3話「最弱。されど最強。」
俺は翌日学園に学園に通っていた。
俺は学園など微塵も興味がなかったため行く気になれなかったのだが、どうやら学生という身分でありながら、この世界でも五本指に入る奴らがいると聞いたため行くことにした。
そして、どうやらこの体の持ち主は最低ランククラスの「Fクラス」にいるようだった。
流石は無能王子と言われるだけあるな…
とそんな事を思っているとーーー。
「お兄様ー!」
おい。いつも来るな、こいつは…
「ん?今から学校に行こうとしたんだが?」
「何を言ってるんですか。いつも一緒に行っているでしょう?」
「あぁ、そうだったな…」
そういえば聞きたいことがあったので聞いてみることにした。
「そういえばお前ってどこのクラスだったけ?」
「え?どうしたんです?昨日から色々忘れてませんか?」
「い、いや…能力を覚醒させたことによる反動でちょっと色々抜けてるみたいだ」
我ながらよくこんな息を吐くように嘘を言えたものだ…
「そうだったのですね…」
「わ、私のことも忘れてたり…」
不安そうにこちらを見つめてくる。
流石に全部忘れたと言ったら本当にめんどくさいことになりそうなので…
「あぁ覚えてるさ。でもちょっと抜けてる部分はあるがな」
「そ、それなら良かったです」
ちょろいな…こいつ…
「あ、私のクラスでしたっけ?私はSクラスですよ」
「Sランク…」
Sクラス…いわゆる最高ランクのクラスか。
この感じで強いのは驚きだが何より驚いたのが、なんで同じ兄弟でありながらこいつは無能力だったんだ?実は兄弟じゃない?
いや、それはないか…
「あ、お兄様は能力を開花させたので来週の試験に合格すればEクラスに上がれますよ!」
「試験?」
「はい!確か来週…6日後ですね」
「そうなのか…」
いや、そんな長いのか…できればもっと早くからやりたかったんだが。
まあ仕方ないか。
とそんな事を思っているとーーー。
「大丈夫です!お兄様はネイルにも勝ったんですし、なんならAクラスにもいけるかもですよ?!」
「そうだ、ネイルってやつはどこのクラスなんだ?」
「あの人はSクラスですけど、ギリギリだったみたいでお兄様に負けてAクラスに落ちたみたいですよ」
「ん?でも学園内でも五本指に入るかも…と」
「いや、あれは単なる過大評価だったみたいです。自分よりも弱いものを狙い、自分を強く魅せていただけだとか」
「そうか…」
それを聞いた瞬間胸が躍った。
というよりも安堵した。あんなのがこの学園の五本指だったら心の底から失望をしたが、本当に良かった。これで少しは楽しめそうだ。
「と言ってもかなり能力自体な強力だったみたいですよ」
「なるほど...能力は凄まじいものがあったがそれを使いこなせていなかったか」
「そうゆうことですね〜」
「あ、お前の能力はどんなものなんだ?」
「私はですね〜、これです」
そういうと俺の体は何か操られているような感覚に堕ちて、左や右に体が向いた。
「これがお前の力か...」
「そうです。人を操れる...絶対遵守と言ってもいいかもしれませんね」
絶対遵守の力…かなり強力と言えるかもしれない。
「というか、そんなにペラペラと言って良いものなのか?」
能力が割れて良いことなど、ほとんどない。なんならデメリットしかない気がしたのでそう質問したのだが
「良いんですよ、能力の詳細がバレていてもそう簡単に対処できるものですし、それにお兄様を信用して答えたのですよ」
「信用…?」
「はい!お兄様はそう簡単に口を滑らせないでしょう?」
「まあ、そうだな」
っと言っても人を簡単にそう信用するものではない。
まあ言うつもりは毛頭ないが…
「お兄様の能力はどんなものなんですか?」
考えていると急にそんな事を尋ねてきた。
「俺の能力…?」
「そうですよ。私に答えさせてお兄様は答えないはなしですよ?」
困ったことになったな。
正直に言えば俺は自分の力の正体を言いたくない。
だがここで答えないのは筋が通ってない…
その結果俺が辿り着いたのは
「まだ…分からないんだ…」
めちゃくちゃ嘘をついた。
「分からない…ですか?」
「そうだ。確かに能力には目覚めたがその力の正体が分からないんだ」
「なるほど、じゃあこれからその能力の正体を掴んでいきましょうね!」
「お、おう」
やっぱちょろいなこいつ。
いつか悪い大人に騙されそうだ。
そんな事を考えているとーーー。
「おい、あれがイカサマで勝った無能王子か?」
「無能王子がネイル様に勝ったって本当か?」
…と学園内で噂になっていた。
いや、だからどうやってイカサマ使うんだよ。
「陰でヒソヒソと…私ちょっと言ってきます」
「おい、ちょっと待て。やめておけ」
「なんでですか?!」
「確かに無能王子という名は納得いかないが学園内であまり問題を起こすようなものではない。こんなくだらない事なら尚更な」
「で、でも…」
「まあ無能王子の汚名は後々払拭していくさ」
「さすがお兄様!!」
…とムカつきはするが俺より弱い奴らに構えるほど暇じゃないので、無視することにした。
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教室に着くと、これもまたザワザワとした空気になっていた。
あんな雑魚を倒したくらいでこんなにもなるものなのだろうか?
「貴方すごいじゃん!」
「ん?」
机に座っているといきなりそんな事を言われた。
誰だこれ?
「えーと、すまん。能力を覚醒させたせいで記憶が少し曖昧になっているんだ」
「えーー、そうなの?それはまた不便な事だね〜」
「すまないな」
「いや、いいよ〜。私はミーヤ・マスカーレッド。貴方と同じFランククラスでお友達だよ〜」
「ミーヤか。能力とかはあるのか?」
「いやそれがね、ないんですよ〜」
こいつなんかマイペースだな。
それにしても能力はない…ということはこのFクラスは全員能力を持たないということなのだろうか?
「アイル君、それにしても能力覚醒できたんだね!」
「あ、ああ」
「あ〜ついにアイル君に抜かれちゃったね〜。私も頑張んないと」
「能力がないなら試験とかいつもどうしているんだ?」
正直この世界では能力がないと話にならないだろう。能力主義の世界、そしてこの学園でどうして過ごしているのだろう?
「試験?あー大丈夫だよ。Fクラスはね能力がなく実力不足だから毎年自由参加なんだよ」
「自由参加…?」
「そう自由参加。だから毎年ほとんど合格者は出ないんだよね。」
「今年度は出ているのか?」
「いや出てないよ。まあ仕方ないよね、最弱クラスなんだもん」
「まあ無能な私たちになんて期待してないんだろうね〜」
「最弱か…」
…最弱。
「アイル君…?なんで笑っているの?」
「ああ、すまない」
つい笑みが溢れてしまっていた。
最弱…この俺が?
無能…この俺が?
思わず笑ってしまうじゃないか。
最弱なんて言葉…俺には世界一似合わないのだからーーー。
詰め込みすぎた感が否めない……
ああああああああああ




