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夢追い非凡の異世界改造記  作者: 七草八千代
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魔法使い


 「魔法使いわね、エイリアス。魔素を使用する技術である以上、魔素の性質によって使用者が著しく少ないわ。当然よね、精神に対して負荷を掛け精神崩壊すら引き起こしかねない性質を持つ物質なんて、危険すぎて扱いに困るわ。……現代においては数人……それも魔法技術のみを一定水準以上で使用する完全な魔法使いは、私の知る限りいないわ。四大神話の中において最古の神話『界域事象(かいいきじしょう)』」


 「……界域事象?」


 (神話と言うからてっきり、何々大戦とか何々戦役とかいうのかと思ったら事象とは……珍しいな)


 「事象? 神話は何々対戦っていうんと違うん、お姉さま?」


 「ふふふふふ、そうね、今のは正式な呼び方よ。一般的には、古龍大戦とか統合魔導大戦や星界下(せいかいか)戦役と呼ばれているわ。四大神話は、古い順に『古龍大戦』『天災禍脈動(てんさいかみゃくどう)記』『赤階(せきかい)魔導王戦列記』『天地開闢(てんちかいびゃく)』一万年前、七千年前、四千年前、五百年前に作られているわ。これらは神話と言われているけれど、基本的に現実に起こった戦いをもとに語られているだけよ。つまり事実をもとに脚色された物語という事ね。とは言え古すぎる神話は客観的事実に掛けるから、あくまで物語として聞きなさい。その中で最古の神話、『界域事象』神話の中にのみ魔法使いは登場するわ。でも数は、たったの七人。その中でも純粋な魔法使いと言えるのは一人。ただ、全員が魔力を使用する技術である魔術も使用しているわ。使用率は大体、魔法三割、魔術七割と言ったところね。でも、たった三割でも魔素を使用する技術である以上、魔素の性質により既存の物理・魔力の作用によっての引き起こされる現象に対して、魔素を含まない限り一方的な干渉を行える強力な技術よ。それに、自らの理解と創造、認識の及ぶ範囲の世界に干渉し思うが(まま)に改変する技術……それが魔法よ。」


 (……一万年前……それに、やっぱり魔術があった……魔力を使用をする技術が魔術……んっ? 魔素が魔力元素? それとも魔力が魔力元素? まぁ、……取り敢えず……魔力! 魔力! 魔術! 魔術!)


 「魔術? ………魔術!! 魔力! 魔力! 魔術! 魔術! ま~じゅう~つぅう~……魔術っ!!」


 「はいはい、分かったから動かないの。紅茶がこぼれるでしょ」


 勢いよく振り返ったエイリアスの頭上へと、紅茶の入ったカップを避難させながら抱え直し拘束して、はしゃぐエイリアスの動きを封じた。


 「さぁ、エイリアス、話に戻るわよ。」


 「んっ!! 魔術より魔法使い~……んっ? ……魔素を使う人を魔法使い……魔力を使う人は魔術使い?」


 「その事については、後で説明するから、取り敢えず今は……」


 「魔法使い! 魔法使い! 魔法使い! 魔~法ぅ~使ぃ~!!」


 「はいはい、そうよ、魔法使いよ。えっと、何処まで……ああ、そうよ……もうっ! この子は…… いい、エイリアス? 魔法使いは、魔素を使用する技術・魔法以外にも、魔力を使用する技術・魔術も使えるわ。と言うよりも……ここは後で説明するわね。取り敢えず魔法は魔素を使用する技術である以上、魔素の性質によって、純粋な物理と魔力に対する優位性を持ち、その上に使用者の想像可能な現象を、術式も触媒も必要なく構築できるわ。ただ、唯一必要な要素があるわエイリアス何か分かるから?」


 「……わかること?」


 「……分かる事?」


 「んっ、剣術の修練で木刀を振うのも、木刀を構えて、振り上げて、振り下すんよ。でも、一生懸命考えたら、手と腕と肩と背中と腰……あっ!! あと、太腿と膝とふくらはぎと、足首、つま先、足の指も動いているんよぉ。簡単な動きでも一生懸命考えたら……複雑? 複雑な動きも一生懸命考えたら……考えたら……簡単?」


 (……この子は……本当に賢いわね。いずれ本格的に教える武術の基礎として素振りの触りを教えただけなのに……物事における単純性と複雑性の理解しているなんて……。天才……そう呼ばれるのは嫌だったけれど、そう呼ばれた私が……これじゃあ、ただの人ね。でもよかったわ。天懍を持たず、普通の人としても生まれて来れなかったこの子に、こんな才能があって……)


 嬉しげに話すエイリアスを抱きかかえる力が少し強くなり、エイリアスは『きゃっ、きゃっ』っと楽しげに手足をバタバタとバタつかせると、エイリアシアを見上げた。


 「お姉さま!! エイリアスはぁエイリアスぁお姉様の事が大好きなんよ!! お母さまの事も、お父様も、大お姉様も、お兄様も、エイレンシアお姉様も、ティルミナも、み~んな大好きなんよ!! 愛しているんよ!! ……でもお姉さまと皆を愛している理由は分からないんよ? ……でも愛しているんよ。一生懸命考えても考えても分からないんよ……お姉さま達がエイリアスを愛してくれているから、エイリアスはお姉様たちの事を愛しているん? それともエイリアスがお姉さまたちの事を愛しているから、お姉様たちがエイリアスの事を愛してくれるん? エイリアスにはわからないんよ……で~も、こうして『ぎゅぅぅぅ』っとしてくれるとぉエイリアスは温かい気持ちになって、お姉さまにもにも『ぎゅうぅぅ』ってしたくなるんよぉ~『ぎゅぅぅぅ』」


 そう言葉の最後に擬音を口に出して言うと、エイリアスは身をよじりエイリアシアに抱き着いた。


 「!!」


 (!! あっ、こらっ、止めるんだ! と言うより勝手に喋るんじゃない、気持ちが引っ張られて疲れる)


 (!! もうっ、この子は~~)


 エイリアシアは、エイリアスを振り回す様に抱きしめる。


 「……さぁ、エイリアス。お話の続きよ。エイリアスあなたの魔法に関する考え方は正解よ。魔法の使用には理解力が必須要素。つまり、物事に対する理解力や自らが行使する魔法によって発生する現象に対する理解が必要という事ね。例えば……そうね、水を出現させようと思えば、出現させる水の構成をあらかじめ理解しておく必要があるわ。構成と言うのわねエイリアス、簡単に言うと中身の事よ。お味噌汁なら、みそとお豆腐、ネギ、玉ねぎ、にんじん……」


 「……!! にんじんは嫌なんよ!!」


 (違う……今はそんな事じゃないんだ……お味噌汁の中身まで……あぁ、まずい……駄目だ眠い……)


 「……はいはい、今夜の夕食は安心なさい。それよりもお味噌汁なら以上が構成で中身という事になるわ。水なら簡単に言うと、水素原子二つと酸素原子一つ、この二つから成り立っているわ。あくまで簡単に言えばよ」


 (……水の分子構造を知っている!? ……思っている以上に、この世界の文明は進んで……んっ? どうして私は、ここまで言葉を理解して……あぁぁ、見えた……事典か……教育に問題がある気が……)


 古い記憶を思い出す様に雪綱が思い悩んでいると、雪綱の()()()にエイリアスが自己を認識すると、覚えている限りの記憶が流れ込んでくる。


 (……この記憶は……父と母は私に武術のさわりを教えようとしているが……なんだこっちの記憶は……事典の中の文字の意味について姉に質問し続けた記憶か……「事典は武器になるわよ」って……説明するのが面倒になったな……ああ、これは……確かに面倒くさいな……質問ばっかりだな……だが、私は()()()()()()……手近な修練用の木刀が無いからって、自分の杖をそれも金属製の杖を私に渡して来た事を。その杖を幼い私が持ち上げきれずに自らの足に落として、泣き出した私の気を逸らすために事典を渡したことを……)


 雪綱は、始めは自分の知らない記憶が情報の濁流として流れ込んでくることに、異質さと恐怖を覚えるもすぐに慣れ、まるで始めから自分の記憶であるかの様に感じ、すぐにエイリアスの記憶に対して、雪綱は違和感を感じ無くなり自然と受け入れてしまっていた。まるで、コンピューター同士を同期する様に……そして雪綱自身、その事に気が付いていない。


 「んっ!! わかったんよ。魔法を使うには発生する現象の理解と魔素が必要……お姉さま? 魔法使いになるにはどうすればいいん?」


 「そうね……私も確定的な事は分から無いわ」


 (……子供にこんな説明で分かるわけがない。幼い私も分からない部分は無視しているな……)


 「お姉さまでも?」


 「ええ、分からないわ、残念ながら……でも、だからこそ研究しているのよ」


 「ふふふふふ、エイリアスもお姉様の研究をお手伝いするんよぉ~」


 「ふふふふふ、ありがとう。エイリアス。でも、それには一生懸命お勉強しないといけないわね。(ただ)でさえ、魔素に関する研究を行う人は少ないはずよ。私の知る限り少なくとも人類種国家において、ここ千年魔素に関する研究は進んではいないわ。エリュエンティアですら……」


 「……エリュエンティア?」


 「そうよ。エリュエンティアよ。学術都市とも魔導都市とも言われる独立都市国家エリュエンティア。いずれあなたもお勉強するために行く都市よ」


 (エリュエンティア……か。独立都市国家と言う以上この国には無いのか? なら、寮生活なのか? 流石に小学生で寮生活は無いか……う~ん、この世界の教育水準が分からない以上、色々な判断が付かないな……)


 「いい、エイリアス? 魔法はある種の職人性を有しているわ。基本的にどんな分野でも職人性と汎用性を内包していて、その二つの割合によって技術は成り立つわ。ただ魔法は職人性の割合が非常に高いわ。簡単に言うと……そう……」


 姉曰く、魔法を使用するには魔素と発生させる現象に対する理解が必要らしく、魔法の習得には職人性……例えば、人形造形師なら基本的な事は、人や本、、動画、映像投影によるサポートなどで学べ、誰でも平均的な造形のフィギュアは作れるが、それ以上となると個人の技術力、創造性、発想の転換と言った個々人の才能に大きく依存する。

 ポーズの取り方や着せる服、服に付ける装飾、髪、色、艶、表情そして人形の質感つまり素材選びと言ったフィギュアには無くてはならない必須要素は自分で見つけなけらればならないという事だ。


 「だからこそ魔法使いは少ないのよ。そして使用する人が少ないと技術は受け継がれにくくなるわ。例え、どれほど強力な技術でも使う人がいないと消えていくものよ。そして、いくら強力な技術であっても、結局のところ個人技術である以上は、広い意味での応用性は無いわ。だから、誰でも使用可能な安定的な技術が求められ広がるのよ、エイリアス、覚えておきなさい。誰でも使用可能な魔力運用技術を……」


 エイリアシアは少し言葉を溜め、エイリアスの雪綱の注目を集め……


 「『魔術』そう言うわ。エイリアス」


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