第32話 ダンジョン脱出
冷菓とミーナは閉ざされていた部屋の中を進んでいく。2人は身長に進んでいた。もしかすると罠があるかもしれないという可能性を考えた。
周囲を光で照らすが石レンガの壁以外何もない。モンスターの気配も風もない。
自分たちの呼吸音と足跡しか聞こえない。
「何なんだろう、ここ。不気味。」
冷菓はポツリと呟く。
薄暗く殺風景な部屋に冷菓は恐怖を抱いていた。ネズミ1匹ぐらい居そうな場所だが、何もいない。
この何もない状況が逆に異常さを際立てているのだ。
「突然飛び出してきたりしないよねえ。」
冷菓が弱気な言葉を吐くとミーナがいきなり、
「あれにゃ!」
「ちょっと!驚かさないでよ!!」
「ごめんにゃ。けどあれ!さっき光ってたのあれにゃ!」
ミーナが指を指した先には微妙に発光しているガラス玉のようなものが宙に浮いていた。ガラス玉の下には細長い柱が立っており、その先にガラス玉が浮いている。
「ガラス玉?なんで浮いてるの?」
ガラス玉の周りには透明な鎖があるわけでも、超極細の糸があるわけでもない。
「これは....ダンジョンコアにゃ。」
「ダンジョンコアって何?」
冷菓は聞いたことのない単語に疑問を抱く。
「ダンジョンコアとは、ダンジョンを作り出している力の源にゃ。これに触れればダンジョンクリア報酬としてスキルやアイテムが手に入るにゃ!」
「スキルにアイテム!!!」
冷菓の目が輝いた。自分を更に強化できるかもしれない思いを胸にいだいて。
「触ってみよ!」
冷菓は言葉に釣られコアに触れてしまう。感触は冷たくただの石かと思うほどだった。
「『あ!ちょっと待つにゃ!!』え?」
だがミーナの制止は間に合わず、触れてしまう。ミーナはなぜか自分の制止に困惑する。
「え?なんか言った?」
冷菓は振り返り、ミーナの方へと視線をやる。
「なんでも無いにゃ.....」
冷菓が視線を戻すとと、コアが白い光を放つ。
「うっ」
『ダンジョンクリアおめでとうございます。クリア報酬を受け取りますか?』
突然光ったかと思えばコアが喋った。機械的な音声であり、端末が発する声と似ていた。
「はい!受け取ります!」
冷菓は元気よく手を上げる。
『報酬はランダムです。あなたの旅路にご武運を。』
ダンジョンコアは再度光る。すると力を失ったかのように光が消える。
「終わった......の??」
すると端末から音が鳴る。
ピコン
「防具【黒戦士の外套】を獲得しました。装備しますか?」
「はい!」
端末から音が鳴る。冷菓は了承すると、着ていたボロローブが消え新たなローブが出現した。色は黒く、ローブには変なマークが描かれている。
「何このマーク?目?」
冷菓にはこのマークが目に見えた。まるで冷菓のことを見ているかのように感じる。
「良かったですにゃ!ご主人様!」
冷菓は新しいローブを羽織る。袖を通している時、あることに気がつく。
「これめっちゃ肌触り良い!!気持ち〜!!」
「気に入ったみたいですにゃ〜!!」
「うん!」
冷菓はマントに頬ずりし、感触の良いマントに感動を覚えた。
『地上へ転移しますか?』
ダンジョンコアから声が聞こえた。その言葉に目を見開いた。
「外へ出れるの?!」
『転移しますか?』
「ダンジョンコアも端末と同じ様に答えないのか。ちぇ。まあ、はい。」
冷菓が了承すると地面から魔法陣が現る。2人の姿は光りに包まれる。
すると部屋の何処からか機械音が聞こえた。
「ん?気のせいかな?」
冷菓はすぐに意識の外にやる。
その部屋から2人は完全に消えていた。
場面は代わり、地上へと移る。
冷菓は目を開けると光が差し込んできた。
「まぶし.....」
数週間から数カ月ぶりの太陽の光である。目の前にはきれいな草原が広がっている。風に乗る土や草の香り、太陽の温かさが懐かしく感じた。
「外に出られた.....いやっったああああ!!!出られたああ!!!!」
冷菓は両腕を上げ歓喜に満ちている。
「空!草!太陽!久しぶりに見た!!」
冷菓のテンションは爆上がりだ。
「久しぶりに地上へ出たのにゃ。私も何百年とあそこにいたからニャア。」
しみじみとミーナは空を見上げる。空を見上げながら感傷に浸っていた。
「まずは街を目指そう!!行こ!!ミーナ!!」
「ついていきますにゃ!!ご主人様!」
冷菓とミーナは走り出した。まだ見ぬ世界を渡り歩く旅へ。まだ見ぬ街、まだ見ぬ出会い、そしてこの世界の黒幕を探しに。
「「任務を達成しました。
任務内容: 監獄ダンジョンからの脱出。
報酬:金貨5枚
エクストラ任務: 残機を消費せずに脱出。
報酬: 金貨10枚
期限: 無期限
報酬総額:金貨15枚獲得。 」」
シーンは代わり何処か見知らぬ部屋へと変わる。
そこには一人の男がいた。
部屋の広さは5畳程度の狭い部屋であり、あるのは無数のパソコンと複数の画面。窓には光りが通らないようガムテープで完全に密閉されている。
壁一面に複数の画面が取り付けられており、プログラムらしきものが映し出されている。
通常の人が住めば圧迫感を覚えるほどだった。
そして、その画面の1つにはこう書かれていた。
『クリア率2% 現在進行中。』
第1章完結です!ここまで読んでいただきありがとうございます!第2章も引き続き読んでいただけると幸いです。
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第1章7万2000文字




