第11話 デスフォレスト脱出
冷菓は目を覚ました。テントの中は肌寒く、凍てつくような寒さだった。
「う、寒っ」
冷菓は渋々寝袋から体を出し、テントの外へ出ていく。テントの大きさは人一人入るぐらいの小さなテントだ。冷菓は白い息を吐きながら辺りを見渡す。冷菓がテントから出るとそこには見張りをしていたレインと、エミリーが朝食の準備をしていた。昨晩残りの缶詰を先に渡していたのだ。
レインが冷菓に気づいた。
「レイカおはよう。」
「よく眠れた?」
エミリーも振り返り笑顔で話しかける。
「まあまあかな。少し肌寒かった。」
冷菓は腕をこすり、体を温めている。冷菓は二人の元へ近づき料理に使っている火で暖を取る。
「は〜!あっっったか〜い!」
「デスフォレストの朝は冷えるからな。どうしても防寒具必須だ。冷菓に昨日その事伝え忘れたが。」
「だからこんな寒いのか!」
冷菓にとって外で寝泊まりすることは初めてであった。いつもは温かい布団に潜り、ぬくぬくと眠る。だが、ここではそうはいかない。下手すれば風邪を引きかねない。すると、冷菓は後ろから変な音が聞こえる事に気がづいた。
「なんか変な音聞こえない?」
「ぐがああああああ、ごおおおおおお、ぐがああああ、ごおおおお!!」
「ああ、これはガインのいびきよ。あいつ外で寝るといびきがうるさいのよ。」
「なにそれ(笑)」
冷菓達は大声で笑った。するとその大声で、ミナとガインが別々のテントから出てきた。
「おいおい、な~にこんな朝っぱらから大声だして笑ってんだ?」
ガインは手を口元に当てあくびをしながら出てきた。
「どうせガインのいびきでしょ。うるさかったわよ!全く。」
ミナは少し不機嫌そうにテントから出てきた。
「ガイン、ミナおはよう」
「おはようございます!」
冷菓も挨拶を交わす。
「おう、おはよう。よっこらせっと」
ガインは地面に座り込みご飯ができるのを待っている。
「……それにしても、よくあんな大きないびきをかいて寝られるわね」
ミナが呆れたように言いながら、ため息を付く。
「ん? 俺、いびきなんてかいてたか?」
「かいてたわよ!」
「しかもかなり大きかったわ……」
エミリーも苦笑しながら付け加える。
「わりー、気をつける。」
(昨日あんなひどい目にあったのに、朝から平和だな〜)
「ご飯できたよ!」
レインが報告すると次々とスープをお皿に注いでいく。
具材は同じであり、フォレストウルフの肉をトマトソースで煮ただけである。だが温かいごはんを食べられるだけ幸せなのだ。
皆はそれぞれゆっくりとスープを飲み干す。
「ふう、暖まるなあ、これ食べたら片付けて街に帰るぞ。」
「わかりました。案内お願いします。」
冷菓は深々と頭を下げる。
「頭下げ無くていいわよ!」
エミリーは手を前に突き出し手を振る。
「すいません!」
「だから謝らなくていいって!」
数十分後、皆は片付けを終え、各自荷物をまとめ始める。
早めに片付け終わった冷菓は街までの道のりを地図で見せてもらう。
「まず私たちがいるとこがここで、ここから北の方にデスフォレストを抜けると馬車とかが通る道があるから、それに沿って歩いていくわ。距離的には10kmぐらいかしら」
「わかりました。」
(あれ?この世界にも距離の単位ってあるんだ。不思議。)
冷菓は少し疑問に思ったが街まで約3,4時間程度でつけると聞き安心する。今は朝の9時である。太陽はまだ昇りきっておらず冷たい空気が漂っている。
「よし、それじゃ、街に戻るか。」
冷菓達はキャンプ地を後にし、歩き始めた。
森の中を歩いてる途中レインが冷菓に対し質問する。
「そういえば冷菓って身分証って持ってる?」
冷菓はキョトン顔になる。
「え、街の中に入るには身分証が必要なんですか?!」
(え、そんなの持ってないよ!!)
冷菓が慌てると、レインがなだめる。
「大丈夫!お金さえ払えば仮発行してもらえるよ。」
「あのお、私お金無いです、」
「.....」
「え?じゃあどうやって生きてきたの??」
「私が住んでいた所ではすべて物々交換で物を手に入れてました。」
(全部ウソだけど。)
これは冷菓の異世界での設定である。遠い誰も知らない辺境からきた一人の娘という設定だ。
「じゃあ入る時出してあげるよ。スープのお礼も兼ねて。」
「いいんですか!ありがとうございます。」
「じゃあお金のことも知らないよね。」
「教えてもらってもいいですか?」
「いいよ。お金の種類は6つに分かれてて、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、そして黒金貨に分かれてる。鉄貨10枚で銅貨1枚、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨1000枚で白金貨1枚だ。」
「黒金貨は?」
「黒金貨は一応存在はしてるけど、この世界にある枚数は合わせて約100枚にも満たないと言われてるから、まあ、実質無いのと同じかな。」
「へ〜、教えてくださりありがとうございます。」
「あ、森の出口だよ!」
エミリーが指を指す。
木々の隙間から眩しいほどの光が差し込んでいる。
「やっと出られるんだ!」
冷菓は嬉しさのあまり出口に向かって走り出す。
「おい!レイカ!走るとあぶねーぞ!」
ガインは注意するが、止まること無く走り続けた。
森を抜けると広大な草原が広がっていた。遠くの方には巨大な山がそびえ立っており、その麓にはなにか城壁が建っているのが見えた。
「あれがプリスムの街?」
「そうよ。鉱山と冒険者の街プリスム。早く行きましょ!」
皆は道へと出て、歩き続けた。
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