャー)から放たれた飛翔体が悪意に応える。


 放たれたのは、暴徒鎮圧用のゴム弾が二つ。


 ヤニ歯の女と脂肪太りの女の額に当たると、二人は勢いよくぶっ飛ぶ。


 トルクを纏った黒いシャツと参加者を二人の体重で道連れにした。


 ロックは安堵したが、目の前の光景に衝撃を覚える。

 

 "花鎧"に覆われた"花葬"と言う男。


 "薄紫色の牙《ヴァイオレット・ファング》"に向け、男の眼が一瞬揺らいだ。


「余(・)所(・)見(・)とは余裕だな?」


 ロックは言い返して、獰猛な笑みを浮かべる。


 "駆け抜ける疾風(ギェーム・ルー)"の神速で、ロックは"花葬"に全体重を掛けた。


 神速に身体を浮かせる、"花鎧"の男。


 ロックは"花葬"を盾に、"政声隊"のトルク集団を跳ね飛ばしていく。


 鋼鉄の男のバリケード越しの突進で、男女問わずトルク集団が"コーリング・フロム・ヘヴン"を出す隙も与えない。


 ロックは"政声隊"の群れを抜け、コンクリートで作られた花壇の植え込みを"花葬"で破壊。


 市の花であるマンサクの枝を爆散させながらさらに加速させる。


 市役所職員の車のボンネットに、"花鎧"の戦士を叩きつけて止めた。


 衝撃で車体が凹み、フロントガラスが散乱。


 爆炎と粉塵を受けて輝く。


 "ブラック・クイーン"の刃を引っ込めるロックは、左手で"花葬"を凹んだボンネットに押さえつけた。


 花葬へ"超微細機械(ナノマシン)":"リア・ファイル"で強化した右鉤拳撃(フック)を見舞う。


 一撃が入り、機械と金属の破裂する音が、"疑似物理現象"の織り成す爆音に混じった。

 

しかし、ロックは乱打を止めない。


 四打撃目が入りかけ、


『調子に乗るな!!』


 "花葬"の怒号と共に放たれた右足が、ロックの腹に入る。


 ロックは腹に力を入れ、"磁向防《スキーアフ・ヴェイクター》"で防ぐ。


 しかし、衝撃による痛みに頭がふらついた。


 "花葬"が、"モーニング・グローリー"を順手に構え、右袈裟切りをよろけるロックに放つ。


 意識を取り戻し、ロックは柄だけとなった"ブラック・クイーン"の"籠状護拳(バスケットヒルト)"で防ぐ。


 ロックは右手の"籠状護拳(バスケットヒルト)"で流しながら、"花葬"の右わき腹に向け、左回し蹴りを放った。


 命中した衝撃が伝わると、ロックの左足が"花葬"の右腕に包まれる。


 銀鏡色の"花鎧"からの左突きが、ロックに牙を剥いた。

 

 ロックは、"花葬"の攻撃で緩んだ右腕の拘束を跳躍で解く。


 左拳撃(パンチ)を躱し、跳躍した反動越しの右回し蹴りを、ロックは"花鎧"に繰り出した。


 両足の靴に鉄板を仕込んで威力は増すが、その分反動が強い。


 "金属製"の鎧なら猶更だった。


 ロックは地面に落ちる前に、左足でバランスを取る。


 辛うじて立つと、鉄入りの靴を食らった衝撃に足元がふらつく"花葬"が目の前にいた。


「……やっとら(・)し(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)な(・)、"花葬"?」


 "花鎧"は銀鏡色。


 泥にまみれ、ひび割れから鋭い眼光が見える。


 銀鏡の兜が、ロックの余裕の笑みに彩られていた。

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© 2026 アイセル

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