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仮想現実~プレイヤーとして呼ばれた少女は仮初の世界で無双する。  作者: 冷崎
第一章 鮮烈な少女

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第20話 監獄ダンジョン

目の前にはスケルトンが見えた。

手には長剣を握っており、視界に捉えた瞬間冷菓に向かって襲ってきた。


「え、ちょっ....やば....」


冷菓の精神力と体力は限界であった。

何日も同じ部屋に閉じ込められ外の景色も見られずただひたすらに壁を削った毎日。

スケルトンが剣を上から振りかぶった瞬間冷菓は反射的に横へ飛んだ。

冷菓は受け身が取れず地面に転がる。


「痛っ...」


(どうしよ....これ)

冷菓はしばらく床に倒れたまま動かなかった。やがて、ゆっくりと顔だけを上げる。

目の前には、再びこちらを向くスケルトン。剣を握り直し再び構える。

手足にはまともに力は入らず唯一持っている武器は半分破損している短剣だけ。


「と、とりあえず....【仮想認識】スキル発動....」


その瞬間、冷菓の視界は驚くほど鮮明になった。いや見えているというより感じているのだ。

魔力によって周囲の壁や天井、そしてスケルトンの動き1つ1つが手に取るように分かる。立体的になった。


「こ....これなら...いけるか...な」


冷菓はよろつきながらも短剣を構える。

スケルトンは剣を振りかぶり走ってくる。

冷菓は体を屈めスケルトンにタックルをかます。


「ああ....ああ...ああああ!!」


するとスケルトンは後ろへ倒れ、身動きが取れなくなる。手に握っていた長剣は床に転がる。

冷菓はスケルトンに馬乗りになり、ナイフを握りしめ。

何度も何度も胸に光る紫色のコアを刺し続ける。


カンッ


キンッ


カンッ


「もう一回!....」


数十回ほど指すとコアにヒビが入りようやく割れ、スケルトンの体が崩壊する。骨が次々と崩れ落ち、やがて完全に動かなくなった。


「はあ、はあ、はあ.......し、死ぬかと.....思った....」


冷菓は地面に倒れ込み深呼吸をする。すると聞き慣れた音が暗い通路に響く。


ピコンッ


「レベルが上がりました。新たなスキルを獲得しました。スキルポイントを60付与します。」


「個体名:森冷菓のHPとMPを全回復します。」


その瞬間冷菓の体は淡い青色の光に包まれた。


個体名:森冷菓

種族:人間

職業: ヴィルトゥアリス

レベル:8

HP:400

MP:5

STR:18+10

DEF:5+10

VIT:9

AGI:37+10

INT: 110

LUK: 72


取得スキル:

【アーツ:短剣術1】

【コモンスキル:ピアース〈1〉、殺意突き〈1〉】

【エクストラスキル:ーー】

【ユニークスキル:ーー】

【特殊スキル:ーー】

【固有スキル:適応〈1〉、仮想認識〈1〉、ストック〈1〉】



重かった身体が少しずつ軽くなっていき、失っていた力が戻ってくる。

喉の渇きも、身体に残っていた疲労感も、ゆっくりと和らいでいった。


「かはっ!ゲホッゲホッ!!」


急速に喉が治ったことにより咳込んでしまう。

長い間閉じ込められていたことで乱れていた精神状態も、少しずつ落ち着きを取り戻していく。


「はああ~!よ、良かった〜!!生きてる....」


冷菓は壁に寄りかかり体の状態を確認する。

頭の怪我もなくなっており、手にあった血豆も消えている。


「レベルが上がったのか。じゃあこれでステータス強化できる.....ていうか、今のスケルトン経験値多くない?1体だけでレベルが6も上がったんだけど.....」


冷菓はすぐさまスキルポイントを振る。

MPに10ポイント、STRに20ポイント、AGIに10ポイント、そしてVITに20ポイント振った。


どうやらスキルを使用する際、MPつまり魔力を消費するらしい。MPが空だとスキルが不発で終わるのだとか。

冷菓は立ち上がり、周囲を見渡すすると地面にスケルトンが落とした長剣が落ちていた。

すぐさま拾い上げ状態を確認する。所々刃こぼれしているが短剣よりは断然良い状態だった。


「短剣はここにおいてくか。破損状態もひどいし、ストックも圧迫するわけにもいかないし。」


冷菓は短剣を地面に置き手を合わせる。


「今までありがとう。」


冷菓は長剣を握り、暗い道を歩きだした。

暫く進むと松明が所々付いていた。


「ここって何なんだろう。刑務所かなんか?」


しばらく歩いているが何処にも出口が見当たらない。

まるで迷路のようだ。途中鍵のついた扉があった。ドアノブを回してみたが当然開かなかった。


カラン


カラン


先の方からなにか音がした。

松明が近くに灯っていたので先ほどとは違ってよく見える。

またスケルトンだ。だがついさっきとは違い3体だ。

一体が棍棒を持っており、1体がローブを羽織っている。

だが1つ不思議なことに後方にいる1体は何も構えておらず、ただひたすらに立っているだけである。

なんの防具も来ていない。


「何やってんだろ?あのスケルトン。まあ、いいや。【仮想認識】スキル発動」


冷菓は戦闘態勢に入る。長剣を前に構える。冷菓には適応スキルがあるためどんな武器でもある程度は扱えるが、それでもレベルが低いため扱えるのは初心者より少しうまい程度だ。


スケルトン2体が同時に走り出してきた。

今回はHPも体の状態も完璧だ。冷菓が先制攻撃を仕掛ける。


「?!」


体が一気に前へ飛び出した。

ステータスが上昇したことで、冷菓自身が想像していた以上の速度が出ていた。


「えっ........」


一瞬で距離が縮まる。


「は、速.......」


自分で驚くほどの加速。

その速度に、冷菓の身体の操作が追いつかなかった。

空間は完璧に把握しているのに体が追いつかない。

頭と身体がズレている感じだ。


「ちょっ!ちょっと待って!!」


冷菓はそのまま頭から棍棒を持ったスケルトンに頭突きを決める。


ごちん!


頭から鈍い音が鳴る。


「痛〜!!コノヤロ!!」


冷菓はすぐさま立ち上がり、頭突きによって体制を崩したスケルトンのコアめがけ剣を振り抜く。

その剣は正確にコアを砕き、スケルトンを機能停止させた。


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