第六話 演説
サラサラの清潔なシーツに包まれて眠り、爽やかな朝を迎えた。
今日は演説の日。
しっかりと朝食を摂り、台詞を脳内で反芻する。暗記は得意なので、しっかり頭に入っている。
私達は城下南の公園へ向かった。
「この辺でいいかな」
薄曇りから、微かに陽光が届く。
演説は十四時から。
今日は休日だから、この時間でも人は集まると見ている。
丁度、お昼ご飯を食べてリラックスした人々が、公園に集まっている。
温かい空間に水を差すのは胸が痛いが、これも使命のため。私は神に誓って、奮わなければならない。
“戦争をやめよう” “神の国を作ろう”と書かれた看板を持っていると、二十人ほど人が集った。
レーザ達とエイブラムが人を集めてくれたのだ。
そして十四時、私は演説を始めた。
「皆さんは、神の声を聞いたことはありますか?」
声を張り上げる。
「私はあります。私のこの白髪は、その日に神から賜りました」
観客は、ほう、とか、ふーん、とか、そういう反応をする。少しは興味を持ってくれただろうか。
「神は私に奇跡を与えました。実演してみせましょう」
人々が足を止める。
息を大きく吸い、私は指を組んだ。
「“神よ、なぜ私を生み給うた”!!!」
私は声の限り、人々に力を使った。
「うわぁああぁ!?」
「いやあああぁっ!!!」
悲鳴が上がる。各々、戦争に賛同したり、見て見ぬふりしたりする罪悪感や、人を傷つけてきた過去の行いについて、罪の意識を知ったことだろう。
私はそれを、眉を顰めて見ていた。私の罪が、ここにある。
少し落ち着いてきた頃に、私は話し出す。
「今感じたそれが、戦争をしているこの国の罪に対する後悔です。しかし、私達は、罪を償える。その為に、私と一緒に、神の国を作りましょう。それが、神と、そして救世主たる私、芽詩アリアの望みなのです」
言い切った。妙な高揚感が、体を包む。
そして、ジュリオスがコールを始める。
「救世主! 救世主!」
観客は、それに合わせてコールを始める。
「救世主! 救世主!」
私達は、ここに成った。
そしてそこに、王都の軍警が来る。
「お前達! 何をしている!!」
「来たっ」
軍警が近づいてきたので、すかさず彼らに力を使う。指を組む。
「貴方達にも、罪の意識を。“神よ、なぜ私を生み給うた”!」
「ぐっ、うわあぁあぁ!?」
すかさず詠唱すると、一斉に呻きだす。
「俺達は、なんてことを……!」
「あぁ、あぁあ……!」
各々、後悔を知ったことだろう。
「私達には、戦争を行っているという罪がある。償うために、共に神の国を作りましょう。協力してくれますね?」
「はい!!!」
「よし。では、私を王の元へ連れて行きなさい」
「畏まりました!!」
話が早くて助かる。力の効きがいい。
私達は、軍警と共に白亜の城へ向かった。




