第28話 デュラハン戦①
ステータスを振った日から数日がたった。
その間、冷菓はデュラハンとの戦いに備え、ひたすら準備を続けていた。
まず行ったのはダンジョンの地形の確認。
「ここが9階層の階段で、こっちが行き止まり.......」
冷菓は冒険者の手帳に描かれた地図を見ながら確認する。冷菓は地図に印を付けていく。
一度通った場所でも、戦闘中に見る景色は普段とはまるで違う。
だからこそ、冷菓は何度も同じ場所を歩き、頭の中に地形を叩き込んでいった。
(これが自分の命を救うかもしれないしね。)
さらに運がいいことにこの数日で数回、レイスと言うアンデッドモンスターと遭遇した。体が半透明の白い幽霊だ。奴は攻撃として火の玉を飛ばして来る。
そして、レイスからアイテム【イリュージョンミラー】、と【藁人形】x5がドロップした。
【イリュージョンミラー】: 手鏡のような見た目。使用すると鏡が光り、自身の分身が自分とは反対方向に生み出される。
【藁人形】:相手から受けるダメージを10%カット。
「よし!準備万端。」
冷菓は拳を握り最終確認をすませる。
(前とは違って私にはミーナがいる。)
「頼りにしてるよ〜!ミーナ!」
「任されましたにゃ!」
冷菓とミーナは迫りくる足跡を注意深く聞く。冷菓は息を潜め、足音に意識を集中させる。
「まずはスキル【仮想認識】発動!」
(あと接敵まで10秒ぐらいか....)
冷菓はスキルで相手との距離を測る。曲がり角の先にデュラハンの反応が確認できる。
「ご主人様!!勝つにゃ!」
ミーナの腕に装着された半透明の端末が、まばゆい光を放つ。
「ライブモード起動!!」
ミーナがポーズを取り、叫んだ瞬間、ミーナを中心に周囲五メートルへ半透明のバリアが展開される。同時に、足元へ小型のステージが形成された。
「3!」
ミーナがステージの上で構える。音楽のカウントが始まる。
「2!」
冷菓の体に力が満ちていく。
「1!」
遠くから響く足音が、さらに近づく。
ドドドドドド
「スタートですにゃ!!」
その瞬間音楽が流れ始める。ミーナは元気いっぱいに歌い、踊り始める。それと同時に冷菓のステータスが強化される。
(来た!この感覚!)
冷菓は長剣を前に構える。
「ヒヒーン!!!!!!!」
デュラハンが姿を現し、デュラハンが乗っているゾンビホースが声を上げる。
(見えた!まずは相手の出方を.....)
そう考えてると、デュラハンは冷菓に向かって突進してくる。
「早っ!!」
冷菓は思った以上の速度に驚くがまだ動かない。
(けど、まだだ。まだ、まだ、)
「...........」
冷菓の頬に緊張の汗が流れる。
「今だ!!!!!」
冷菓は地面を蹴り、デュラハンに向かって走り出した。以前とは比べ物にならないほど早くなっている。
「うおおおおおおおおお!!!!!」
そして大声を出しながら突っ込んでいく。目指すはアキレス腱。ゾンビホースのアキレス腱めがけて剣を振る。
ガキーン!!
剣と足は金属をぶつけたような高い音を出した。
足には傷1つ付いておらずそのまま冷菓はゾンビホースの股下をくぐり回避する。
「うそお!!!」
(傷1つつかないって硬すぎるでしょ!!)
「よっと!」
反対側へ転がるように着地する。
(あっぶな!)
冷菓が振り返る。そこには、すでにこちらへ向き直ろうとしているゾンビホース。
さらにその背中には剣を上段構えにし、技を繰り出そうとしているデュラハンがいる。
(仕方ないちょっと早いけど.....)
「アイテム!!【イリュージョンミラー】使用!!」
すると手鏡から眩しい光が発生する。
(うっ、眩しい....)
目を細めながら正面を見ていると、デュラハンの後ろに冷菓の分身が現れる。
(おっけー!!成功!!)
「いけ!!分身!デュラハンめがけて攻撃!」
冷菓は分身へ指示を出し、デュラハンめがけ跳躍する。そして分身はデュラハンに剣を叩きつける。
「?!!」
意識外からの攻撃にデュラハンは驚き、ためていた技を分身に向けて放った。
ガシャアアアアアアアアア!!!!
攻撃による衝撃波が発生し、周りの石レンガが一斉に崩れ、冷菓の分身を木っ端微塵に砕いた。
(分身が……!)
しかし、そんなことを考えている暇はなかった。
「ミーナ!!!」
瓦礫の崩落にミーナが巻き込まれてしまった。
「大丈夫ですにゃ!!!」
瓦礫の向こうから、元気な声が返ってきた。
「えっ!?」
「ライブモードのバリアがありますから、問題ないですにゃ!!」
瓦礫の隙間から、ミーナがひょこっと顔を出す。
「び、びっくりした........!」
冷菓は胸を撫で下ろす。
(そういえばバリアがあるんだった)
ミーナは瓦礫の向こうで、再び元気に踊り始める。
「ライブはまだまだ続行ですにゃ!!」
「頼もしすぎるでしょ」
冷菓は思わず苦笑する。しかしすぐに表情を引き締める。
(今のでわかった。やっぱあの攻撃には溜めが必要なんだ!しかもあれは確実に何らかのスキル......クールタイムがあるはず。連発はできない!けどまだ攻略の糸口は見えない....)
冷菓は小さく息を吐く。
「........次は、もっと上手く使わせてもらうよ」
デュラハンが大剣を構えた。そして冷菓も長剣を構える。
そして両者の間に沈黙が流れる。
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両方欲しい!!




