第15話 報酬祭り
冷菓は全力疾走してギルドに戻る。
(ご飯!ご飯!)
冷菓の頭の中はごはんのことでいっぱいだ。
すると先の方に見覚えのある建物ガ見えてくる。
「あ、ギルド!」
冷菓は扉の前まで来ると勢いよく扉を開ける。
「ただいま戻りました!」
「お、おかえりなさい、」
受付嬢は困惑した様子で顔を上げる。冷菓は受付まで一直線に走っていき、依頼主からのサインを取り出した。
「配達依頼終わりました!」
「え、もう?!まだ4時よ?!」
冷菓が依頼を受けてからまだ一時間ちょっとしか経っていないことに驚きを隠せない。
「随分早かったですね。」
「あの、これで報酬がもらえるんですよね?!」
冷菓は輝かしい目で受付嬢を見つめる。
「そうですね。サインもきちんと受け取っているようですし、依頼達成とみなします。こちら報酬の銀貨15枚です。お疲れ様でした!」
「ありがとうございました!!」
冷菓は報酬を受け取りすぐさまギルドを出ていく。
向かった先は串焼き屋の屋台だ。
「すいませんおじさん!串焼き6本ください!!」
おじさんは冷菓の曇りなき目を見て少し引いてしまう。
「ちょ、ちょっと待ってろ。」
おじさんはすぐさま焼いていた串を6本紙袋に入れて冷菓に渡す。
「銀貨12枚ね。」
おじさんは手を差し出してお金を受け取ろうとする。
「あ、はい。どうぞ。では。」
冷菓は先程の依頼で見つけた街の広場へ向かった。
そこには椅子やテーブルがずらりと並んでおり、沢山の人が話し合い、休憩している。
「や、やっと食べれる。」
冷菓は近くの空いている椅子に座り、紙袋から串焼きを1本取り出す。
「いただきまーす!!」
冷菓が串焼きを口に入れた瞬間、塩の塩分とタレが溢れ出してきた。更に肉汁がトロトロと溢れており、食べる手が止まらない。
「お、美味しい〜!!!」
気づいたらすでに食べ終わっていた。
「あれ、もう終わり?!早!」
冷菓は紙袋に手を伸ばすが空だ。
「残念。トホホ。」
冷菓は紙袋と串をゴミ箱へ捨て、宿屋を探す。デスフォレストを歩いている最中エミリーから教えてもらった宿だ。
「もし宿を探すなら、猫撫亭を訪ねたら良いわ。安くて部屋が広わよ。」
冷菓は配達依頼で使っていた地図を取り出し、探す。
「宿がたくさんあるな。ゴリラ亭、百獣亭、キング・コング亭、てなんでこんなにマッチョしかいなさそうな宿しか無いの!!」
思わずツッコミを入れる。
冷菓はその宿の名前を見てガインのことを思い出す。
「ガインならここに泊まりそう。」
冷菓は引き続き探すと、一つの宿が目に入った。
「あった!猫撫亭!ここから近いじゃん!」
冷菓は歩いて宿へ向かう。今すぐ走りたい気分だが先程食べた串焼きをエネルギーとして消費するわけにもいかない。
すると先の方に猫の看板が見えてくる。
「あれだね!」
冷菓は急いで宿屋の前に向かう。そして扉を開ける。目の前にはメイド服を来た猫獣人の姿が6人いた。
「おかえりなさいませ!ご主人様!」
冷菓はその言葉を聞き一つの答えを導き出す。
(これって、メイドカフェじゃん!しかも猫獣人の!)
冷菓が興奮していると猫獣人が尻尾をスリスリしてくる。
「お食事にゃ?宿にゃ?そ、れ、と、も〜、私にゃ?」
冷菓は胸を掴みながら答える。
「うっ!や、宿で......」
「わかりましたにゃ!何泊するにゃ?」
「と、とりあえず1晩で。」
「はいにゃ〜!」
冷菓はそう伝えると、猫メイドさんは受付に案内してくれた。周りにはメイドさんたちに夢中になる男性や冒険者達がたくさんいた。
「こっちにもポーズお願いします!!」
「いや、こっちだあ!!」
「いや、次は俺のとこだ!」
(すごい人気、)
冷菓は受付に着き、金額を提示される。
「一晩だったら、銀貨三枚にゃ!」
「え?!」
冷菓は安さに思わず驚いてしまう。
(安っ大体一泊数百円じゃん!)
冷菓は残った銀貨3枚をポッケから取り出し渡す。
「これでお願いします。」
「おっけーにゃ!これが102号室の鍵にゃ!ゆっくり休んでくださいにゃ!」
冷菓は猫メイドに囲われ思わずニヤけてしまう。
「ふへ、ふへへ、」
冷菓の口元が自然と緩む。
(天国……。)
冷菓は階段を登り102号室の部屋を見つける。
鍵使って部屋のドアを開けると、そこにはシングルベッドと、机、そしてお風呂が付いていた。
「いやったああああ!お風呂だ!!」
(ここ、2日体洗ってないからベタベタしてるんだよなあ、)
冷菓は早速お風呂へ直行する。蛇口をひねるとお湯が出てきた。
「これどういう仕組なんだろう?この世界に水道管なんてあるわけ無いし。まあ、明日聞けばいっか。」
冷菓は体を水で良く流しお風呂に浸かる。
「あ~気持ちいいいい!!!!久しぶりのお風呂効くうう!!」
冷菓はお風呂を堪能するが一つ文句があった。
「ただ、石鹸がないのがなあ、髪の毛ボロボロになっちゃうよ。」
冷菓は髪の毛を触りながら呟く。それから10分後、冷菓は持ってきたパジャマを着て、ベッドに座る。
「さて、早速報酬といきましょうか。」
冷菓は端末に触れ保留にしていた報酬を受取る。
画面には任務内容が書かれており、そこに完了のスタンプが見える。更に下に報酬受取の文字が見えた。
「これか、」
冷菓はボタンを押す。すると目の前に小袋が現れた。最初は浮いていたが、すぐに自由落下を開始し、手元に落ちてくる。小袋を開けると、実際に銀貨100枚が入っていた。
「やったあ!報酬ゲット!」
冷菓は報酬を受け取りガッツポーズを決める。そして大事そうに鞄にしまう。
「これは、私が頑張った証。」
異世界に来てから初めて、自分の力で手に入れたシステムからの報酬。
それは、ただのお金ではなかった。
「今日は疲れたなあ……。」
柔らかな布団に包まれながら、ゆっくりと目を閉じる
「おやすみ……。」
静かな夜が、冷菓を包み込んだ。
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