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仮想現実~プレイヤーとして呼ばれた少女は仮初の世界で無双する。  作者: 冷崎
第一章 鮮烈な少女

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第23話 第9階層

冷菓は黒骨の耳飾りを手に入れた部屋から脱出し、9階層を目指していた。


「てか今思ったけど、9階層ってこの手帳によれば大量のアンデッドモンスターがいるって話だよね。」


冷菓の顔が引きつる。


「階段見つけて、9階層に上がった瞬間襲われるなんてこと無いといいけど。」


冷菓は少し不安そうに一人ごとを呟く。


「まあ、考えても仕方がないか。いざというときにはこの階層に戻ってくればいいし。」


モンスターは階層を移動できない仕組みになっている。モンスターが入れないよう見えない壁に阻まれているようだ。


「おっ!あれかな?」


冷菓は薄暗い先の方に階段を見つけた。

そして階段前に着いた。


「うわっ....なんか上から唸り声が聞こえる....絶対ゾンビかなんかでしょ。しかもなんか変な匂いするし。」


冷菓は上の階層から漂う異臭に気づいた。その匂いはまるでゴミ捨て場に放置された生ゴミのような匂いだ。


「けど行くしか無いか。」


冷菓は階段を登り始めた。すると上がるにつれて松明の量が増えていく。


「久しぶりにきれいな光を見たよ...」


10階層にある松明は光量が少なく光源としてはイマイチだった。

そして9階層に上がると同時に問題を思い出す。

それは食料と飲水だ。

いくらレベルアップ時に回復するとはいえ長い間飲み食いしてないとなると、体が悲鳴を上げる。


「どっかでまず飲水確保しなきゃ。」


冷菓は階段を登りきった。

するとドーム状の広い空間に出た。


「ここが日記に書いてあったボス部屋って場所か。」


「【仮想認識】発動っと。」


冷菓はデュラハンがいないことを確認し、巨大な扉に向かって歩く。


「あのドアの向こうが9階層...」


巨大な扉を通ると、高い天井、広い通路があった。構造は10階層と似たようなものだが、広さが段違いだ。


「広っ」


更に遠くから巨大な足音が聞こえる。


「この足音.....デュラハンか....」


冷菓はつばを飲み込み、深呼吸をする。


「よし!行くか。」


冷菓は何処から襲われても良いように警戒態勢に入りながら歩く。


「これ地図があるとはいえ、広すぎて迷いそう」


2分後、歩いていると曲がり角から突然皮膚が溶け、内臓が飛び出しているモンスターが1体飛び出してきた。


「ひゃあ!!て、でたあああ!!てか、臭!!」


鼻がひん曲がるような匂いに冷菓は鼻を摘む。が、ゾンビは足を止めず、襲いかかってくる。


「これ呼吸止めないとまともに戦えないよ!」


冷菓は一時息を止め、ゾンビが自分の位置に到達する前に先制攻撃を仕掛ける。

地面を踏み込み突っ込む。


「ふっ!!」


剣を水平に振るがゾンビに躱された。

それに続き、1撃、2撃、3撃。

ことごとく躱される。

(このゾンビ早すぎ!!てかゾンビって動き鈍いのが定番なんじゃ無いの?!)


素早い動きに冷菓は切れる。


(この!はよ当たれ!!)


攻撃が当たらない冷菓は次第に苛つき始めた。

ゾンビの動きは不規則であり人間にはできないような方向に体を曲げたりする。

冷菓は思わずスキルを使ってしまう。


「いい加減にしてっ!!」


【殺意突き!!!】


剣が黒く光り、ゾンビの胸に突き刺さった。

ゾンビは床に倒れる。


「やっと、一撃って、うっ!!!」


冷菓は剣を握っている手とは反対の手で鼻ををつまむ。


(早くとどめ刺さないと鼻がああああ!)


ゾンビの胸に突き刺さった剣を引き抜き、首を両断する。


ベチャ


返り血が冷菓の顔にかかった。


「うわっ.....最悪。しかも臭いし.....」


ゾンビの身体が大きく崩れ、その場に倒れる。


「ドロップ品は.....無しかあ...」


冷菓はものすごくがっかりそうな顔をする。


「次行くか」


歩き始めようと立ち上がり、前を見る。すると前からゾンビの群れがやってきた。



「え、多くない!」


ゾンビが一斉に襲ってくる。


「きゃあああああ!!」


冷菓は振り向き全力疾走。


「なんで1体倒したら次は群れで来るのよ!!」


ゾンビは余裕で冷菓のスピードについてくる。


「だからなんでこんなに早いのよ!!もーう!!」


「仕方ない!1体ずつ倒してやる。」


【ピアース】!!


スカッ


「あっ」


冷菓は攻撃を外した。ゾンビは身体を大きく傾け、ありえないほど不自然な姿勢で攻撃をかわしていた。


「うそでしょ!?」


そのままゾンビの腕が冷菓へ迫る。


ゴンッ


「痛い!」


冷菓の頭から流血する。

焼けるように痛い。視界がグラグラする。

さらに、


ピコン


「魔力が切れました。固有スキル【仮想認識】を強制解除します」


一瞬、何を言われたのか理解できなかった。

そして次の瞬間。


「ええええええええ!?」


冷菓が叫んだ。


「ちょっと待って!! 今!? 今なの!?」


当然、端末は答えない。


「なんで今なのよ!!」


冷菓は思わず頭を抱える。だが、そんなことをしている場合ではなかった。


「グルルル......」


すぐ近くから唸り声が聞こえる。冷菓は慌てて顔を上げた。正面にはゾンビが立っている。周囲を見ると周りがゾンビに囲まれている。


「これ....無理....」


一体のゾンビがこちらへ向かってくる。

冷菓はその動きを目で追った。


「来る!」


冷菓は武器で受け止め、弾く。だがそれと同時に他のゾンビが襲いかかってきた。

冷菓は殴られ、蹴飛ばされる。


「がっ!!ああ!!痛い!!」

(これ、本当に死ぬ!誰か、助けて...)


そう願った時、後方からゾンビがふっとばされる音が聞こえた。


「ギャッ!」


「グへえ!!」


(え、何が起きてるの?!)

ゾンビたちは冷菓への攻撃を止め後方へ目をやる。

するとそこには馬に乗った首無し鎧。

またの名を


「デュラハン」


が立っていた。

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