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仮想現実~プレイヤーとして呼ばれた少女は仮初の世界で無双する。  作者: 冷崎
第一章 鮮烈な少女

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第19話 囚われの少女

冷菓が誘拐された瞬間、任務が発生していたようだ。

「「新たな任務が発生しました。


 任務内容: この場所からの脱出。

 報酬:金貨5枚

 エクストラ任務: 残機を消費せずに脱出。

 報酬: 金貨10枚

 期限: 無期限             」」


任務が発生したせいで、冷菓は地球に戻ることができなくなっていた。任務発生中は夜寝ても地球へと転送されない仕組みだ。



あれから1日が経った。

冷菓は短剣を片手に無言で壁を削り続けていた。


「..............」


ガリッ


ガリッ


削れたのはたったの5cm。

削れた砂が少しずつ床に溜まる。

それでもなお壁を削り続ける。

疲れたら休み、少量の水を飲む。それを繰り返す。

壁を削る音以外何も聞こえない。視界も薄暗い。


「硬いなあ......あとどのぐらいかかるんだろう。」



あれから2日が経った。

冷菓は短剣を片手に壁を削り続けていた。

ほとんど同じ姿勢で、同じことを繰り返していた。


ガリッ


ガリッ


削れたのはたったの10cm。

だが、それでも壁を貫くには到底足りない。冷菓自身も分かっている。このペースでは、いつになったら外へ出られるのか分からない。

2日目になると、冷菓の服には石の粉が大量に付着していた。髪にも細かな埃が絡んでいる。

手にも疲れが残っている。それでも冷菓は気にしなかった。気にしている余裕がなくなっていた。

頭にあることはただ一つ。


「ここから出てやる.....」


それでもなお壁を削り続ける。

手を止めるとその場所に静寂の時間だけが流れた。



あれから3日が経った。

削れたのはたったの12cm。

冷菓の精神に異常が見られた。

壁を削りながら時々笑うようになったり。


「....フフ、フフフ.....アハハハ!......」


何がおかしいのか、自分でも分からない。ただ、なぜか笑いが込み上げてきた。

笑い声が、誰もいない牢屋の中に響く。そして、その笑い声は石壁に反響して、何度も冷菓の耳へ戻ってくる。すると突然笑うのをやめた。


「..........」


そして、目の前の壁を睨みつけた。突然怒りが込み上げてくる。


「なんで!なんで!こんなに硬いのよ!!」


ガリッ


「うるさいって言ってるでしょ!!!」


ガリッ


全然進まない。削るにつれて徐々に固くなっている。

それでも手を動かし続ける。幻聴も聞こえる。


しばらく牢屋に怒号が鳴り響き続けた。するとまた突然怒るのをやめる。


「まあ、いいか......」


再度無言で壁を削り続ける。



あれから何日が経ったのだろう。

1週間?1ヶ月?

冷菓はどれぐらいの間壁を削り続けていたかわからない。

壁を削り続けていた時間が長すぎて、いつから始めたのかすら曖昧になっている。


「.....どんぐらい経ったんだろ..........」


すべてがどうでもよくなっていた。独り言を呟いたところで返事があるわけでもない。

壁を削り続けナイフは刃こぼれしていた。もう、短剣と呼ぶのも躊躇するほどだった。


「削らなきゃ......フフフ.....」


体は汗まみれ、血まみれ、ホコリまみれ。

目が虚ろになりつつあった。

目から光が消えていた。その目には、以前のような輝きがなかった。

鮮やかな緑色の瞳。その奥にあったはずの好奇心も、不安も、怒りも、少しずつ薄れている。


ガリッ


ガリッ


壁はほとんど削れなくなっていた。

時々冷菓の意識は突然途切れる。


「......」


目を覚ますとまた手を動かし続ける。



??日


水が尽きた。

少量ずつ飲んでいた水が尽きた。

もう一滴も出てこない。


「あ....出てこない.....」


以前なら、慌てていただろう。だがそんなこともどうでも良くなっていた。

口は乾燥し声がかすれ始めた。


「.....喉....乾いたな.....」


一言喋るだけで体のエネルギーが尽きていく。

壁を削る力もなくなってきた。手には血豆ができ、

何度も何度も短剣を床に落とした。


カランカラン


短剣を拾い削る。短剣の方も刃の部分が鉄の粉になり始めていた。

ほんの少しだけ、壁が削れている。

それを見て、冷菓は笑った。


「.......頑張ったなぁ、私」


誰も褒めてくれない。だから、自分で褒める。


「えらい、えらい」


そう呟いて、また笑う。




??日から2日後。


石の壁が崩れた。しばらく動かなかった。本当に壁が崩れたのか、自分が見ているものは現実なのか分からなかった。


がラガラガラ


「......え...」


かすれた喉で声を出す。


「......崩れた....」


冷菓は崩れた壁を残りのエネルギーを使い広げる。


ガリガリガリ


結果人一人通れるぐらいの穴ができた。

ここに留まる理由もない。


「行こう.....」


冷菓はその穴に体をねじ込み反対側へ出る。

だがそこは外ではなく無限に思えるほど広い通路だった。


「なに....ここ....」


冷菓は壁をつたってよろよろと歩き出す。立っているだけでも辛く、足元がおぼつかない。


「はあ....はあ...」


すると目の前に人影が現れた。


「あ......た、助けてくださ......え.....」


更に近づくと目の前にいたのは人ではなかった。


肉を持たぬアンデッドモンスタースケルトン。


「え...骨?......」


スケルトンは手に持っていた剣で襲いかかってきた。


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