第29話 デュラハン戦②
両者の間に沈黙が流れる。
「.......」
「.......」
先に動き出したのは冷菓の方だった。
冷菓はデュラハンとは反対方向へと走り出した。
「倒したいなら来てみなよ!!この黒デブ騎士!!」
冷菓がデュラハンのことを煽ると猛スピードで追いかけてきた。
「ヒヒーン!!!!!」
「き、来たあああ!」
冷菓は自分に出せる最高速度でデュラハンから逃げる。
だが逃げられるわけがなかった。徐々に両者との距離が縮まっていく。
「あそこ曲がって一旦デュラハンのスピードを落と........」
冷菓は曲がり角で右に飛んだ。
その瞬間デュラハンは速度を落とすことができず壁に激突する。
ガシャアアア!!!
巨大なレンガが無数に天井から落ちてくる。
「これでちょっとでもダメージが入ってると良いけど......」
だがそんな願いも叶うはずもなく、
バアアアアアアン!!
落ちてきたレンガが吹っ飛び中から5体満足なゾンビホースとデュラハンが出てきた。
どうやら剣を振りレンガを弾き飛ばしたらしい。
「でたらめすぎるでしょ.....いや、今がチャンスだ!!」
冷菓はゾンビホースの足向けて走る。
足元についたところで冷菓はスキルを発動させる。
「【ピアース】!!!」
冷菓は光る長剣をゾンビホースのアキレス腱向けて放つ。
グサッ!!
幸運なことに冷菓が放った一撃はゾンビホースの足に刺さったのだ。
(この攻撃が刺さるなら....)
冷菓は間一髪入れず次のスキルを発動させる。
「次!!【殺意突き】!!!」
剣がスキル発動により光を放つ。
剣先は先程【ピアース】を放ったとこと同じところへ突き刺さる。
「ん?」
冷菓は剣先に硬いものが触れた感覚があった。
骨だった。
スキル2連撃による硬い肌の貫通。剣は骨にまで達していたのだ。
(これなら【骨砕き】スキルが通用する!)
「ここだああ!!!」
「【骨砕き】!!」
剣を一度抜き、再度突き刺す。
「貫けええええ!!!」
剣先が骨を触れた時、ゾンビホースの骨が爆ぜた。
「ヒヒ〜〜〜〜〜〜ン!!!!!!!」
ゾンビホースは悲鳴を上げ先程まで立ち上がりかけていた足はまた地面に伏せる。
どうやらもう立ち上がれないようだ。
「やった、やったー!!これでデュラハン移動速度を削いだぞ!!けど、まずはミーナと合流しないと...」
だがピンチは切り抜けていない。冷菓は少し離れてしまったミーナと合流を果たそうとする。
「ミーナ!」
「ご主人様!!大丈夫でしたにゃ?!」
「うん!」無事だよ!あの馬野郎に一発かましてきた!あとはデュラハンだけ...」
冷菓が振り返るとデュラハンが歩いてきていた。それと同時に剣を上に構えている。
「え、あれ魔力貯めてない?!」
デュラハンの剣に黒い魔力が収束し始めている。
「どうにかして防がないと!!」
冷菓が迷っているとミーナが提案してきた。
「ご主人様!剣であいつの攻撃を弾き返すにゃ!!!」
「そうか!!」
冷菓は居合の構えを取り、ミーナに教わった方法を思い出す。
「反射するには剣に魔力を込め、相手の攻撃が剣に触れた瞬間【チャージ】と叫ぶにゃ!」
冷菓は自身の魔力を剣に込め始める。
「私のなけなしの魔力!!持ってけ泥棒!!!」
多少冗談を混ぜているが準備は完了した。
冷菓の白い魔力が剣に収束されていく。
ピコンッ
端末から音がなる。
「魔力が不足しています。固有スキル【仮想認識】を矯正解除します。」
「魔力が足りないことも想定済み!!」
冷菓はスキル【ストック】で収納していた聖水が入った瓶を取り出し、飲む。
この瓶は研究所に置いてあったものだ。スキル【ストック】はどうやら同じものであればいくらでも入れられるらしい。この数日、準備しているときに気がついた。
再び魔力が収束し始める。数秒間魔力が吸われると、
ピコン
「魔力が不足しています。」
冷菓は聖水を飲み同じ工程を繰り返す。
ピコン
「魔力が不足しています。」
聖水を飲む。魔力が吸われる。
ピコン
「魔力が不足しています。」
聖水を飲む、魔力が剣に吸われる、端末から魔力が切れたときの警告音が鳴る。この工程を何度も何度も繰り返す。
一定の魔力を吸い終わると剣が収束をやめる。
「吸うの止まったけど、ミーナ!これでいいの?!」
「大丈夫にゃ!そのまま相手の攻撃を待つにゃ!!」
「けどなんかデュラハン溜め長くない?まさか.....」
冷菓の嫌な予感が的中した。デュラハンは貯めていた剣を振りかざす。
その時今まで声を発さなかったデュラハンが初めて発した。
『轟雷死滅斬』
剣から雷が立ち上っておりすごい音を発している。デュラハンの声は太く低い声をしていた。まるで歴戦の猛者のような、そんな気がした。
「これ防げるよね?!」
冷菓とデュラハンの剣が交わる。
ガキーン!!!!
「今だ!!【チャージ】!!!」
両者の剣は火花を散らす。
ミーナの教えどうりどんどん攻撃が剣に吸収されていく。
だが剣の重量は変わらず全力を出してこらえてる状況だ。
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ!!!!があああああ!!」
(な、なんて威力!!攻撃は吸われてるはずなのに!!)
この時間が冷菓にとっては無限に思えるほど長かった。
1歩、また1歩徐々に追い詰められている。
後ろには冷菓へバフを掛けているミーナがいる。冷菓の目から涙が流れていた。
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両方欲しい!




