第12話 城壁都市プリスム
冷菓達は城壁前の前までたどり着いた。そこには人々が街に入ろうと、列になって並んでいる。
大荷物の馬車、忙しそうにしてる小太りの商人、一際立派な馬車の中にいる貴族らしい人。
様々な人達が行き交う光景に、冷菓は思わず周囲を見渡した。
「デッカ!!」
冷菓は思わず声を上げる。
「遠くから見るとあんなに小さかったのに、近くで見ると高くてデカい。」
冷菓は列に並びながら、首を限界まで上に曲げ城壁の全体像を見ようとする。
が、途中で首が痛くなり始めたのでやめた。
ミナが身分証の仮発行の仕方を教える。
「まず衛兵に仮発行のことを伝えると水晶を渡してくるから手をかざしてね。」
「水晶?」
「水晶でレイカの犯罪やステータス、自分の成長値を確認するんだ。もし犯罪を犯してたら水晶が赤色に染まるからね。」
冷菓は感心したように返事をする。
「便利だね。これなら街の中に犯罪者が入ることは無さそう。」
「そうでもないよ。極稀に偽装する魔道具とかあるから怪しい格好をした人は身体検査もされるけど........あ。」
ミナは何かに気づいたようだ。冷菓の格好を見る。上質なカバン、服やズボン、そして見たこと無い少量の道具。怪しさ満点だ。
冷菓とミナの目が合う。
「ミナ、私大丈夫かな?」
冷菓はは震えた声で聞く。
「だ、大丈夫だってば。タブン」
「ちょっと!今多分て言った?!」
「言ってない。」
「言ったな。」
ガインが即答する。それに続けて、
「言ったわ。」「言ったね。」
エミリーやレインも続く。
「うっ」
ミナは気まずそうに目を逸らした。
「ほら私たちの番だよ!」
「話をそらしたな。」
「うん。」
冷菓達は衛兵に近づく。ガイン達が先に身分証を見せる。
「衛兵、この子の仮身分証を発行してくれ。」
ガインが冷菓のことを指さしながら伝える。衛兵は水晶を取りに奥の部屋へと向かう。
数分後衛兵が戻り、手には直径15cmほどの水晶玉が金属でできた台座の上に乗っていた。
「これに手をかざしてください。」
衛兵が冷菓に伝えると冷菓は迷わず手をかざす。
すると水晶が白く光り、ステータスが表示される。
「個体名:森冷菓
種族:人間
職業: 未設定
成長値:2
HP:100
MP:5
STR:15
DEF:5
VIT:7
AGI:32
INT: 110
LUK: 72
取得スキル:
【アーツ:短剣術1】 」
(あれ、スキルの項目がアーツだけ?しかもレベルの名前が成長値になってる。)
冷菓はちょっとした違いに驚きつつも犯罪歴が無いことに胸をなでおろし、ホッとする。
後ろからエミリーがステータスを覗いていた。
「成長値2って珍しいわね。」
「これってやっぱ低いんですか?」
「普通、生活してたら成長値3−4ぐらいにはなってるはずなんだけど。」
「え、」
冷菓の表情が固まる。
(私地球から来たから経験値が溜まってないのか。)
この世界では様々なことを経験、反復することで経験値を少なからず貯めることができる。冷菓の年で成長値2とはほとんど何も経験して来なかったようなものである。
「まあ、こういう場合もあるか。気にしないで。」
「はあ、わかりました。」
(危なかった……! 変なところで怪しまれるかと思った……)
二人が話していると台座に空いた穴からカードが出てきた。日本の免許証ほどのサイズに、自身のステータスが乗ってるというシンプルなものだった。
「こちらが仮身分証です。有効期限は1週間ですので、お早めに自身の正式身分証を作りたい場合は何処かのギルドに所属することをおすすめします。ですがその前に身体検査をさせてもらっても?」
冷菓はやっぱりという顔をし了承する。
冷菓達は列の横へ行き荷物検査、ボディーチェックを受ける。
10分ほど続きようやく解放された。
「安全が確認されました。では、ようこそ城壁都市プリスムへ!」
衛兵がカードを冷菓に渡すと城壁を通らせてくれた。
通った瞬間端末が鳴った。
ピコン
冷菓は肩を跳ねる。
(これ毎回びっくりするからやめて欲しいんだよなあ)
幸いガイン達は気づいて無いらしい。こっそりディスプレイ表示を保留にし、何事もなかったように歩き続ける。
「ここが都市プリスムよ!」
エミリーの声が響く。
城壁の門をくぐり終えると、目の前には中世ヨーロッパ風の町並みが広がっていた。建物は石レンガでできたものが多い。屋根は赤い瓦でできており、様々な人達や、屋台、商人が行き交っている。
だが冷菓が目をつけたのはそこではなかった。
「え!猫獣人だ!」
冷菓は女の猫獣人の姿を見た瞬間興奮した。頭にはピンと立てた2つの耳、後ろにはゆらゆらと尻尾が揺れている。
ガインが不思議そうに振り返る。
「おいおい、猫獣人を見るのがそんなに珍しいのか?」
「私の住んでいたところにはいませんでした。珍しさのあまりつい。」
冷菓は恥ずかしそうに答える。冷菓には誰にも言えない秘密があったそれは、猫が大大大大好きだということだ。猫がいたら頬ずりし、大人になったら猫を飼うと親に宣言するほどだった。だがそれと同時に気になること一つあったがあった。
「あの猫獣人さんはなぜ首輪をしているんですか?」
冷菓はガイン達に尋ねる。するとミナが答える。
「あの子は奴隷なんだよ。あの商人さんが何処かで買ったってとこかな。」
「え、この街奴隷売ってるんですか?!」
冷菓は驚愕する。
「うんいるよ。一番有名なのは奴隷商ハラクロかな?」
(ハラクロ、絶対そいつ腹黒だろ。)
名前から冷菓はそいつの性格を確定させる。
「では、まずは冒険者ギルドからいきますか。」
レインが提案すると皆はギルドに向かって歩き始める。
冷菓は道を知らないので後ろから着いていくことにした。
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